【0歳児の保育】ねらいや活動内容など、保育士が押さえるべき0歳児の特徴
- 保育士お役立ち情報
- 2023/06/18
0歳児から5歳児までの子ども達が通う保育園やこども園で働く保育士は、毎年さまざまな年齢のクラスを担当するでしょう。したがって、各年齢の成長・発達の様子や特徴を理解し、各年齢に合った保育を行う必要があります。0歳から5歳までの子どもの年齢差は、5歳。大人になると5歳の年齢差はさほど大きくありませんが、0歳から6歳を比べると大きな差があることに気付くはずです。つまり、乳幼児期は人間の生涯の中でも、最も変化が大きい時期と言ってよいでしょう。
今回の記事では、0歳児の成長・発達の特徴や保育のねらいなどについて解説します。生まれて間もない0歳児は話すことも立つこともできず、保育士の援助や解除が不可欠です。0歳児クラスを初めて担当する人は、特によく読んで参考にしてください。
尚、当然ですが子ども達は個人差があるため、成長や発達の特徴について一般的な内容を紹介します。保育に当たっては、目の前にいる一人ひとりの子ども達と向き合い、その子に応じた保育を行うことを念頭に置いて読んでください。
0歳児の特徴
0歳児クラスは0歳で生まれたばかりの子どもから1歳の誕生日を迎える子ども達まで、学年で考えると2学年の子ども達が一緒に過ごす場合もあります。したがって、同じクラスの中でも成長の差はほかのクラス以上に大きいため、個々への関わりが非常に重要です。
0歳児は、月齢ごとに成長の幅が異なります。月齢ごとの成長の目安を紹介します。
1〜2カ月
新生児期と呼ばれる生後1〜2カ月の時期では、まだ園に入園する子はいないと思いますが、成長の目安としては以下の通りです。
生後間もない赤ちゃんは首も座っておらず1人で座ることもできないので、ほぼ1日中寝て過ごします。首がすわるまでは、抱きかかえるときにしっかりと首を支え、横向きに抱っこするようにしましょう。
この時期は「あー」「うー」など単語を伸ばす“クーイング”と呼ばれる発声をしたり、空腹時や眠いときなどに泣いたりして感情を表現します。ミルクを飲んだりオムツを取り替えてもらったりすることで、心地よさや満たされるという感情を経験していくのです。そして、大人に対する信頼感も形成されていきます。この時期は昼夜問わず睡眠と授乳を繰り返しながら外の世界に順応していくので、子どものペースに合わせた関わりをすることが大切です。
また、人やおもちゃなど気になるものが視界に入ると、目で追う“追視”も始まります。
3〜4カ月
生後3〜4カ月は、産休明けで母親が仕事に復帰するなどの事情で、早い子は入園してくる子もいるでしょう。 この時期は、“ハンドリガード”と呼ばれる時期になります。ハンドリガードとは、自分の手を見つめたり手足を口に入れてみたりして自分の手足を認識する赤ちゃん特有のしぐさのことです。それから少しずつ成長し、おもちゃなどを握って動かせるようになっていきます。そして首が段々と安定してくると、腹ばいの姿勢になり顎を上げることができるようにもなっていく時期です。名前を呼ばれたり音が聞こえたりすると聞こえてきた方向を向くこともあり、首がすわりはじめます。
そして、泣く以外にも感情表現が徐々に豊かになり、笑顔も多く見られるようになるでしょう。クーイングから少し成長し、喃語を話し始める子もいます。
5〜6カ月
この頃から寝返りを打てるようになり、首がすわって安定してきます。仰向けに寝た状態から両手をつないで起こし、頭が上がるようになれば首がすわった証です。首がすわると横向きから縦の抱っこやおんぶができるようになり、大人は子どもを抱っこやおんぶしながらいろいろなことができるようになります。さらに目と手が協応するようになり、目で見えたものの距離感を図り、手でつかむことが少しずつできるようになっていくでしょう。
この時期は、両親や保育士など身近に関わる人が段々区別できるようにもなっていく時期です。認知能力も発達するため、“いない いない ばあ”などの遊びで喜ぶようになります。そして、手でつかんだ物はなんでも口に入れて確かめようとする時期なので注意が必要です。
7〜8カ月
この時期は、まだ不安定ですが1人で座ることもできるようになったり、“ずりばい”を始めたりする子が出てきます。座ることができると両手が使えるので、1人で遊べる内容が増え、興味や関心も広がるでしょう。そして、少しずつ睡眠のリズムが整ってくるのも特徴です。
感情面では、喜怒哀楽の表現がより豊かになり、嬉しさや不快感が伝わりやすくなります。保護者や担任の保育士と愛着関係が築かれるようになり、慣れない人に対しては人見知りが始まり、泣くこともあるでしょう。
9〜10カ月
ずりばいから発達し、ハイハイをして移動する子が出てくる時期です。いろいろなものに興味や関心を抱き始め、興味があるものを見つけると積極的にハイハイで移動するようになります。ハイハイのやり方にも個人差があり、お尻を上げて進む“高ばい”を好む子や、座ったまま両手を床についてお尻を持ち上げながら移動する子もいるでしょう。また、ハイハイをほとんどしないままつかまり立ちに移行する子もいますが、心配する必要はありません。
