保育士の給与を18%UP!株式会社園の挑戦
- 保育ニュース
- 2014/09/24
深刻な人材不足が叫ばれる保育士。
その最大の原因は、保育士の給与待遇の低さだと言われています。
そんな中、関東近郊に13の保育園を運営する株式会社ソラストは、2014年10月からの保育士の平均給与を従来より18%アップの月22万円まで引き上げると発表しました。この給与引き上げにより、私立保育所で働く保育士の平均月収(21万4200円(短時間労働者を除く))よりも5,000円以上高い水準となります。
同社は、給与待遇の改善によって社員の離職率を下げ、人材不足の改善と採用コストの圧縮を狙いとしています。
株式会社の運営する保育園が、ここまでの自主努力をする背景は何でしょうか?
保育士の待遇改善、国の政策は実質間に合ってない!?
「厚生労働省の賃金構造基本統計調査」より
平成15年度 月収22万7800円 351万円(平均32.5歳)
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平成21年度 月収22万300円 328万円(平均33.8歳)
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平成23年度 月収21万7600円 324万円(平均34.7歳)
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平成25年度 月収21万3200円 310万円(平均34.7歳)
上記一覧の通り、この10余年、保育士の平均給与は(統計上)年々減少の一途をたどっており、全業種の平均より10万円以上低い水準です。
ただでさえ重労働を強いられる保育士の仕事内容に対して、賃金が見合っていないために、保育士の離職も比例して増加。厚労省の推計によると、現在、保育士資格を持っているのに職務についていない「潜在保育士」は全国に60万人以上いると発表されています。
そういった潜在層の掘り起こしのためにも、保育士の給与待遇の改善は待ったなしの状況なのです。
2013年、政府は2017年度末までに40万人分の保育の受け皿を整備する「待機児童解消加速化プラン」施策をスタートしています。その一環として、自治体の運営補助費を支給することで、保育士の賃金を上乗せする補助金制度(最大1万円)などを実施していますが、実際の現場においては、多くの保育士が給与水準の向上を実感できるレベルには、まだまだ達していないのが現状です。
「保育園需要に対応して保育園の増設を行っても、保育士採用が間に合わないために開園できない」といった事例も多発しており、保育園にとっては、国の政策が浸透するのを待ってはいられない、というのが本音でしょう。
今回の株式会社ソラストのように、私立の保育園側が自主的に給与や待遇面を向上するケースは今後も増え、競争激化が予想されます。
給与だけではない!?保育士が保育園選びで重視するポイント
「やりがいをもって長く働きたい」という保育士にとっては、保育の方針や、成長できる環境なども重要なポイントです。採用人数を増やしたい保育園側も、保育士の定着に繋がるとあって、キャリアアップ体制や人材育成、技術面のサポートなどの充実を推進する取り組みが目立ってきています。
保育士のキャリアアップ/人材育成に関する株式会社園の取り組み
株式会社ピジョンの取り組み
株式会社グローバルキッズの取り組み
株式会社サクセスアカデミーの取り組み
保育園側が、保育士の給与待遇やキャリア形成フォローを手厚くすれば、「待遇を重視したい」または「やりがいをもって長く働きたい」という優秀な保育士は必然的にそこに集まり、保育園の質も向上するのではないでしょうか。
他の業界に比べ、保育士は「キャリアアップ」の概念が未成熟な業界です。
保育園の自主努力の拡がりによって、保育士業界全体の人材増加や質の向上にも期待が集まります。
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