意外と低い!? 保育士の離職率について紹介!
- 保育士お役立ち情報
- 2022/10/12
保育士の離職率について、その詳細、離職率の高い/低い保育園の見分け方などを紹介します。
保育士の離職率は?
保育士全体では離職率9.3%
保育士は離職率が高いイメージですが、実際はどうなのでしょうか。厚生労働省のデータによると、保育士の最新の離職率は9.3%となっています。
保育士離職率 全体9.3%
(うち公営)5.9% (うち私営)10.7%
参考:保育士の現状と主な取組(厚生労働省/令和2年)
公営の保育士の離職率のほうが低いことがわかります。
その理由は、公営の保育士は公務員として定期的に昇給があるなど待遇もよく、勤続年数の長い保育士が多いためだと思われます。
他の職業との離職率と比べてどうなの?
全業種の離職率よりも低い傾向!
全職種と比べて、保育士の離職率はどうなのでしょうか。厚生労働省が発表している「雇用動向調査結果」(令和3年)によると、全業種の離職率の平均は13.9%となっています。
保育士は9.3%ですから、全業種の離職率よりも低いことがわかります。
産業別【医療・福祉】全体の離職率よりも低い!
産業別では、保育士が含まれる「医療・福祉」の離職率は13.5%となっていて、保育士の離職率の方が低い数値となっています。 つまり、世間のイメージと異なり、実は保育士の離職率は特別高いわけではないといえるのではないでしょうか。
保育士は経験年数で離職する率が高いの?
経験年数3〜5年くらいの保育士が多い!
それでは、一般的に保育士はどれぐらいの経験年数で辞めていくものなのでしょうか。
保育士 離職者の経験年数:
1年未満 10.0%
1年〜3年未満 20.2%
3年〜5年未満 20.5%
経験年数別での離職率を見てみると、3〜5年くらいの保育士の方が20.5%と多い傾向のようです。また、経験年数5年未満の方で合計すると、50.9%となります。半数以上の保育士の方が5年働かずに保育士を辞めていることになります。
データから、保育士は早期離職の傾向が比較的高いのではないかと思われます。
参考:「保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者に対する意識調査」(厚生労働省 職業安定局/平成25年)
【離職率の高い】保育園の特徴は?
「残業が多いなど」労働環境が良くない!
保育園によって、離職率の高さは異なります。離職率の高い保育園の一般的な特徴について紹介します。
・残業が多い
・有給消化率が低い
・相場よりも給料が低い
・職員同士の人間関係が悪い
職場の労働環境が良くない保育園は、離職率が高くなる傾向にあります。特にサービス残業が常態化している、有給が取りにくい環境の職場であれば、保育士が安定して働くことは難しいでしょう。
残業・労働時間などについては、以下ページで紹介しています。併せて参考にしてみてください。
保育士は忙しい?労働時間、残業時間の実態についてご紹介!
【離職率の低い】保育園の特徴は?
子どもを持つ職員が多い傾向!
では、逆に離職率の低い保育園にはどのような特徴があるのでしょうか。
・職員の数が多い
・子育てママが多く働いている
・男性職員もいる
・福利厚生が充実している
・相場より給料が高い
離職率の低い職場には、一般的に子どもを持つ職員が多い傾向にあるでしょう。なぜなら、急に休まなければならない子育てママの職員にも対応できるよう、余裕を持った人員配置がされているためです。
また、給料が相場よりも高いと、家庭を持つ男性職員の存在も見られる傾向があります。
保育士の処遇改善が注目される中、多くの保育園で職場環境を改善し、離職率を低くしようとしています。例えば、ある保育園では、残業の抑制や仕事の持ち帰り禁止などを徹底しています。また、ある園では、社内表彰式や社内コンテストの実施など開催して、モチベーション向上につなげています。
以前と比べて、保育士の処遇は改善されているので、離職率も年々低くなってきている現状といえるでしょう。
離職率の低い保育園の見分け方は?
ホームページや園見学、面接などでよく観察する!
求職中であれば、できることなら離職率の低い保育園に入りたいものです。では、どうすれば、離職率の低い保育園を見分けられるでしょうか。
面接で時下に直接質問することが一番効果的ですが、観察することで見えてくるものもあります。
ホームページ、園見学、面接などでチェックしたいポイントについて紹介します。
「ホームページ」でチェックしたいポイントは?
年間スケジュール、受け入れ人数や保育士数など
以下で、保育園のホームページでチェックしておきたいポイントをご紹介します。
年間スケジュール
行事が無理のない日程で行われていないか、確認をしましょう。業務負担が多くないか、余裕を持って仕事ができるかどうかの判断にもつながりますね。
受け入れ人数や保育士数
余裕を持った人員配置になっているか、推測することができます。
保護者向けのセールスポイント
例えば「連絡帳を書く負担がありません」などと書かれていれば、保育士にも負担がないと考えられます。
ブログなどにアップされた写真など
ブログなどにアップされた写真から、実際の保育の様子を確認しましょう。明るい雰囲気で楽しそうな印象など感じられる部分があるはずです。また、保育士の関わっている人数などもチェックできれば、余裕ある人員配置がされているかなども推測できます。
「園見学、面接」でチェックしたいポイントは?
掲示物、保育士同士のやり取りなど
以下で、保育園の園見学、面接時にチェックしておきたいポイントを紹介します。
掲示物
掲示物作成は保育士にとって大きな負担になる場合があります。どのような掲示がされているか把握しておくとよいでしょう。
保育士同士のやり取り
言葉遣いやちょっとしたやり取り、コミュニケーションの取り方などから、保育士同士はもちろん、園長や主任との人間関係がどうなのか推測できる部分もあるはずです。
保育士と園児のやり取り・子ども達の様子
保育士が余裕を持って接していれば、子どもたちもリラックスした様子になるものです。保育士と子どものやり取りなども見ておきましょう。
職員室
職員室が片付いていない場合、業務に余裕がないことが推測されます。
まとめ
世間では、保育士は離職率の高い大変な仕事のイメージがあるようです。しかし、現実は意外に離職率が低く、イメージとは異なっています。保育士の職場環境や処遇の改善は進んでいて、離職率は年々下がってきています。
一方で、早期退職傾向はいまだに根強く、長く勤めるのが難しい職場環境もまだまだ存在するようです。離職率の低い職場を見分けて、ミスマッチを防ぐようにしたいものですね。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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