2023/2/1更新
保育士修学資金貸付制度は、各自治体で行われています。今回、東京都での実施内容を例に、概要や申し込みまでの流れ、民間団体での実施先などを紹介します。ぜひご参考ください。
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保育士修学資金貸付制度とは、保育士養成施設の在学者に対し無利子で修学資金の貸付を行うことで、保育士の養成・確保を図ろうとする制度です。各自治体で行われており、東京都の例では貸付内容は以下の通りです。
(1)修学資金:
月5万円以内(総額120万円以内、貸付期間は原則2年間。修学期間が2年以上の場合は120万円以内であれば期間延長可)
(2)入学準備金(任意):
20万円以内
(3)就職準備金(任意):
20万円以内
(4)生活費加算:
在学期間中の生活費の一部として修学資金に加算して貸付可能(別途要件あり)
卒業後5年間、都内の保育所等で保育士業務に継続して従事すると返還は全額免除されます。
保育士修学金貸付制度の申込(申請)は、在学する保育士養成施設を通じて行います。申込書類は養成施設から入手します。
東京都の例では、養成施設長の推薦を受けて、養成施設を通じて東京都社会福祉協議会(東社協)に申し込みます。東社協にて書類の受理・審査後、貸付の可否を決定します。尚、申込から結果が出るまでは約1か月程度かかります。
※申込にあたり、要件(定められた基準以上の収入を有する別生計者)を満たす連帯保証人を立てる必要があります。
東京都以外の都道府県で実施されている「保育士修学資金貸付制度」について、参考までにご紹介します。
貸付額:
学費 月額 50,000円
入学準備金(1年生のみ) 200,000円 ※初回の貸付時
就職準備金 200,000円 ※最終回の貸付時
生活費加算 生活保護法による保護の基準のうち、申請者の居住地、年齢区分の額に相当する額
貸付期間:
在学中の2年間
対象:
①指定保育士養成施設に在学している方。
②埼玉県内(さいたま市除く)に住所を有していること、又は埼玉県内(さいたま市除く)に所在する指定保育士養成施設に在学している方。
③保育士の資格を取得した後、5年以上埼玉県内の保育所等の指定施設において保育士業務に従事する意思がある方。
返還免除の要件:
指定保育士養成施設を卒業後、1年以内に保育士登録を行い、県内の保育所等の指定施設(※1)に就職し、5年間引き続き保育士業務(※2)に従事した場合。
※1
保育所、児童養護施設、一定の要件を満たす幼稚園等。指定施設等については、「返還猶予又は返還免除を受けることができる指定施設一覧」をご覧ください。
※2
保育補助者や幼稚園教諭は不可。
出典:保育士修学資金貸付|埼玉県福祉人材センター
貸付額及び貸付期間:
学費 月額 50,000円以内
入学準備金・就職準備金 各200,000円以内(各1回限り)
生活費加算(対象者のみ)
対象:
現在、保育士養成施設に在学している、または進学した(予定している)方
返還免除の要件:
保育士養成施設を卒業し、保育士として登録した後、府内の保育所などで児童の保護等の業務に継続して5年間従事すれば返還免除となります。
出典:保育士を応援する貸付金 大阪福祉人材支援センター
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自治体による保育士修学資金貸付制度のほかにも、保育士養成のための修学を支援する制度があります。例えば東京都千代田区では、奨学金を利用して保育士資格を取得し奨学金を返済しながら区内の保育施設に勤めている保育士を対象に、返済費用の一部を補助する「保育士奨学金返済支援事業補助金」の制度があります。また、一般社団法人や民間企業などで独自の奨学金制度を設けているところもあります。それらの事例を以下で紹介します。
株式会社日本保育サービス(株式会社JPホールディングスグループ)では、保育士育成のため「資格取得コース」「保育士資格取得特例制度」を導入しています。資格取得コースは、内定から入社後の保育士試験までの間、保育士資格取得を目指して勉強します。内定後、週2回程度の勉強会に参加し、その交通費や受験費用などは全額会社負担。雇用形態は正社員で、勉強は勤務時間内で行います。資格取得後は同社の運営する保育園で保育士として勤務します。保育士資格取得特例制度は、幼稚園教諭免許の保有者を対象に、同社の運営する保育園で正社員として勤務しながら、保育士資格の取得を支援する制度です。必要単位取得のための受講費用は会社負担で、スクーリング受講期間中の勤務は軽減されます。
一般社団法人 生命保険協会は、待機児童の問題が社会的課題となるなか、2017年度から「保育士養成給付型奨学金制度」を実施しています。2020年度は更なる人材確保のため、前年度から約20名増やして106名に奨学金を支給することにしました。対象は、同会指定の保育士養成施設に在学し、学科最終学年に在籍する者です。給付額は年間24万円(月2万円)で期間は1年間。募集方法は、指定校に奨学生1名の推薦を依頼し、該当者がない場合はその枠を用いて学内に複数の希望者がいる指定校を対象に二次募集を行います。各学校長の推薦に基づき、同会の選考委員会で決定します。
東京福祉専門学校では、保育士資格取得を目指す学生のため、自治体やハローワークなどによる公的支援のほか、さまざまな学費サポート制度があります。例えば、保育分野に強い興味と熱意がある同校の入学希望者に対して、学費が最大で50万円免除となる特待生制度(実技および筆記)です。また、夜間コースの在学者または入学予定者で、提携している株式会社ポピンズナーサリー 事業本部の契約社員として勤務し、資格取得後に正社員として勤務する意思のある者を対象として、給与や授業料の一部を補助するポピンズスカラシップなどがあります。ポピンズで正社員として3年間勤務した場合は奨学金は全額返済不要です。
