待機児童0なのに入所できない?!「保留児童問題」とは

認可保育園への入園を希望しても入れない「待機児童」は、前年より1,370人減少した21,371人になったと、今月12日に厚生労働省の調べにより分かりました(今年4月時点)。待機児童数は4年連続で減少していますが、高まるニーズに保育園の新規開設や保育士の確保が追いついていない状態です。

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“待機児童0=入園希望者がいなくなった”ではない

ここ数年、ニュースなどで取り上げられ耳にすることが多くなってきた「待機児童」。なんとなく、“保育園の入園を希望しているにも関わらず、入れなかった子どもたち全体の数”と思ってしまいがち。しかし、入園希望の状態だとしても、特定の要件を満たしていると「待機児童」の対象から外れてしまうことがあるようです。

待機児童にカウントされない条件

「待機児童の除外条件」は各自治体が判断しており地域によってばらつきがありますが、以下のケースは除外されてしまうことが多いようです。

無認可保育園や個別型保育の利用者

認可保育園への入園を申し込んだもののそれが叶わなかったため、無認可の保育園や、保育ママ・ベビーシッター等のサービスを利用している場合

育休取得者・育休延長者

入園できなかったために育休を取得した場合や、育休を延長した場合

特定保育所の申込者

現在入園しているが第1希望の園でない等の理由により転園希望を出している場合や、入園可能な保育園があるにも関わらず、特定の保育園を希望するために待機している場合



上記の他にも、親が自宅で求職中の場合なども待機児童からは除外されてしまいます。
無認可保育園への入園や育休の延長に対して、保護者が最終的に満足しているのであれば問題ありませんが、それが「やむを得ず」の対応だった場合は単に数字上の待機児童数が減っただけで、「子育てしやすい社会」になってきたとは言えないでしょう。

こうした「待機児童に含まれないが、希望の保育所に入れていない児童」は、いわゆる『保留児童』と呼ばれ、新たに問題となっています。実際、待機児童0を達成した横浜市も約3,000人の保留児童がいると推定されています。

待機児童の定義統一を検討

待機児童の定義については、厚生労働省が通達を出しているものの細かい判断は各自治体にゆだねられているため、地域によってばらつきがでてくるという問題もありました。

これを受けて厚生労働省は定義統一を検討するとしています。待機児童を「入所を申し込んだが利用していない児童」と定め、上記のような「無認可保育園利用者」や「育児休業を延長した場合」も対象に含める予定です。

この定義変更が本当に実行されると、待機児童の数は増加が予想され「問題が悪化した」と捉えられてしまう懸念はあります。

しかし、正確な状況を把握できるようになるため、それに即した対応がしやすくなると言えるのではないでしょうか。

政府は2018年までに待機児童0を目指し、今年中に「保育士確保プラン」を策定するとしています。保育士の待遇改善や60万人以上と言われている潜在保育士の活用に、より一層注力することを期待したいですね。

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