年長担任必読!小学校につなげる「保育要録」の書き方を紹介
- 保育園行事
- 2022/08/15
保育要録(保育所児童保育要録)の書き方のポイント、例文などを紹介します。
保育要録とは?
小学校へ引き継ぐための資料
保育要録とは、正式には「保育所児童保育要録」といいます。年長の担任が記入しなくてはならないもので、小学校へ引き継ぐための資料となります。
おもに、年長児の保育園での様子や発達状況、留意事項などを記録。最終年度に、子どもがどんな風に成長したのかを伝えることで、保育園と小学校の間で連携を図ることを目的としています。
私も年長の子を受け持った時に記入しましたが、初めてなのでどう書いたらいいのか、苦労した記憶があります。
尚、幼稚園では「幼稚園幼児指導要録」、認定こども園では「幼保連携型認定こども園園児指導要録」と、保育要録と同様の書類があります。
保育要録の書き方を紹介
保育要録は、「入所に関する記録」と「保育に関する記録」で構成されています。ちなみに、厚生労働省の用紙を使用するため全国同じ様式となります。
それぞれの書き方について紹介します。
「入所に関する記録」
「入所に関する記録」には以下の項目を記入します。この用紙は迷うことはなさそうですね。
・児童の氏名・生年月日・性別・現住所
・保護者の氏名・現住所
・入所年月日
・卒所年月日
・就学先
・保育所名・所在地
・施設長氏名
・担当保育士氏名
「保育に関する記録」
「保育に関する記録」は、大きく二つの項目に分かれており、「保育の過程と子どもの育ちに関する事項」と「最終年度に至るまでの育ちに関する事項」で構成されています。
別紙の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を参考にしながら、子どもが成長した過程などを記します。
「保育の過程と子どもの育ちに関する事項」
◆最終年度の重点
年間指導計画における年間目標など、年度当初に設定した年長クラス全体のねらいを記入します。この欄は全員が同じ内容となります。
例文:
友達と話し合って協力し、支え合いながら目標達成にむかってやり遂げようとする。
◆個人の重点
1年間を振り返って、子どもの指導について特に重視してきた点を記入します。個人ごとに異なる内容となるので、それぞれ重視してきたポイントを記入します。
例文:
・友達と目的を共有して、自分から積極的に遊びや活動に取り組む。
・自分の気持ちを言葉で伝え、考えを受け入れてもらう嬉しさを味わう。
◆保育の展開と子どもの育ち
その子が年長クラスの1年間で特に成長が著しかった点を記入します。別紙の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を活用して記入します。ただし、一つ一つの項目について記入する必要はないので、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」について総合的に捉えて書く必要があります。
また、他の子どもと比べることのないように、それぞれの子どもの姿を見つめて記入しましょう。
例文:
・友達とのかかわりの中で、新しい遊びのルールを考え、工夫して取り組む姿勢が見られた。
・身体を動かすことを好み、特に好きな鉄棒には集中して取り組んでいた。最終的には逆上がりができるようになるなど、最後まで自分でやりきることによろこびを感じられるようになった。
・絵本を読むことが好きで、園の図書室ではたくさんの本を借りていた。読み書きが得意で、友だちの名前を漢字で書いてあげるなどの姿も見られた。
・2歳児クラスと交流する中で、積極的に年下の子どもの面倒を見るなど思いやりを持って接していた。着替えの手伝いや絵本の読み聞かせなどを行い、年長児らしい姿勢を見せていた。
◆特に配慮すべき事項
子どもの健康の状況など、小学校で引き続き配慮が必要なことを記入します。アレルギーなど、特記すべき事項がある場合、詳しく書いておきましょう。
例文:
・小麦のアレルギーがあるため、給食の際は除去食を用意していた。
「最終年度に至るまでの育ちに関する事項」
入所時から最終年度までの育ちに関して記入します。その子の育ちを理解する上で、特に重要と考えられることを記入しましょう。
例文:
・1歳児の入園当初は受け入れ時に、不安で泣いてしまうことがあった。
自由遊びでは、友だちと玩具の取り合いをする場面も多く見られたが、2歳児になると、おもちゃの取り合いになった際には、「じゃんけんしよう」と自分から提案して、友だちと仲良く遊べるようになった。
・3歳児では、特に粘土遊びが好きで、粘土でパンを作って保育者や友だちとパン屋さんごっこをして遊ぶなど、自分なりに遊びを工夫することが多かった。4歳児では、泥団子づくりに熱中して、友だちも交えて協力しながら、たくさんの泥団子を作っていた。
・5歳になると恐竜に興味を持ちはじめ、保育者に恐竜に関連する本を何度も読んでもらい楽しんでいたが、やがて自分一人で読むことができるようになった。
まとめ
保育要録は、保育園と小学校を結ぶ大切な情報源です。年長クラスの担任となったら、最後には保育要録を書くことを念頭に入れておき、子どもたちの様子を観察していきましょう。
実際に書き始める際には、過去の保育要録を参考にしたり、先輩から話を聞くなどすると、スムーズに記入できます。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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