2023/11/5更新
保育士なら知っておきたい発達障害について、子ども、保護者への配慮の仕方など詳しく紹介します。
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文部科学省のデータによると、特別支援教育を受ける子どもの数は、2009年に25.1万人から2019年には48.6万人と、約2倍になっているそうです。そうした傾向もあり、最近では保育士の皆さんも「発達障害」という言葉を多く目にするようになっているのではないでしょうか。
実際、「発達障害」を持つ子どもが保育園に通いながら療育施設に通う場合も増えています。それに伴って、そうした子どもを担任したり、関わったりする保育士も増加しているのが現状です。
よって、保育士であれば発達障害についてきちんと知っておく必要があります。
発達障害とはそもそも何なのでしょうか。 発達障害とは、一般に「脳機能の発達のアンバランスさが原因で、発達の全般的な遅れや部分的な遅れ、偏りがあり、社会生活に支障がある状態」のことを言います。 発達障害は服薬や手術で治るものではありません。その特徴は生涯にわたって続いていきます。しかし、早い段階から本人の発達の特性を理解して関わっていくことで、本人なりの成長が期待でき、社会に適応するための力を身につけていくことができます。
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発達障害は、大きくASD(自閉症スペクトラム)・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・LD(学習障害)の3つのタイプに分けられます。
人の気持ちを想像・理解することが苦手・人とコミュニケーションを取ることが難しい・興味・関心が限定している・強いこだわりがあることなどが特徴です。自閉症、高機能自閉症(広汎性発達障害)、アスペルガー症候群などが含まれます。
言葉の遅れをきっかけに3歳までに医師から診断されるケースが多いようです。
おもな行動:
・言葉に遅れがある
・視線が合わない
・指さしをしない
・同じ行動を繰り返す
・表情が乏しい
・ごっこ遊びをしない
・友だちに興味を示さない
・順序や決まりにこだわる
不注意や多動行動が目立つ・落ち着きがない・集中力が続かない・すぐ感情的になることなどが特徴です。ただし、健常児との違いがわかりづらく、幼児特有の落ち着きの無さか、ADHD由来なのかを見極めるのは難しいと言われています。
おもな行動:
・遊びや活動に集中して取り組めない
・呼びかけに応じない
・指示を理解しない
・ケアレスミスが多い
・順番待ちが苦手
・思いついたらそのまま行動する
・持ち物の取り違えや物を失くすことが多い
・椅子に座っていられず、立ち歩いたり寝転んだりする
・不必要な動きが多い
読む、書く、計算するなど特定の分野の学習に著しい困難があるのが特徴です。「国語はできるけれど算数が全くできない」など、特定の課題だけが著しく遅れがある場合、LD(学習障害)が疑われます。
主に、ディスレクシア(読字障害)、ディスグラフィア(書字表出障害)、ディスカリキュリア(算数障害)の3つに分類されます。知的な発達に特に問題が見受けられないので、「勉強が嫌いなだけ」と周囲の人に思われてしまうことの多い障害です。
おもな行動:
・聞いたことをすぐに忘れてしまう
・一対一だと話がスムーズにできるが、集団の中だと難しい
・話したいことだけを話す
・言葉の言い間違い、聞き返しがとても多い
・相手の言うことが理解できない
・はさみの使用、折り紙、のりづけができない
以上3つのタイプがありますが、障害のタイプを明確に診断することは実は難しいようです。発達障害の特性のあらわれ方は1つだけの場合もあれば複数ある場合もあるからですす。その子によって、障害の特徴がそれぞれ少しずつ重なり合っていることも多いようです。
また、発達障害の特徴がみられるものの、診断基準に満たなかったり、受診していない状態の子どもは「グレーゾーン」と呼ばれます。
一つ注意したい点ですが、保育士は子どもを見て「この子は発達障害だ」と、決して診断してはいけません。障害の診断ができるのは、医師のみだと認識しておく必要があります。
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発達障害は、大きくASD(自閉症スペクトラム)・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・LD(学習障害)の3つのタイプに分けられます。
まずは、発達障害の特性を知り、理解を深めることが大切です。さらに、書籍や研修などで得た知識を土台にして、実際の保育現場で試していきましょう。
