小規模保育園を辞めたい保育士さんが増えている!?働きたいと思った動機が辞めるきっかけとなるその理由とは?
- 保育士お役立ち情報
- 2023/01/16
保育士の間で数年前から小規模園の人気が高まり、小規模園で働きたいと希望する保育士が増えています。小規模園が人気の理由は、職員数も園児数も少ないためアットホームな雰囲気で働けることや、3歳未満児だけでゆったりと保育できる点が魅力的だからです。
しかし、理想と現実の違いからか、小規模園に勤めたけど辞めたいと思う保育士も多くいる現状です。
今回の記事では小規模園のメリットやデメリット、小規模園に勤務していて辞めたくなる理由や対処法について解説します。
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小規模保育園とは
小規模保育園の対象は0〜2歳児で、定員は6〜19名以下です。一般的な認可保育園の対象は0〜6歳児で定員20名以上となっているため、対象となる園児の年齢と定員数に明確な違いがあります。
小規模保育園は、待機児童が増加し社会問題となっていた2015年につくられた「子ども・子育て支援新制度」により、待機児童の解消を目的として認定されました。0〜2歳児の3歳未満の子ども達の受け皿となる保育施設が不足していたことから、未満児を対象とした小規模保育園が作られ、待機児童の解消に向けて大きな役割を果たしています。
保育士にとって小規模保育園で働くメリット・デメリット
子ども達や保護者にとって小規模保育園は、少人数のため家庭的な雰囲気の中で一人ひとりをよく見てもらえて、きめ細やかな保育をしてもらえることが喜ばれています。
保育士にとっては、小規模保育園で働くメリットとデメリットにはどのようなことがあるでしょうか。
小規模保育園で働く4つのメリット
小規模園で働くメリット@ ゆったりと保育ができる
定員が19名以下の小規模園では、少人数のため一人ひとりの子どもとじっくりと関わることができます。3歳未満児だけの園なので配置される保育士の人数が多く、1人の保育士が担当する人数も少ないです。そのため、子ども達の安全をしっかりと見守ることができたり成長の様子が実感できたりすることで、充実感ややりがいにつながるでしょう。
大規模園で3歳未満児の担任になった場合も保育士の配置基準は同じですが、クラスや園全体の人数が多いので、一人ひとりとじっくり向き合うことが難しくなります。
園全体の園児数も少ない小規模園では、自分の担当以外の園児ともじっくりと関わることができ、保護者数も少ないため、きめ細やかな対応もできるでしょう。
小規模園で働くメリットA 行事が少ない
3歳未満児だけの小規模園は、3歳以上児がいる大規模園に比べて行事が少ないことが多いです。また、園児数が少なく低年齢のため、行事の規模も小さいため、準備に多くの時間をかける必要がありません。その分、残業や仕事の持ち帰りが少なく、仕事の負担は少ないでしょう。
行事に追われることがなく日常の保育をゆったりと行えることや、行事が少ないことで休暇が取りやすいというメリットもあります。
小規模園で働くメリットB 3歳未満児の保育をしっかりと学べる
0〜2歳児を預かる小規模園では、0歳の乳児や低年齢の子ども達の保育に特化して経験を積むことができます。0〜2歳児の子ども達は成長が最も著しい時期でもあるため、その成長の過程を間近で学べることは大きな自信につながるでしょう。3歳未満児の保育がしたい、学びたいと思う人にとっては絶好の機会になります。
小規模園で働くメリットC 体力の負担が少ない
動きが活発になる3歳以上児に比べて3歳未満児の活動や動きは限られるため、保育士の体力的な負担も大きくありません。身体を使って思い切り遊びたいと考える保育士にとっては物足りないかもしれませんが、体力的な負担が少ない分ほかの仕事に向ける余力やプライベートの時間に使う余裕が生まれます。
小規模保育園で働く4つのデメリット
小規模園で働くデメリット@ 急な休みを取りにくい
行事が少ない小規模園は休暇が取りやすい反面、職員数も少ないため急な都合で休みたいときに代わってくれる人が限られます。1人欠けることで、ほかの保育士に大きな負担がかかってしまうでしょう。
保育士の配置人数が多い3歳未満児では、保育士が1人欠けることで子ども達への影響も大きくなってしまうため、無理して出勤しなければならないということもあります。
小規模園で働くデメリットA 人間関係が難しい場合がある
職員数が少ない小規模園は、保育士同士も深い関わりをもちやすく、アットホームな雰囲気で働きやすいメリットがあります。しかし、気が合わない人がいたとしても人数が少ないために密に関わる機会が多く、辛いケースがあります。周りにいる人達も気を遣い、職場全体がぎくしゃくしてしまうこともあるでしょう。
小規模園で働くデメリットB 3歳以上児の経験が積めない
