2023/5/2更新
保育士の資格を活かして働ける職場は、保育園やこども園だけではなく幅が広がっていることをご存知でしょうか。その中でも、発達支援施設における保育士の需要が高まり、発達支援施設で働く保育士も増えています。しかし、発達支援施設について、具体的によくわからないという人もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、発達支援施設の概要、保育士の仕事内容や役割、さらに児童指導員の仕事についても解説します。
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障害児通所施設(療育施設)・障害をもっている子どもに向けたサービスや支援は「児童福祉法、障害者総合支援法」2つの法律によって定められています。2つの法律の違いについて紹介します。
2つの法律の大きな違いは、対象者の違いです。児童福祉法では児童という言葉がついている通り「障害児(※1)」、障害者総合福祉法では「子どもから成人まで(※2)」が対象となっています。
※1
児童福祉法では、療育手帳や身体障碍者手帳の有無にかかわらず、支援の必要性がある児童すべてが対象。
※2
障害者総合福祉法では、市区町村からの障害者支援区分の認定された方が対象。尚、認定を受けてからサービスが開始されます。また、支援計画の決定については、児童福祉法は「障害児相談支援」、障害者総合支援法は「計画相談支援」を通して決定されます。
児童福祉法 (対象:児童) |
障害者総合福祉法 (対象:児童及び成人) |
---|---|
児童発達支援施設 | 居宅介護サービス |
医療型児童発達支援施設 | 同行援護サービス |
放課後等デイサービス | 行動援護サービス |
居宅型訪問児童発達支援サービス | 重度障害者等包括支援サービス |
保育所等訪問支援サービス | 短期入所 |
福祉型障害児入所施設 | 移動支援サービス |
医療型障害児入所施設 | 日常生活用具給付等 |
その他(市区町村による) |
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児童発達支援事業は児童福祉法によって定められた支援サービスで、2012年の児童福祉法改正によって制度が始まりました。児童発達支援施設は、発達障害を持っている未就学児を受け入れて自立に向けた訓練や保護者に対する支援を行う通所施設です。 児童発達支援施設とは別に「医療型児童発達支援施設」もあり、どちらも対象は未就学児となっています。
※尚、児童発達支援施設には「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業」の2つがあります。都道府県や市区町村から発達支援の必要があると認められた就学前の子どもに対し、保育や療育の通所支援や保護者の相談・支援のほかに、保育園・幼稚園などの施設との連携も行います。
児童発達支援センターは「児童発達支援を行うほか、施設の有する専門性を活かし、 地域の障害児やその家族への相談、障害児を預かる家族への援助・助言を合わせて行う地域の中核的な療育支援施設』というのが主な役割です。
(厚生労働省「児童発達支援施設の位置づけについて」)
児童発達支援センターは障害の種別による区分をなくし、障害児にとって身近な地域で支援を受けられるように施設の類型が一元化されたことも機能の特徴に挙げられます。つまり、大きな目的は子ども達が住んでいる地域の中で、支援や療育が受けられること。都道府県や市区町村から、発達支援の必要があると認められた就学前の子どもに対し、保育や療育の通所支援や保護者の相談・支援のほか、保育園・幼稚園などの施設との連携も行う施設です。
さらに、児童発達支援センターは「福祉型」と「医療型」の2種類に分かれ、どちらの場合も施設の利用者以外の相談に対応したり、発達支援が必要な子どもが通っている保育園・幼稚園などに援助や助言を行ったりします。
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未就学児を対象とした児童発達支援施設に対し、就学児を対象とした障害児の通所施設には放課後等デイサービスがあります。放課後等デイサービスは、6歳(小学校1年生)から18歳(高校3年生)までの障害をもった子ども達や、発達に特性があり支援を必要とする子ども達が利用できる通所支援サービスです。放課後等デイサービスも児童発達支援施設同様に、児童福祉法に基づくサービス施設となっています。 同じく児童福祉法が改正された2012年4月に開始され、それまで未就学児と就学児が一緒に通園できるサービスを行っていましたが、別々に支援サービスが行われるようになりました。
平日の放課後や土曜日、祝日、行事の代休、夏休みなどの長期休暇などに利用することができ、生活能力の向上や集団生活への適応を目指した訓練や日常生活動作の指導などが継続的に行われます。
厚生労働省の『放課後等デイサービスガイドライン』では、3つの基本的役割が定義されています。
