コミュニケーションは量も大事!
- 保育士お役立ち情報
- 2021/10/13
これまで、上司や同僚との様々なコミュニケーションのポイントについてお伝えしてきましたが、今回はコミュニケーションの“質”ではなく、“量”の大切さについて考えてみましょう。
足りていないのは質?それとも、量?
例えば次のようなシチュエーションの時、あなたはどちらの先輩に好感や安心感を持ちますか?
先輩A:違うクラス担当でフロアが違うけれど、日に何度か声をかけてくれる
先輩B:違うクラス担当でフロアが違うので、シフトに入る時だけあいさつする
多くの場合、先輩Aの方が好感や安心感をもつでしょう。
人は、よく接触する(会う、コミュニケーションを取るなど)相手に対して、好感を抱きやすい傾向があります。これを、単純接触の効果(ザイアンス効果)と呼んでいます。
もしも、コミュニケーションの中身を改善してみても、なかなか関係性がつくれないのなら、量が足りていないのかもしれません。
コミュニケーションは質だけでなく量もとても大切なのです。
複雑なコミュニケーション(指導する、相談に乗るなど)を1回取ることにこだわり過ぎるよりも、挨拶や「ありがとう」と伝えるなど、基本的なコミュニケーションをマメに取るほうが、関係が深まる場合があります。
また、基本的なコミュニケーションのやり取りによって信頼関係の土台作りができていれば、複雑なコミュニケーションもより効果的に取ることができるでしょう。
1日のコミュニケーション回数を振り返る
さて、一日の勤務で、どのくらい基本的なコミュニケーションが取れるでしょう。
例えば、次のようなタイミングが考えられます。
並べてみると、ごく普通のことではありますが、これらのことを、あなたは実際にどれくらいできているでしょう?以前はしていたのに、最近はしなくなった相手や行動もあるのではないでしょうか?
是非、今日1日を振り返ってみてください。
もしも、あまりしていない事柄があれば、次の出勤日には、意識して行動してみてください。
「でも、本当に誰にでもできるシンプルなコミュニケーションで関係性を深められるの?」と思う人もいるかもしれませんね。では、基本的なコミュニケーションの心理効果を確認してみましょう。
挨拶は存在を受け容れているサイン
あなたが出勤した時に、園長や先輩から優しい笑顔で「〇〇先生、おはようございます」と言われたら、どのように感じますか?なんだか嬉しい気持ちにならないでしょうか。
反対に、挨拶をされなかったとしたら、どのように感じますか?寂しいような、大切にされていないような、悲しい気持にならないでしょうか。
挨拶は、その人の存在を認め、受け容れる行動です。ですから、挨拶をされると、温かい気持ちになるのです。
忙しい時間帯はタイミングが合わないこともありますが、出勤してすぐでなくてもいいので、落ち着いたらなるべく早いタイミングでするようにしましょう。
「ありがとう」は行動を認めるサイン
何か手伝ってもらった時に「すみません」と答えることがないでしょうか?
実は、「すみません」と言われると、言われた側は少しモヤっとしてしまいます。
なぜなら、「すみません」は謝罪の言葉だからです。言った側からすると、「迷惑をかけてしまった」という気持ちからの言葉ですよね。でも、手伝った側としては、ほとんどの場合、何も謝罪されるようなことはされておらず、良かれと思ってしたことなのに謝られるので、謝らせてしまったことにかえって恐縮してしまうのです。
これに対して、同じようなシチュエーションで良く使われる「ありがとう」は感謝の言葉です。人から感謝の言葉をかけられると、嬉しい気持ちにならないでしょうか?
それは、「相手の役に立てた」「望ましい行動が取れた」などと、自分の取った行動が、認めてもらえた感じがするからです。言う側としても温かい気持ちになりますよね。
ですから、これからは、何かしてもらったら、「ありがとうございます」「助かりました!」と、感謝の気持ちが伝わる言葉で気持ちを伝えてみましょう。慣れないうちは「すみません、ありがとうございます」とつなげても大丈夫ですよ。
おわりに
今回は基本的なコミュニケーションの取る頻度を増やしていくことの大切さについてお伝えしました。
とても基本的でシンプルなことですが、それだけに軽視してしまうことがあるので、意識して行うことが大切です。
仲の良い同僚だけでなく、上司や、まだ親しくない同僚、苦手な同僚など、関係がまだ築けていない相手とも、コミュニケーションの量を増やして、お仕事の上での交流を深めながら、快適にお仕事をしていってください。
≪心理カウンセラープロフィール≫
松本 いずみ
公認心理師。明治学院大学大学院心理学専攻修士課程修了。ストレスチェック実施者研修修了。スクールカウンセラーとして都内中高で12年間従事するかたわら、メンタルヘルスサイトにて一般向けに心理学コラムの執筆とメールカウンセリングを担当。プライベートでは0歳と7歳の2児の母。最近は「あつまれどうぶつの森」を家族で楽しんでいます。
参考
浮谷秀一
「人間関係の心理学」すぐに使える!人づきあい改善のポイント コツがわかる本 メイツ出版
越川慎司
AI分析でわかったトップ5%社員の習慣 ディスカヴァー・トゥエンティワン
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