【2歳児の保育】ねらいや活動内容など、保育士が押さえるべき2歳児の特徴
- 保育士お役立ち情報
- 2023/05/23
0歳児から5歳児までの子ども達を“3歳未満児”と“3歳以上児”とに分けることがよくあります。3歳未満児の中で1番上の年齢である2歳児は、赤ちゃんから大きく成長し、理解力や言語、運動機能などが発達し、大きく飛躍する年齢だと言えます。そして、3歳以上児やその先の人生において非常に重要な年齢でもあるでしょう。
保育園やこども園に勤務する保育士は、毎年0歳児〜5歳児までのクラスを担当しますので、各年齢の成長・発達の様子や特徴を理解し、各年齢に合った保育を行う必要があります。今回の記事では、2歳児の成長・発達の特徴や保育のねらいなどについて解説します。
尚、当然ですが子ども達は個人差があるため、すべての子ども達が当てはまるわけではありません。成長や発達の特徴については、一般的な内容を紹介します。保育に当たっては、目の前にいる一人ひとりの子ども達と向き合い、その子に応じた保育を行うことを念頭に置いて、参考にしてください。
2歳児の特徴
2歳児は、年度中に3歳の誕生日を迎える子ども達です。3歳と言えば、大分お兄さん、お姉さんらしくなる年齢。成長著しい1歳児に比べても、さらにいろいろな面で目覚ましい成長が見られる時期です。(【1歳児の保育】についてはこちらの記事を参照してください。)
2歳児は、1歳児に比べて月齢による違いが少しずつ小さくなってきます。もちろん4月生まれと3月生まれでは大きな差がありますが、あまりその差が感じられなくなってくる年齢です。
2歳児の成長の目安は、一般的に以下の通りです。
身体
1歳児の頃に身体機能や足腰の力が大きく発達し、つかまり立ちから歩行ができるようになりますが、2歳児ではさらに体力や筋力が発達することで歩行が安定し、階段の上り下りもスムーズになります。そして、走ったりジャンプしたりできるようになるほか、「平均台を渡る」「ボールを投げる」など全身を使った簡単な運動遊びも楽しめるようになる時期です。
また、指先の感覚が養われ、細かい作業が徐々にできるようになったり、スプーンやフォークを使って上手に食べられたりするようにもなります。そして、排泄機能が発達することで尿意がわかり、排泄の自立に向かう年齢です。
言葉
2歳児になると語彙が増え、2語文〜3語文へと少しずつ文章を話せるようになってきます。そして、見たこと、感じたことなど自分の気持ちを言葉で表現でき、大人との会話もスムーズになっていくでしょう。2歳後半になるとさらに言葉が増え、話すことが楽しくなり、自分から進んで話す様子が多くなります。また、好奇心がますます旺盛になり、大人に対して「これ、なあに?」「どうして?」など質問することが多くなるでしょう。
心理
1歳の頃に芽生えた自我が大きく発達し、いろいろなことを「自分でやってみたい!」という気持ちが膨らみます。うまくできないことでも手伝ってもらうことを嫌がり、なんとかして自分でやろうとする姿も見られるようになるでしょう。しかし、まだ自分の気持ちをコントロールすることが難しく、できない悔しさから泣いたり甘えたりすることも多いです。しかし、自分でチャレンジしたことが成功したときの喜びは大きく、成功体験の積み重ねで大きな自信へとつながり、自立心や自発性が芽生えていきます。
基本的生活習慣
言葉の発達とともに気持ちも成長し、「おはよう」「ごめんね」「いただきます」などの簡単な挨拶ができるようになる年齢です。保育士から促されなくても、自分から挨拶するようになる子もいるでしょう。そして、身体面の項目でも解説したように指先の感覚が発達し、手先が器用になるためスプーンやフォークを使って1人で上手に食事ができるようになります。また、尿意や便意がわかるようになり、排尿や排便を言葉で知らせたり、トイレで排泄したりできるようになる子も多いです。衣服の着脱や手洗い、使った遊具や用具の片付けも自分でやるようになるでしょう。
2歳児の活動内容と保育士の配慮
0歳児〜1歳児で芽生えた成長の種が大きく発達する2歳児では、活動内容の幅も大きく広がります。集団活動もできるようになり、友達同士の交流や結びつきも強くなっていく時期。月齢による個人差も1歳児の頃に比べたら徐々に目立たなくなってはいきますが、もちろんまだまだ月齢の差は大きい年齢です。
2歳児の特徴を踏まえ、2歳児ならではの活動内容や保育士が配慮しなければならない注意点について解説します。
【安全面】
運動機能の発達が著しい2歳児は、まだ歩行がおぼつかない1歳児に比べて安定して歩けるようになるので、転倒の心配は少なくなるでしょう。しかし、その分活動範囲が広がり、走ったりジャンプしたり動きが激しくなるため、走っていて友だち同士で正面衝突したり遊具に激突したり、高いところから落下してしまうなど、大きなケガにつながる事故が起こりやすくなります。したがって、安全な環境構成や大きな事故を防ぐ配慮が不可欠です。