・児童福祉法第6条の2の2第4項の規定に基づき、障害をもっている就学児に、授業の終了後や休業日に生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進、その他のサービスを提供する。
・放課後等デイサービスは支援を必要とする障害のある子どもに対して、学校や家庭とは異なる時間や空間、人、体験等を通じて、個々の子どもの状況に応じた発達支援を行うことにより、子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図ることが目的。
・放課後等デイサービスの提供に当たり、子どもの地域社会への参加や包容(インクルージョン)を進めるため、他の子どもも含めた集団の中での育ちをできるだけ保障する視点が必要。
・放課後児童クラブや児童館等の一般的な子育て支援施策を、専門的な知識・経験に基づきバックアップする「後方支援」としての位置づけも踏まえつつ、必要に応じて放課後児童クラブ等との連携を図りながら、適切な事業運営を行う。
・一般的な子育て支援施策を利用している障害のある子どもに対して、保育所等訪問支援を積極的に実施する等、地域の障害児支援の専門機関としてふさわしい事業展開が期待されている。
①子育ての悩み等に対する相談。
②家庭内での養育等についてペアレント・トレーニング等を活用しながら、子どもの育ちを支える力をつけられるように支援。
③保護者の時間を保障するためにケアを一時的に代行→保護者が子どもに向き合うゆとりと自信を回復→子どもの発達に好ましい影響。
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各施設における人員の配置基準は、以下の通りです。児童発達支援施設と放課後等デイサービスの人員配置基準は、基本的に同じです。
重症心身障害児以外対象 | 重症心身障害児対象 | |
---|---|---|
管理者 | 1人以上(原則、専任) | 1人以上(原則、専任) |
児童発達支援管理責任者 | 1人以上(専任且つ常勤) | 1人以上 |
保育士 または 児童指導員 |
・障害児10人以下の場合:2人以上 ・障害児10人以上の場合:保育士または児童指導員2人に加え、 5人または端数が増すごとに1人加えた人数以上 ※いずれも1人以上常勤(通所時間を通じて配置) |
1人以上 (開所時間を通じて配置) |
看護職員 | 医療ケアを行う場合は、その時間のみ配置 | 1人以上(開所時間を通じて配置) |
機能訓練担当職員 | 機能訓練を行う場合は、その時間のみ配置 | 1人以上(機能訓練を行う時間帯のみ配置) |
※児童発達支援施設はセンターと事業所の2種類がありますが、それぞれ必要とされる職種や人数は異なります。
※管理者は原則、専任とされていますが、業務に支障がない範囲で児童発達管理責任者などほかの職務との兼務は可能。
※職員の半数以上が保育士または児童指導員であれば、看護職員や機能訓練担当職員を人数に含めることが可能。(但し、医療ケアや機能訓練を行う時間帯は除く)
施設長・管理者 | 1人以上 |
児童発達支援管理責任者 | 1人以上 |
保育士・児童指導員 | 各1人以上(概ね障害児の人数を4で割った人数) |
医師 | 1人以上 |
看護職員 | 1人以上(主に重症心身障害児が通所する場合) |
機能訓練担当職員 | 1人以上(主に重症心身障害児が通所する場合) |
機能訓練担当職員(言語聴覚士) | 指定児童発達支援の単位(注1)ごとに4人以上(主に難聴児が通所する場合) |
栄養士 | 1人以上(利用者の定員が40人以下の場合は、配置不要) |
調理員 | 1人以上(外部に調理業務を委託する場合は配置不要) |
※職員の半数以上が保育士や児童指導員であれば、看護職員や機能訓練担当職員、聴能訓練担当職員を人数に含めてもよい。(但し、医療ケアや機能訓練、聴能訓練を行う時間帯は除く)
注1
言語聴覚士の配置条件にある「指定児童発達支援の単位」とは、定員の考え方を単位としてとらえる考え方です。
例:利用定員が10人以下の場合
同時進行で2単位実施 | 時間帯別に2単位実施 | |
---|---|---|
実施時間と定員 | 10時~17時 単位① 定員10名 単位② 定員10名 |
10時~12時 単位① 定員10名 13時~17時 単位② 定員10名 |
人員 | 単位ごとに配置 | 単位ごとに配置 |
設備 | 単位ごとに設置 | 共用可能 |
看護職員 | 医療ケアを行う場合は、その時間のみ配置 | 1人以上(開所時間を通じて配置) |
※単位①②それぞれに、言語聴覚士を4人ずつ配置する必要があるということになります。
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保育士が、児童発達支援事業施設と放課後等デイサービスで働く場合の仕事内容について、それぞれ解説します。