そして喃語が増え、活発に声を出す場面が多くなります。安定して座り、自由に動けるようになることで1人遊びをますます楽しめるようになるでしょう。好きなおもちゃで遊んだり、園では周囲の友だちに興味をもって近寄ったり見つめたりする様子も見られる時期です。また、この頃から後追いも始まり、特定の保育士がいなくなると泣きながら後追いすることもあります。
11〜12カ月
もうすぐ1歳を迎えるこの時期は、“つかまり立ち”や“つたい歩き“をする子が多く出てきます。中には、歩き始める子も出てくるでしょう。指先の機能も発達し、ものをつかむだけではなく、小さいものをつまむことができるようにもなります。
また、生まれたばかりの頃はほとんど見えない視力も発達し、視力が0.1以上になり、周りのものがよく見えるようになるため、興味深く周りをキョロキョロ見回す様子も増えるでしょう。大人が言うことも、少しずつですが理解できるようになり、大人が言うことを喃語で真似する様子も見られるようになります。そして「ちょうだい」というように手を出したり、指を差したりすることも少しずつできるようになってくる時期です。
0歳児の保育における保育士の配慮
0歳児の月齢ごとの発達の特徴について解説しました。生まれて間もない0歳児は、大人の介助が最も必要な年齢です。上記で紹介した特徴の目安は一般的なもので、個人によって発達のスピードや生活のリズムは異なるため1人ひとりに合わせた適切な配慮が非常に大切なことは言うまでもありません。
適切な配慮を行うための注意点について紹介します。
【言葉かけ・スキンシップ】
0歳児は、まだ言葉を話せないだけではなく、大人が話すことも理解することはできません。だからと言って、何も話しかけなくてもよいわけではありません。むしろ、何も分からないからこそ目を見ながらたくさん声をかけ、優しい声で話しかけることが大切です。大人がしっかりと反応し、声を聴かせることで気持ちが安定し、コミュニケーション能力の基礎が培われていくのです。オムツ交換や授乳の際も無言で行うのではなく、声をかけながら行いましょう。歌を歌って聞かせたり、音が出るおもちゃを使って遊んだりすることも効果があるでしょう。
言葉かけだけではなく、抱っこやおんぶなどできるだけスキンシップを行い、子どもとの愛着関係や信頼関係を築くことも大切です。昔は「抱き癖がつくから抱っこをしすぎないほうがよい」などと言われたこともありましたが、泣いたときだけではなく、たくさん抱っこして声をかけてスキンシップを取ることを心掛けましょう。子どもは愛されていることを実感でき、情緒の安定につながります。
【安全管理】
首がすわる前の生後6カ月ごろまでは、寝ていることがほとんどですので、どこかにぶつけたり転んだりするような危険はありません。しかし、目を離したすきに毛布などが顔にかかって窒息したり、ほかの子が顔を触ったりするなどの危険がないようしっかりと見守る必要があります。
座ることができ、つかまり立ちや伝い歩きから歩行ができるようになると、ぶつかったり転んだり落下したりなどの危険性が高まります。お座りや歩行が安定せず、ひっくり返って頭を打ったり転んだりすることが起こりやすい時期なので、安全な環境構成やそばについて咄嗟に支えるなどの配慮をしましょう。しかし、ケガを恐れて動きを制限してしまうことは、子どもの成長の妨げになります。安全面に配慮しつつ、子どもの身体的発達を妨げることなく、さらに伸ばしていけるような援助や関わりを心掛けることが大切です。
また、物をつかんだりつまんだりできるようになると、なんでも口に入れてしまう時期でもあり、誤飲の危険性も高まります。飲み込めるような小さいものを置かないなど、日頃から注意していきましょう。
【0歳児】保育のねらい
0歳児は、集団ではなく個別のねらいが必要です。月齢や個人差を踏まえて、1人ひとりの子どもの発達段階に合わせたねらいを作成しましょう。前述した保育士の配慮を踏まえ、子どもの発達を助長する遊びや保育士の援助、配慮を心掛けることが何より大切なことです。
そして、日々の生活を通して保育士とたくさんスキンシップを取り、情緒の安定など情緒的なかかわりも大切にしましょう。
まとめ
0歳児の月齢ごとの発達の特徴や保育士の配慮などについて解説しました。あくまでも一般的な目安であり、月齢や個人差によって変わりますので、目の前の子どもに必要なかかわりや配慮、ねらいの設定を心掛けましょう。
保育は1人で行うものではありません。0歳児クラスには多くの保育士が入るため、チームワークよく協力して行うことが大切です。保育士同士で話し合って共通認識をもって、保育に当たってください。
ライタープロフィール
西須 洋文さん
30年以上、保育士として保育園やこども園に勤務。現在はWebライター、リトミックや親子遊びの講師などとして活動中。
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