発達障害のある子どもへの対応は具体的な事例を蓄積していくことがポイントとなります。例えば、「〇〇くんは保育士が横にいて話すことで、話を聞いてくれる」などの成功事例を積み重ねていくことで応用力がついていきます。それを職員で共有して、園全体のスキルを向上していきましょう。
発達障害の誤解の一つに「その子に障害があるから、困った状況が起きる」というものがあります。ただし医学的な見地からは、障害は「個人要因」だけで生じるのではなく、「環境要因」との相互作用により生じるとされています。つまり、環境づくりが重要なのです。
保育士は、「○○ちゃんには障害があるから」など、子どもの特性に原因を求めるのではなく、どうして困った状況が起きるのか、どうしたら防げるのかをまず考えてください。
例えば、園内での約束を理解しにくい子には、すぐに思い出せるように保育室内に掲示物を貼る、忘れっぽい子にはチェックリストを用意するなどが考えられます。苦手な部分をフォローするツールを作るなどして、環境を整えてあげることが重要です。
発達障害の特性や子どもの個性によって、それぞれの子どもの支援方法は異なります。なので、子どもの得意なこと、不得意なことを理解するよう心がけましょう。
例えば、通常のカリキュラムを達成するのが難しいようなら、その子専用のカリキュラムを作成することをおすすめします。発達障害のある子どもは、得意なことに対しては集中力を発揮できる場合もあります。
さらに、一人ひとりに合った支援方法を絞り込んでいくために、内容を検証していくとよいでしょう。2~3週間のサイクルで試して成果を振り返りましょう。うまくいかない場合は、成果が見られるまで別の方法を試してみる必要があります。
保育士は「できないこと」を叱らずに、「できたこと」を一つひとつその場で褒めてあげることが基本です。例えば、友達に優しくできた時には、「今日はお友達と仲良く過ごせているね」など保育士が心から褒めることで、子どもには伝わります。
さらに、叱ることで子どもの自己肯定感が下がると、二次障害を起こしてしまうこともあります。
二次障害とは、発達障害への理解不足から発生する現象です。具体的には、子どもが「どうしてできないの!」など叱られたりすることで、自己肯定感が大きく下がり、挑戦する前から諦めるようになってしまうことなどがあげられます。
発達障害のある子どもと話す場合には、子どもの状況を知るためにもこちらが一方的に話すのではなく、子どもと向き合って対話する姿勢を心がけてください。
有効な話し方:
・赤ちゃんをあやすように、子どもの顔を見ながら穏やかに話す
・ゆっくり、はっきりと、トーンを落として話す
発達障害のある子どもへの関わりは、保育士一人の問題ではなく、職員全体で考えなければいけない問題です。専門家の指導も受けながら、関わり方を考えて園全体で共有していく必要があります。
職員間で話し合い、対応方法を具体的に決めて園全体で統一していきましょう。どの保育士も同じ対応ができることで、子どもや保護者の安心にも繋がっていきます。
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発達障害の子どもをもつ保護者への対応について紹介します。
保護者には親身に寄り添いながら、保護者が困ったときに相談できる姿勢が大切です。保護者も家庭で子どもを育てながら試行錯誤しています。なので、保育士は子どもの成長を感じられる場面、保育園での取組みなどを伝えていくとよいでしょう。そうすることで、子どもにとってのよりよい支援を一緒に見つけていく関係が育ちます。
発達障害の子どもへの支援では、保護者と密に情報交換をしていくことが重要です。その際、保護者には前向きな言葉がけを心掛けます。「保育園ではこうしたら、うまくいきましたよ」という情報は保護者にとってありがたいものです。保護者からも家庭での様子を話しやすくなり、保育園と家庭での支援方法を統一していくことにも繋がります。
発達障害の子どもを担当する保育士は孤立しがちです。なので、悩みは一人で抱え込まず、同僚や主任、園長に相談しましょう。
保護者対応は園全体で把握して、フォローすることが大切です。職員によって対応が異なると「あの先生はやってくれたのに」という気持ちを抱かせることもあり、保護者との信頼関係にマイナスになります。
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発達障害の子どもへの対応は、個別が基本となります。一人ひとりの症状の特性や個性などを見極めて、最適な支援を探していきましょう。また、個々の保育士に任せるのではなく、保育園全体で統一した対応をしていくことも大切です。
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