児童発達支援施設での保育士の主な仕事内容は、発達支援が必要な子ども達に対し、「日常生活における基本的生活習慣や動作」「集団生活への適応力」「知識や技能」などが習得できるよう援助や指導を行うことです。保護者に対する支援も大切な仕事で、児童発達支援センターでは保護者相談会を行ったり、医療型の児童発達支援センターでは上肢・下肢や体幹の機能障害がある子どもに対しての援助を行ったりします。
児童発達支援事業所では10〜15人の子ども達を一緒に指導する「集団指導」、一人ひとり個別に指導する「個別指導」の2つがあります。 2つの施設における保育士の仕事内容には、大きな違いはありません。
発達支援が必要な子どもや、その保護者に対する援助や支援を行うにあたり、個々の状況に応じて個別の支援計画を作成することも大切な仕事。発達支援に関しては、保育士のスキルや知識だけでは難しい面が多くあるため、毎日子どもと身近に接するため専門的な知識を学ぶことが必要です。また、保健センターや医療機関などの専門機関と連携することも大切です。
保育園・こども園と、児童発達支援施設での子どもや保護者に対する関わり方には大きな違いがありません。どちらも子ども達や保護者との関わりは1対1ですので、個別に対応することが求められます。発達支援が必要な子ども達は、集団生活が難しいことから言葉で指示を伝えるのが困難な場合が多いため、園に比べてより一層個々に寄り添った関わりが必要です。自傷行為のある子や多動の子なども多くいるため、安全管理にもより一層の注意をする必要もあります。
そして、児童発達支援施設は保育園やこども園に比べると定員が少ないため、日常的に子ども達や保護者一人ひとりと密に関わることができます。したがって、より信頼関係が築きやすい環境だと言えるでしょう。
放課後等デイサービスと児童発達支援は対象となる年齢が異なりますが、保育士の仕事内容はよく似ています。放課後等デイサービスにおいて、保育士は子ども達の障害の程度に合わせた細やかな対応をすることが何より大切であり、そのうえで子ども達が自信をもって日常生活を送ることができるよう一人ひとりに寄り添ってサポートすることが求められているのです。 子どもや保護者との対話を重ねたり、子どもの日々の様子を見たりすることで「目の前の子どもに何が必要なのか」「保護者はどのような要望をもっているのか」などについてしっかりと把握し、適切な援助を行うことが必要になります。
「1人ひとりの子どもの成長のための目標や必要なこと」「どのようなサポートが必要なのか」などが記載されている個別支援計画に基づき、その子に必要な支援を適切に行うことが重要。その中には、屋内外で子ども達と遊んだり対話したり、子ども達1人ひとりにしっかりと関わる場面も多くあります。
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児童発達支援事業施設と放課後等デイサービス、それぞれの1日のスケジュールは大体以下のようになっています。(時間は目安です。時間や内容は、施設や日によって異なります。)
~10:00 | ・順次登所(送迎) ・視診、身支度、排泄 ・自由遊び |
10:15~ | ・朝の会(挨拶、出欠、1日の予定確認、歌や体操など) |
10:30~ | ・療育プログラム ・個別プログラム ・散歩、戸外遊び等 (適宜水分補給、排泄等) |
11:30~ | ・排泄、手洗い |
12:00~ | ・昼食 |
12:30~ | ・歯みがき、排泄 ・午睡 |
15:00~ | ・おやつ |
16:00~ | ・順次帰宅(送迎) |
下校後(放課後) | ・送迎~順次登所 ・視診、身支度、排泄 |
15:00~ | ・はじまりの会 (挨拶、出欠、1日の予定や課題確認、歌や体操など) ・おやつ |
15:30~ | ・宿題、自由遊び等 (適宜水分補給、排泄等) |
16:30~ | ・休憩 |
16:45~ | ・療育プログラム ・個別プログラム (適宜水分補給、排泄等) |
17:45~ | ・おわりの会 |
18:00~ | ・送迎~順次帰宅 |
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児童発達支援施設、放課後等デイサービスどちらも4週8休制(保育士及び児童指導員)で、年間120日前後という施設が多くなっています。保育園やこども園で働く場合と同じくらいですが、保育園やこども園と比べて土日休みが多くあります。
また、保育園やこども園によっては残業のある場合もありますが、発達支援施設は保育園やこども園に比べると閉所時間が早く残業がほとんどありません。
勤務時間については、放課後等デイサービスに勤務する場合だと普段は学校の下校後に来所するため出勤時間は遅いでしょう。ただし、長期休暇中は朝から来所するので早い出勤となります。時期によって勤務時間は不規則になるでしょう。
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幼稚園教諭から『新園オープン』『2歳児保育』にトライ!
「子どもが好き!」の思いから、5年のブランクを経て復帰
長く勤められる園を求めて、転職を決意
待機児童を何とかしたい、その思いで北海道から関東へ