3歳未満児の経験が豊富になってスキルアップできる反面、3歳以上児や人数が多い保育、大きな行事の経験を積むことができません。そのため、今後大規模園の勤務や3歳以上児の保育を担当する機会があったときに、苦労をする可能性があります。ずっと小規模園に勤務する希望を持っている人はよいですが、今後幅広い年齢の保育やキャリアアップを目標にしている人にとっては物足りないかもしれません。
また、大規模園では小学校入学前までの成長を見守ることができますが、小規模園では子ども達と一緒に過ごせるのは年少児になるまでの間なので、さみしさを感じる人もいるでしょう。
小規模園で働くデメリットC 遊びが限られる
小規模園は施設も小規模なため園庭がない園が多くあり、戸外でのびのびと遊びたければ園外に出なくてはなりません。近所に公園や広場がなければ、思いきり身体を動かす機会を作ることができません。そのため、室内遊びが多くなってしまうデメリットがあります。しかし、その分保育士にとっては遊びを工夫する力がつくことが期待されます。
小規模保育園で働く保育士が辞めたくなる理由
保育士にとっての小規模保育園のメリットとデメリットを紹介しましたが、大規模園にもメリットとデメリットはあります。小規模園で働く保育士が辞めたくなる理由はなんでしょうか。辞めたい理由の中にはデメリットだけではなく、メリットだと思われるものも含まれているのです。
主な4つの理由を紹介します。
小規模園を辞めたくなる理由@ 人間関係
小規模園や保育士に限らず、職場を辞めたくなる理由として人間関係の問題は必ず上位に入ります。小規模園の場合は職員数が少ない分、人間関係が崩れると園全体の雰囲気が悪くなり、働きにくくなってしまいます。「職場のつきあい」と割り切り、かわいい子ども達のために仕事として協力し合うという意識をもつことが、人間関係の問題を乗りきる秘訣です。
小規模園を辞めたくなる理由A 理想と現実のギャップ
子ども達一人ひとりとじっくり関わり、のびのびと保育できることを期待して小規模園への就職を希望する人は多くいます。しかし、理想を高くもてばもつほど、現実に少しでも違う点があると「こんなはずではなかった」と感じ、辞めたくなってしまいます。特に大規模園から小規模園に転職した人の中に、ギャップを感じてしまう人は多くいます。小規模園と大規模園との違いはありますが、同じ保育園なので共通点もたくさんあることを理解しておくことが大切です。
小規模園を辞めたくなる理由B 仕事が単調でやりがいが少ない
行事の準備などが少なく負担が少ない反面、バリバリと積極的に仕事をしたいと思う人にとっては仕事が単調で物足りなく感じてしまうでしょう。そのため、やりがいを感じることができず、大規模園に転職したいと考える人が多くいるのです。
小規模園を辞めたくなる理由C 責任を重く感じる
小規模園は職員数が少ないため、1人の職員が担当する業務が多くなります。そのため経験が浅い保育士にとっては責任を重く感じてしまい、辛いと感じてしまう人が多くいます。
小規模保育園を辞めたくなったときの対処法
小規模園を辞めたくなったら、転職を検討することをおすすめします。大規模園への転職と別の職種への転職の2通りの転職について解説します。
いずれの場合でも、インターネットやアプリで求人サイトやエージェントに登録することが転職の近道です。いろいろな相談にも乗ってもらえるので、心強くなるでしょう。
関連記事:保育士円満退職!辞めるタイミングの見極め方・注意点は?
小規模園を辞めたくなったときの対処法@ 大規模園に転職する
小規模園で勤務してみて大変だった場合、大規模園に転職することが1つの方法です。施設の規模が大きく、園児も職員も多くいる大規模園では大変な中にもやりがいを感じることができるでしょう。ただし、理想と現実のギャップがあることや、大規模園には大規模園の大変さがあることを理解しておくことが大切です。
小規模園を辞めたくなったときの対処法A 別の職種に転職する
保育士を辞めて、全く異なる職種に転職するというのも選択肢の1つです。保育士以外にもやりたいことがある人は、挑戦してみる機会になるでしょう。しかし、特にやりたいことが見つからない人は後悔しないようよく考えてみてください。
まとめ
小規模園にも大規模園にも、それぞれメリットがあればデメリットもあります。小規模園には魅力があり人気は高いですが、これから就職をしようと考えている人はメリットとデメリットを参考によく考えてください。そして、メリットと思われることが辞めたいと思う原因になることも理解し、せっかく就職したのにすぐ辞めたいと思うようなことがないようにしましょう。
現在、小規模園に勤務していて辞めたいと考えている人は、よりよい職場に出会えるよう、転職サイトやエージェントの力を借りて転職活動を成功させてください。
ライタープロフィール
西須 洋文さん
30年以上、保育士として保育園やこども園に勤務。現在はWebライター、リトミックや親子遊びの講師などとして活動中。
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