日本児童教育専門学校では、保育士資格取得を目指す学生のため、さまざまな学費サポート制度や奨学金制度があります。例えば、AO入試によるセレクトトライ特待生では、初年度の学費の一部(半額から3万円まで)が免除されます。また、一定の要件(生活保護世帯や所得住民税が非課税など)を満たす場合に、年間授業料の半額を免除する授業料減免制度もあります。その他に、すでに保育所等へ勤務し法人・施設長の推薦がある者に対して入学金を一部減額する制度、同校のパートナー企業・団体に勤務し、その法人・施設長の推薦がある者に対して入学金の全額免除や教科書無料配布などを行う制度もあります。
帝京短期大学では、保育士資格取得を目指す学生のため独自の奨学金制度を設けています。「特別奨学金」は、同学の2年次以上の学生のうち、学業成績・人物ともに優秀な者に対して授業料の半額を支援するものです。「冲永学園奨学金」は、2年次以上の学生のうち、学業に取り組む姿勢・人物ともに優秀であり、経済的理由で修学が困難な者に対して授業料の半額を支援するものです(要申請、審査選考あり)。いずれもその他の奨学金や支援制度との併用はできません。また、入学試験で基準点以上の成績を収めた者から選抜した上で、最大で入学金と1年次の授業料が全額免除される「奨学特待生制度」もあります。
千葉明徳短期大学では、保育士資格取得を目指す学生のため5つの独自の奨学金制度を設けています。「特別奨学金」は、特に厳しい経済的状況にあり、卒業後に保育者として働く意思がある者に上限150万円を貸与します。その他に、社会人または短期大学以上を卒業した在学生に対する「学び直し支援奨学金」、同学を卒業後に教育系または保育系の4年制大学へ編入学し、卒業時に幼稚園教諭2種免許状・保育士資格を取得(見込みも含む)する者に対する「修学支援奨学金」では入学金相当額を給付。また、所定のテストを受験し奨学生(特待生)と認められた者に対する給付(入学金全額または半額相当額)などがあります。
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保育士資格の取得を目指す人にとって、学費負担をサポートしてくれる修学支援はとても助かるものであり、また自分自身の励みにもなります。一方で、日本ではいまだに給付型奨学金が充実しているとはいえず、奨学金の多くは貸与型となっています。つまり返済しなければならない「借金」です。無利子で、卒業後5年間、都内の保育所等で保育士業務に継続して従事すれば全額返還免除される「保育士資格貸付制度」のように、一定条件を満たせば返済が軽減または免除されるものもあるため、制度を利用する際には申込(申請)方法や要件だけでなく、返済についてもしっかり確認しておく必要があります。
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修学資金の貸付制度や奨学金制度を利用して、無事に保育士として歩み出しても、人生はいつ何が起こるかわかりません。病気等で働けない、家庭の事情で生活保護を受けなければならない、失業してしまった、減収して経済的苦境になってしまったなど、誰でもそうなる可能性があります。そうした場合に、返済に関する救済措置を用意している修学資金の貸付元や奨学金の支給元もあります。救済措置とは、返済期間の猶予(期間延長)や一部減額などです。何かのトラブルで奨学金等の返済が難しくなった場合は、必ず該当する機関に連絡し、どうすれば適切に対処できるか相談するようにしましょう。
東京都の一部の自治体では、区に直接申請を行うことで確実に補助額が支給される制度があります。対象の奨学金であれば、既に借りていて返済中でも対象となります。実施している区をそれぞれ紹介していきます。
▼出典
千代田区ホームページ - 保育士奨学金返済支援事業補助金
千代田区には、「保育士奨学金返済支援事業補助金」があります。区内の保育施設に勤務している間に自分で支払った奨学金の返済費用が、年間24万円まで補助されます。最長で10年間補助を受けられるので、最大で240万円の補助となります。
1月(もしくは勤務開始月)から12月末までの返済額を翌年1~3月に区に申請することで、区から補助金が支給されます。12月末までに退職した場合は、補助を受けられないので注意が必要です。
荒川区には、「保育士等支援奨学金事業補助金」があります。区内の私立保育施設等に勤務している間に自分で支払った奨学金の返済費用が、年間20万円(ひとり親家庭等については30万円)まで補助されます。採用後5年間補助を受けられるので、最大で100万円の補助となります。
令和4年度に限っては、上半期を4月から9月末まで、下半期を10月から翌年3月分までとして、いずれも8月末までに区に申請することで、区から補助金が支給されます(令和5年度以降は未定)。12月末までに退職した場合は、補助対象期間は退職日までとなります。
▼出典
足立区は保育士・幼稚園教諭のみなさんを応援します|足立区
足立区には、「保育士奨学金返済支援事業補助金」があります。区内の私立保育施設に勤務している間に自分で支払った奨学金の返済費用が、年間7万5千円(令和4年度のみ。翌年度以降は10万円の予定)まで補助されます。
令和4年度から補助対象期間が暦年に変更され、令和4年度に限って4月から12月末までが補助対象期間となります。対象補助期間(令和5年度からは1月(もしくは勤務開始月)から12月末まで)の返済額を、翌年1~2月に区に申請することで、区から補助金が支給されます。12月末までに退職した場合は、補助対象期間は、退職日が属する月の前月の末日まで、退職日が月末の場合は退職日までとなります。
葛飾区には、「保育士等奨学金返済支援事業補助金」があります。 区内の保育施設に勤務している間に自分で支払った奨学金の返済費用が、年間24万円まで補助されます。
4月から9月末までの返済額を10月に、10月から翌年3月末までの返済額を4月に区に申請することで、区から補助金が支給されます。12月末までに退職した場合は、補助対象期間は、月初から15日までに退職した場合は退職した月の前月末まで、16日から月末までの場合は退職した月の末日までとなります。
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