もしかして、モンスターペアレント?〜ご意見への対応のヒント〜
- 保育士お役立ち情報
- 2021/11/02
ほとんどの保護者はご理解があり協力的…それでも、保育園では時に、感情的であったり、理不尽であったりと、様々なご意見が寄せられることがあります。 そういった時、どのように対応すればよいのでしょうか?
ご意見の背景にあるものは…
ご意見に対する対応を考える時に、まず、なぜご意見が寄せられるのかということを理解しておくことが大切です。つい相手の怒りの感情や理不尽な言動に目が向いてしまいますが、ご意見の背景にあるものはほとんどの場合、不安や困り感です。
怒りは二次的な感情と言われています。多くの場合、背景にある別の感情によって引き起こされます。
自分や自分の子どもに何か不利益が生じないかということに、とても敏感になっているのです。ですから、心配している気持ちに耳を傾け、可能なことは解消し、安心して登園できるようにサポートしていくことが大切になります。
では、具体的にどのようなことを行っていけばよいか、見ていきましょう。
1.座って話す
ご意見が寄せられた時に、そのまま立ち話になっていないでしょうか?
保護者が怒っているなど、雲行きが怪しいと感じたら、応接室や相談室など、座って話せる場所に案内しましょう。なるべくゆったりと座れる椅子がおすすめです。相手の気持ちが落ち着いていきやすいです。
お部屋にお通した後、素早く園長や主任、苦情の担当者などに声をかけ、同席してもらったり、クラスの対応をお願いしたりすると良いでしょう。一人で抱え込まないようにしてください。
座る位置は、真正面は避け、できれば対角線上に座りましょう。対立を避ける効果があります。前かがみで、話をしっかり伺いたいという姿勢を見せましょう。腕を組んだり、足を組んだりしないように気を付けてください。
2.まず、相手の話をひと通り聴く
ひとつひとつ、丁寧に聴いていきましょう。「それは違うのでは…」と思うことがあっても、相手がひと通り話し終わるまでは口を挟まないようにしてください。途中で口を挟むと、怒りを増幅してしまいます。ひと通り話をじっくりと聞いてもらえただけでも、相手は安心し、怒りが徐々に収まっていきます。
3.保育園側のミスや誤りに対しては真摯に謝る
保護者の怒りが強い時、気持ちを収めてもらうために、何でも「すみません」と言ってしまいたくなるかもしれませんね。しかし、お話を伺ったうえで、保育園側の落ち度だと明確なことに対してだけ、しっかり謝罪するようにしましょう。
また、保護者や園児がショックを受けていたり、不安になったりしたなど、お辛い思いをさせてしまったことについてもしっかり謝罪をします。
もしも、事実を確認する必要がある場合は、調査をしたうえでお返事をすると伝えましょう。調査に時間がかかる場合は、経過を報告するようにしてください。「調べます」と言って、何日も連絡がなければ、相手を不安にさせますし、不誠実だと思われてしまいます。
4.感謝の気持ちを伝える
保護者に対し、忙しい中、時間を取って話をしに来てくれたことや、言いづらいことを言ってくれたことに対して感謝の気持ちを伝えましょう。
事前に約束をしたうえで面談となった場合は来園された際に、登園時やお迎えのタイミングで面談となった場合は面談の終わりに伝えると良いでしょう。
5.犯人探しをしない
自分以外の職員に対するご意見が寄せられたり、調査をしたときに、自分以外の人のミスが発覚したりする場合があります。そのような時にその個人の責任を追及すればいいのかというと、それはあまり良い対応とは言えません。
なぜなら、ほとんどの場合、その個人による問題ではなく、「園の問題」だからです。
ご指摘のミスが起こりやすい状況が園やそのシステムにあり、今後、別の人によって再び起こる可能性があります。
ですから、園全体で話し合い、原因究明と予防策を立て、それを園の方針として報告することが大切となります。誰もが他人ごととしてではなく、当事者として考えることが大切なのです。
対策を立てた後、保護者にもその内容を伝えましょう。
ご意見は保護者以外からも
ご意見は、近隣の方から寄せられる場合もありますが、同様に対応することができます。
新設の園では、近隣の方も近くに保育園がある環境に慣れていない場合もあります。じっくり時間をかけて、ご意見に耳を傾け、近隣の方の不安を解消し、より良い環境で保育をしていただければと思います。
≪心理カウンセラープロフィール≫
松本 いずみ
公認心理師。明治学院大学大学院心理学専攻修士課程修了。ストレスチェック実施者研修修了。スクールカウンセラーとして都内中高で12年間従事するかたわら、メンタルヘルスサイトにて一般向けに心理学コラムの執筆とメールカウンセリングを担当。プライベートでは0歳と7歳の2児の母。最近は「あつまれどうぶつの森」を家族で楽しんでいます。
参考
古谷治子、工藤アリサ
クレーム対応の全技術 かんき出版
関山浩司
「知らなかった」じゃすまされない ハラスメントを予防・解決する 保育の職場づくり
大阪神戸の心理セラピー・カウンセリングPrado 怒りは二次感情 怒りの下にある感情を癒す
https://prado-therapy.com/%E6%80%92%E3%82%8A%E3%81%AF%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E6%84%9F%E6%83%85/
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