保育士のいじめはなぜ起こる!?事例と対処法を紹介します。
- 保育士お役立ち情報
- 2021/11/02
保育士の職場でも、いじめは存在します。ここでは、いじめが起こる原因や種類、対処法などについて紹介します。
保育士にも『いじめ』はある?
職場特有のいじめにより、退職するケースも多い!
ネットで検索すると「保育士の職場には特有のいじめがある」と書かれている記事が多くあります。それが本当かどうか、私自身は職場でいじめを目撃したことがないので、確かなことは言えません。
ただし、Twitterなどで保育士のいじめについて投稿されることも多く、そのほとんどが実体験のようです。また、多くの保育士が人間関係にストレスを感じていることは統計的に確かです。
保育士の退職理由は『人間関係』がトップ!
厚生労働省の資料によると、保育士の退職理由は、毎年ずっと「人間関係」がトップです。(「保育士の現状と主な取組」(令和2年))
なので、毎年、人間関係に悩んで退職していく人が多くいる中、その中にいじめが含まれていることは間違いないと思われます。
保育士のいじめにはどんな種類がある?
実際に、保育士の職場ではどのようないじめが見られるのでしょうか。主に以下のようないじめが存在しています。
集団での無視や仲間はずれ
【おもな例】
・挨拶をしても無視される。
・自分にだけ連絡事項を教えてくれない。
・上司や同僚が会話をしてくれない。
・仕事を教えてくれない。
嫌みや陰口
【おもな例】
・仕事のミスを責め立てる。
・子どもや保護者の前で叱る。
・陰口を言う。
・妊娠した保育士に対して嫌味を言う。
仕事の押しつけ
【おもな例】
・雑用やおむつ替えばかり押し付ける。
・一日ではとてもできない量の仕事を言いつける。
・帰り際に仕事を言いつける
いじめの対象として多いのは、新卒、新人(中途採用)、パートなど、どちらかというと立場が弱い人たちが狙われることが多いようです。
また、妊婦、産休・育休明け保育士、男性保育士など少数派に対してのいじめも見られます。
なぜ保育士のいじめは起こる?
特有の職場環境が原因として考えられる!
保育士の職場では、どうしていじめが起こるのでしょうか。それには、保育士特有の職場環境が原因と考えられると思います。
しかし、注意したいのは、保育士だけではなく一般に職場でのいじめは存在するということです。保育士の職場だけにいじめがあるわけではない、ということは念頭に置いておく必要はありそうです。
保育士のいじめが起こるおもな原因を紹介!
保育士は「内弁慶」になりやすい!
保育士は子ども、保護者に全力で配慮をするので、職員間では配慮がなくなりがちです。例えば、仕事量が多くなり気持ちに余裕がなくなってくると、保育士同士で感情的になることも増えていきます。それがいじめを生む土壌になっています。
保育士の労働環境が良くない!
保育士不足で人員配置に問題がある場合などは、職員の負担が増えて職場がギスギスすることもあるでしょう。また、保育園によっては、広くない部屋に保育士が8時間いっしょに過ごすなどもあります。
労働環境が良くないと人間関係の悪化につながり、それがいじめにつながっていくことがあります。
保育観の違う人達が集まっている!
もともと保育士は、経験や保育観などによって感覚がそれぞれ異なっています。さらに、現在は保育士が不足していて、違った背景を持った幅広い人材が保育士として働いているので、多様な価値観が保育現場に持ち込まれています。
そうした保育士同士のちょっとした感覚の違いが不協和音となって、それがいじめにつながっていると考えられます。
「誰の仕事」という線引きが不明確!
例えば事務職であれば「自分の仕事」という線引きが明確です。ところが保育の現場では、ご存知のようにそれぞれの仕事が連携していてつながっています。関わりが密である分「あの先生がやってくれないから」「気が利かないから」となりがちで、同僚に対しての不満が蓄積していきやすいのです。
いじめを受けた場合の対処法は?
上司に相談しながら『ハラスメント防止の法律』で解決!
職場のいじめは「ハラスメント」と考えるべきです。パワハラ、セクハラ、マタハラなどのハラスメントと同様です。あまり知られていませんが、企業、つまり保育園には、ハラスメントを防止する法律的な義務があります。
例えば、パワハラについては、2019年、「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」が成立しました。これによって必要な防止措置を取っていない企業は、是正指導の対象となりました。セクハラやマタハラについては、2017年に男女雇用機会均等法が改正され、同様の扱いとなっています。
なので、いじめ=ハラスメントの加害者は、就業規則上の懲戒処分を受けることもあります。さらに、刑事罰などの法的責任も問われる可能性があります。
また、ハラスメントを放置していた保育園も法的責任を問われることがあります。
つまり、職場でいじめを受けたら、自分で抱え込まずに、まずは上司に相談するのが基本です。
相談する際のポイントは?
「いじめが事実であるかどうか」証拠を元に冷静に相談!
相談する際は、保育園には職場いじめを防止する義務があることを念頭に話をしましょうと良いでしょう。
重要なのは「いじめ=事実であるかどうか」です。その事実であることを伝えるためには、証拠が必要です。
なので、上司に相談をする前に、証拠を集めることが必須です。
証拠について
証拠とは、メモ、日々の記録、メールやSNSの文章、第三者による証言、医師による診断書などを指します。いじめの被害を受け始めたら、記録を残すことが重要です。
証拠を使いながら、感情的にならずに、冷静に上司に伝えましょう。
その後、保育園が対応していくことになります。保育園には職場いじめを見過ごしにしてはならない義務があり、いじめは保育園にとっても重大な問題なのです。
まとめ
職場のいじめでは、誰にも相談できずに悩み、そのまま退職してしまうということがあります。一人で抱え込まないで、必ず相談することが解決の近道です。
また保育士の中には「職場にいじめがあっても仕方がない」と考える人もいるかもしれません。そうした風土では、いじめはなくなることはありません。
いじめは「あってはならないもの」という思いを職場の皆が持つことが必要です。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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