厚生労働省発表で除外されている、実質待機児童とは
- 保育ニュース
- 2015/06/01
保育所入所待機児童数。厚生労働省の最新発表では、2014年10月時点で全国に43,184人。前年同月比で934人減少していると発表されています。
しかし、実際には認可保育所を利用したくても入ることができない「本当の待機児童数」はもっと多いと言われています。どういうことでしょうか?
厚生労働省は待機児童数をこうカウントしている
厚生労働省が発表する待機児童数は、「認可保育所に入所希望を出しておきながら入所できなかった児童の数」。地方単独事業(東京都の認証保育所など)に入所していれば、「待機児童」とはみなされないので、実質的な待機児童はもっと多いと言われています。 更に今後は、4月に施行された子ども子育て支援新制度の給付対象となる施設(小規模保育、家庭的保育などが含まれる)に入所していれば待機児童数から外されます。
認証保育所に入所しているのに、なぜ実質待機児童なのか
認証保育所に入ることが出来ても、認可保育所への転所を希望する保護者はたくさんいます。その理由は、月々支払う保育料や保育の設備環境に関して、認可と認証では大きな格差があるためです。
・設置基準が違う
認証保育は自治体独自の制度で設置基準を設けており、児童福祉法に基づいて国が設けている認可保育所よりも設置基準が緩和されている。
園児1人あたりの基準面積、職員の数、給食の調理室の有無、遊具の充実など、環境設備の面で認可保育に劣るケースが多い。
・保育料が違う
認証保育所の保育料の設定は各認証保育所が行う。多くが上限の6〜7万円程度。自治体によっては10万円近くかかるケースもある。
一方、認可保育所であれば助成金が支給されるため、保護者が実質支払う保育料は2〜4万円程度。保護者の経済的負担に倍以上の格差がある。
「まだまだ認可保育所は足りない」目黒区では市民がデモ活動
目黒区や練馬区では、在住の母親や保育士ら130人が「認可保育所の増設」を訴えるパレードを行いました。
目黒区は、厚生労働省の発表で除外されている「認証保育所に入所しながら認可保育所を希望している、実質待機児童率が都内で最も多い区なのだそうです。
部外者である我々はこのようなニュースによって初めて、国が発表する数字では見えてこない実質待機児童の存在、その当事者である保護者は非常に困窮していることがわかります。
厚生労働省が発表した「待機児童数の多い市区町村」で、目黒区は都内で10位の247名。
しかし、東京新聞社が独自に行った調査(認証保育所に入所しているなどで除外されている待機児童を含めた調査)結果によると、東京都で最も認可保育所に入れない待機児童の割合が多かったのは目黒区と発表。
東京新聞2015/5/25「認可保育所 充実訴えパレード」より
2015年4月時点の待機児童数は今年9月に発表されます。
国をあげた政策は各自治体において現在進行形で注力されており、数字としても成果出ていることが予想されます。
ただし、数字から除外されている実質待機児童がいること、根本的な問題解決には、まだまだ大いなる努力が必要である、という認識が必要です。
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