児童発達支援施設の保育士求人の特徴と保育園との違いについて
- 保育士お役立ち情報
- 2023/02/06
児童発達支援施設は2012年の児童福祉法改正によって制度が始まり、「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業」の2つがあります。それぞれの施設では今、保育士が必要とされているのです。そして、保育園や認定こども園だけではなく、保育士の資格を活かして児童発達支援施設で働きたいと考える人も増えています。
今回の記事では、児童発達支援施設における保育士の求人の特徴や、保育園やこども園の求人との違いなどを解説します。
児童発達支援施設への転職を考えている人や発達支援について詳しく知りたい人は、ぜひ詳しく読んで参考にしていただけたらと思います。
児童発達支援施設とは
児童発達支援施設とは、平成24年の改正児童福祉法の施行により創設されました。厚生労働省の「児童発達支援ガイドライン」によると、『児童発達支援を行うほか、施設の有する専門性を活かし、 地域の障害児やその家族への相談、障害児を預かる家族への援助・助言を合わせて行う地域の中核的な療育支援施設』という役割があります。
児童発達支援センターは、障害の種別による区分を取っ払い、障害児にとって身近な地域で支援を受けられるように施設の類型が一元化されたのが特徴です。大きな目的の中の1つに、子ども達が住んでいる地域で支援や療育が受けられるようにすることがあります。
児童発達支援施設は都道府県や市区町村から発達支援の必要があると認められた就学前の子どもに対し、保育や療育の通所支援や保護者の相談・支援をするほか、保育園や幼稚園などの幼児施設と連携するのも特徴です。
児童発達支援センターは「福祉型」と「医療型」の2種類があり、施設の利用者以外の相談に対応したり、発達支援が必要な子どもが通っている保育園・幼稚園などに援助や助言を行ったりします。
児童発達支援事業は発達障害を持っている未就学児を受け入れ、自立に向けた訓練を行う通所施設で、保護者支援を行うことも大切な仕事の1つです。
児童発達支援施設で保育士が必要とされている背景には、発達支援が必要な子どもの自立訓練を行い、子供の発育に不安を感じている保護者の支援を行うことがあります。子どもの自立支援や保護者支援を行うに当たり、保育士の専門性が求められているのです。
子ども達の成長や発達には個人差があるため、保育士は一人ひとりに応じた関わり方をすることが大切です。障害がある子ども一人ひとりに対して適切な関わりをもち、その子ども自身やその状況に応じた援助をしなければなりません。適切な関わりをすることで、子ども自身の成長や発達に大きな影響を与えることになります。
そして、少子化により子どもの数は減少していますが、小学校の特別支援学級を志望する子どもの数が増えていることも、保育士の需要が増えている背景にあるのです。
発達支援施設における保育士の仕事内容
保育士が発達支援施設に勤務した場合の仕事内容や役割について、解説します。
児童発達支援施設における保育士の仕事内容や役割
児童発達支援施設での保育士の仕事は、発達支援が必要な子ども達に対し、「日常生活における基本的生活習慣や動作」「集団生活への適応力」「知識や技能」などが習得できるよう援助や指導を行うことです。保護者に対する支援として、児童発達支援センターでは保護者向けの相談会を行ったり、医療型の児童発達支援センターでは上肢・下肢や体幹の機能障害がある子どもに対しての援助をおこなったりもします。
発達支援が必要な子どもや、その保護者に対する援助や支援を行うにあたっては、個々の状況に応じて個別の支援計画を作成することも重要な仕事の1つ。発達支援に関しては保育士のスキルや知識だけでは難しい面が多くあるため、専門的な知識を学ぶことが必要です。そのうえで、保健センターや医療機関などの専門機関と連携しながら子ども達に対して最適な発達支援を行っていきます。
保育園・こども園と、児童発達支援施設での子どもや保護者に対する関わり方には大きな違いがありません。どちらも子ども達や保護者との関わりは1対1ですので、個別に対応することが求められます。そのうえで、発達支援が必要な子ども達は集団生活が難しく、言葉で指示を伝えるのが困難な場合が多いため、園に比べてより一層個々に寄り添った関わりが必要になるでしょう。
