保育士の給料が上がっている?「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」について紹介!
- 保育士お役立ち情報
- 2023/02/26
国の施策により2022年から保育士の給料が上がっています。その詳細についてご紹介します。
保育士の給料は上がっている!?
2022年2月より賃上げ実施!
2022年2月から保育士の給料が上がったことは、ご存じでしょうか。園から説明があった方もいるかもしれませんが、すでに保育士給与の賃上げが行われています。
これは保育に携わる人の処遇改善を目的とした国の施策によるもので、「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」といいます。その内容について紹介します。
「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」について
概要
実施時期・内容
2022年2月からスタート。1カ月あたり給料が約9,000円アップ(保育士の給料の約3%として月額9,000円引き上げを実施)
目的
主な目的は以下の3つとなっています。
・一般的に低いとされる保育現場の給料是正
・保育現場の人手不足解消
・新型コロナウイルス感染症の蔓延による保育士の負担増加に対する補填
対象施設
保育所、幼稚園、認定こども園、家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業、特例保育を行う施設など、保育施設全般にわたります
対象者
保育士だけでなく、保育の現場で働く人たちが対象。保育士、幼稚園教諭、調理員、栄養士、事務職員、非正規職員など(施設長、役員、延長保育・預かり保育専任担当等は対象外)
実施状況
2022年2月〜9月までの8か月間実施されましたが、10月からは地方交付税措置による公定価格の見直しにより同様の補助が継続されています。
保育士給料変化について
実は、2015年から処遇改善は進んでいる!
低いといわれることもある保育士の給料ですが、実は近年上がり続けています。今回の「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」よりも前の、2015年から国を挙げて保育士の処遇改善が進められています。
保育士の処遇改善に国が取り組む背景には、待機児童問題と保育士の慢性的な不足があります。なかでも保育士不足については、過去の調査で退職理由の第2位が「給与が安い」だったという事実もあったためです。
実際、以下のような形で給料は上がってきています。
保育士の平均年収(男女)
令和1年度 3,634,600円
令和2年度 3,745,000円
令和3年度 3,822,000円
参考:「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
この3年間で年収が18万円以上アップしています。また、今回の「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」により月額9,000円の引き上げがあったため、さらなる給料上昇につながることが見込まれます。
「全職員の給料が一律アップではない」ので要注意!
「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」については、全職員の給料が一律にアップするわけではなく、運営側の裁量に任されています。なので、思ったほど給料が上がらないという場合もあり得ます。
国の施策に頼っているだけでは、自分が思い描く給料に届くのは時間がかかるという感じている方もいらっしゃるかもしれません。
今よりも給料を上げるためには?
保育士の給料は上がってきていますが、ただ状況を待つだけでなく自分でできることもあります。
保育士として給料を今よりアップさせる方法として、主に2つあります。
キャリアアップをする
キャリアアップして役職に就くことで、給料を上げることが可能です。例えば、平成29年度の内閣府の調査によると、主任保育士になると月収ベースでは約13万円、施設長(園長)になれば約26万円アップするという統計が出ています。
昇給率は園によって違うので、これは統計の平均値に過ぎませんが、役職に就くと給料が上がる傾向にあります。
また、2017年からはキャリアアップ補助金がスタートし、職務分野別リーダーや専門リーダーなどの役職につく保育士には、行政からの補助金が出るようになりました。そのため、「保育士等キャリアアップ研修」を受けて役職に就くことで、給料アップが実現します。
これまで、保育士の役職といえば、園長(平均勤続年数24年)、主任(平均勤続年数21年)の2つしかありませんでした。それが、副主任保育士・専門リーダーは経験年数が約7年以上、職務分野別リーダーは約3年以上の若手や中堅の保育士の方も、キャリアアップを目指せるようになりました。
転職する
今の園でキャリアアップできそうにない場合には、給料が高い保育園へ転職する方法もあります。保育士不足が続く現在、給料面で好条件を提示している職場が数多くあります。
思い切って、今より福利厚生が良い、給料が高い園に転職することは、実は給料アップの早道です。
まとめ
保育士の処遇改善が進み、保育士の給料は上がってきています。今回の「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」によって、さらに給料は上がりました。
保育士の給料は年々上昇傾向にありますが、さらなる昇給を希望している方は、キャリアアップや転職も検討されてみてはいかがでしょうか。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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