子どもの安全を守ることが第一なので、危険なものを取り除くことは必要ですが、子どもは体験して学べることもたくさんあります。保育士としてケガを防ぐ安全な環境づくりは大切ですが、子ども自身が多少痛い思いをして、自分で気をつけようとする気持ちを育てることも必要です。また、いくら安全な環境でも子ども達はじっとしているわけではないので、衝突や落下、転倒などは起きてしまうでしょう。保育士の言葉が理解できるようになってくる2歳児だからこそ遊ぶ前に危ないことはしないように伝えたり、気をつけるよう促したりなど2歳児に理解しやすいように配慮しながら安全面での指導を行いましょう。そのうえで、保育士同士の立ち位置や役割を決める、子どもの人数やコーナーを工夫するなどの配慮が重要です。
【遊び】
1人ひとりの子ども達が自分の興味を持った遊びに没頭できるよう、ブロック、絵本などさまざまな遊具を自由に取り出して遊べるような保育室の環境づくりを行いましょう。手先や指先を使った遊びも楽しめるようになる年齢なので、クレヨンで絵を描く、粘土をするなどの造形活動も集中して楽しめるようになります。工作では、0,1歳児の頃は保育士の手が入る割合も多いですが、2歳児は自分でできる作業が格段に増えるのも特徴です。描く、塗る、糊で貼るなどの作業を楽しくできるように工夫しましょう。また、ハサミで直線を切ることもできるようになります。少人数ずつ行うなど安全面に十分な配慮をしながら、ハサミにも取り組めるとよいでしょう。
遊戯室や園庭など広い場所で遊ぶ時間には、かけっこや鬼ごっこなどのルールがある遊び、投げたりキャッチしたり蹴ったりなどのボール遊びなどが楽しめるようになります。また、平均台やマットなどの用具を使ったり、支持力を高めるためにハイハイで競争したりなど、いろいろな運動遊びを取り入れましょう。保育士自身も、子ども達と一緒になって思い切り身体を動かす姿を見せることで、子ども達はより体を動かす楽しさや喜びが実感できます。しかし、保育士が夢中になりすぎて子ども達に目が行き届かず事故が起きるということがないよう、必ず全体を見る担当を決めるなど安全管理を怠らないよう注意しましょう。
散歩に出掛けた際は、周りの景色に目が向くように声をかけ、町や道の様子、虫や草花など身近な環境に興味を感じ、覚えていけるような言葉かけも効果的です。
【生活習慣】
集団生活である園での1日は、1日の流れが決まっています。ある程度は臨機応変に時間調整をすることはできますが、“給食を食べるのが1時を過ぎる”、“午睡の時間を半分にする”など大幅な時間変更はできません。したがって、いつまでも子どもができるようになるまで待つということは難しいですが、2歳児の子ども達の「自分でやりたい」という気持ちを尊重し、自立心や自発を育てるためにも手を出し過ぎず子ども達がすることを見守るようにしましょう。放置するのではなく、手を出し過ぎることもなく、きちんと見守りながら適切に声かけや援助をする姿勢が重要です。
反対に、できることでも自分からやろうとしない子には「やってみたい」と思えるような働きかけを工夫しましょう。そして、成功したときはもちろん、たとえ失敗したとしても自分で頑張った努力を称え、たくさん褒めることが大切です。
【人間関係】
語彙が増え、自分の気持ちを言葉で伝えることができるようになってくるので、子ども達との会話を楽しみましょう。保育士の言うこともしっかりと理解できるようになるので、言葉での指示も通るようになります。保育士は、2歳児の子ども達にわかりやすい言葉や話し方を意識して話しましょう。
友だち同士でも言葉で気持ちを伝えあえるようになり、一緒に遊ぶ場面も増えるでしょう。その分、友だち同士のケンカやトラブルも多くなります。言葉で伝えられるようになっても、感情的になると叩いたり引っかいたりしてしまう子もいます。相手の気持ちを理解することは難しいので、自分の言い分だけを主張したり、思い通りにならないとキレて暴れたりする子もいるかもしれません。その都度、それぞれの子どもの言い分を丁寧に聞いて気持ちを受けとめ、その状況に応じた対応を心掛けましょう。
【2歳児】保育のねらい
2歳児の指導計画のねらいは、上記した2歳児の特徴や活動内容、保育士の配慮を踏まえたねらいを考えましょう。
例
・好きな遊びをじっくりと楽しむ。
・保育士や友だちと仲よく遊び、一緒に遊ぶ楽しさを知る。
・身の回りのことを自分でやろうとし、達成感を味わう。
・自分の気持ちを言葉で伝えようとする。また、相手の話を聞ける。
・園庭や遊戯場でのびのびと身体を動かした遊び、気持ちよさを感じる。
まとめ
2歳児について、発達の特徴や保育士の配慮、ねらいなどについて解説しました。内容を参考にしながら、それぞれの園の理念や保育目標、活動内容などに応じて指導計画を立てたり環境構成を考えたり、日々の保育の中で目の前にいる子ども達に対する適切な配慮や援助を行っていきましょう。そして、2歳児の子ども達と充実した毎日を過ごしてください。
ライタープロフィール
西須 洋文さん
30年以上、保育士として保育園やこども園に勤務。現在はWebライター、リトミックや親子遊びの講師などとして活動中。
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