そして、児童発達支援施設は保育園やこども園に比べると定員が少ないため、日常的に子ども達や保護者一人ひとりと密に関わることができます。したがって、より信頼関係が築きやすい環境です。
児童発達支援施設での保育士求人
児童発達支援施設が保育士を求人する際の特徴や待遇について、保育園やこども園の求人と比較しながら解説します。
児童発達支援施設での保育士求人の内容
実際に求人サイトに掲載されている、児童発達支援施設での保育士(正社員)の求人の一例を紹介します。(東京都)
求人1
・月給:24〜25万円(経験を考慮)
・応募条件:保育士資格
・定員:30名以下
・年休:120日以上
・福利厚生充実
・通勤:最寄り駅の近く(徒歩圏内)
・交通費支給
・退職金制度あり
・研修充実
・産休及び育休制度あり
児童発達支援施設内における支援業務を行う保育士の募集です。
未就学児が、保育園との併用利用をする施設です。自由遊びや集団保育のほか、個別に感覚統合のカリキュラムを行います。施設内には、保育室・個別課題ルーム・運動スペース・リソーススペースが配置されており、保護者が送迎を行うため、保育士の送迎業務はありません。
続いて、同じ東京都内の保育園の求人例も紹介します。条件も同じ、保育園の保育士(正社員)の求人です。
求人2
・月給:24〜30万円(時間外手当は1分単位で別途支給)
・応募条件:保育士資格、経験不問
・定員:60〜100名
・年休:120日以上
・独自の福利厚生
・通勤:最寄り駅の近く(徒歩圏内)
・退職金制度あり
・ボーナスあり
・産休及び育休制度あり
・借り上げ社宅あり
0〜5歳児の保育業務全般を行います。
女性保育士の職域拡大のため、仕事や家庭の両立、産休や育休取得後のスムーズな職場復帰に向けての各種制度の新設や見直しなどインフラの整備に取り組んでいる園です。
残業0を推進し、ワークライフバランスを整え、長期勤務が可能な環境整備にも力を入れています。
今回はあくまでも一例ですので、それぞれの施設や園によって条件や待遇の違いはありますが、保育園と児童発達支援施設における保育士の求人には大きな違いがないことがわかります。
保育園や認定こども園に勤務し、集団に入れない子や支援が必要な子どもに関わった経験を活かし、専門的な立場として児童発達支援施設で働いてみたいという人は転職を考えてみてはいかがでしょうか。「自分自身の専門性を高めたい」「経験や実績を積んでキャリアアップしたい」と考えている人も、チャレンジしてみるとよいでしょう。
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保育士が児童発達支援施設へ転職する際のポイント
児童発達支援施設への転職を希望する人は、まず保育士向けの求人サイトやエージェントに登録しましょう。初めて児童発達支援施設に勤務する人は、希望と同時に不安な面もあると思います。スタッフに相談したり質問したりすることで詳しい情報を知ることができ、不安や疑問が解消されるでしょう。いろいろな施設を比較して、じっくりと検討することもできます。
登録の際には、勤務したい地域や交通手段、雇用形態など自分の希望を入力することで、その人に合った施設を紹介してもらうことができるため安心です。
面接を受けたい施設が決まったら、面接の前に施設に足を運び、自分の目で見てみることをおすすめします。面接に行けば施設内の様子がわかりますが、外側から施設を見てみることで事前に施設の雰囲気を把握することができるでしょう。
まとめ
児童発達支援施設における保育士の求人について解説しました。児童発達支援施設には、保育園やこども園にはいない保育士以外の専門の職員も在籍しています。園での勤務経験がある人は培ったスキルや実績を活かし、自信をもって働くことができると同時に、保育以外の専門のスタッフから学ぶ点も多くあるでしょう。そのため、さらなるスキルアップやキャリアアップにもつながります。
児童発達支援施設への転職を考えている人や迷っている人は、まず求人サイトなどに登録し、実際の求人を見ながら検討するとよいでしょう。
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ライタープロフィール
西須 洋文さん
30年以上、保育士として保育園やこども園に勤務。現在はWebライター、リトミックや親子遊びの講師などとして活動中。
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