保育士の産休・育休事情
- 保育士お役立ち情報
- 2021/10/13
保育士で産休・育休を取る人が増えています。産休・育休の制度について、詳しく紹介します。
保育士も産休・育休を取れる?
産休・育休をの取得は可能!
結論から言うと、保育士も産休・育休を取得できます。産休・育休は勤め先に関わらず、労働者の権利として取得できるものだからです。実際、私の同僚の保育士も産休・育休を取って、職場に復帰していました。
女性の社会進出に伴い、産休・育休を取る女性が増えています。例えば、女性の育休取得率ですが、厚生労働省によると、2006年度以後80%〜90%と高い水準で推移しています。
ただ、この数字は、出産前に退職した方は数字に入らないので、実際は4割程度だろうと言われています。
女性が育休を取ることは一般的になっていますが、保育士が産休・育休を取れるのか、不安になっている方も多いかと思います。また、保育士の職場は体力的にもハードなので、妊娠・出産を機に退職する方もまだ少なくありません。「育休が取りにくい雰囲気だから」と、本人の意思だけではなく、職場の風土により辞めてしまうこともあります。
産休・育休制度についての基本的な知識を紹介
保育士が利用できる産休・育休の制度について紹介していきます。
産休・育休の期間について
産休(産前産後休暇)の期間
産休期間:出産6週間前から産後8週間後までの計14週間
(双子以上の場合は出産14週間前から)
期間は出産予定日から算出されます。なので、予定日より早く生まれると、結果的に休みは短く、予定日から遅れて生まれると長くなります。
本人の希望があれば、早く切り上げることもできます。ただ、産後6週間はどのような事情があったとしても就業できません。その後の2週間については、出産した方本人の請求で、しかも医師から支障がないと認められた場合に限り、就業することが可能です。
育休(育児休業制度)の期間
育休期間:原則子どもが満1歳になるまでとされています。保育園に入園できなかったり、配偶者の死亡などで子どもの養育が困難になったりした場合には、最大2歳まで延長可能です。
産休・育休の取得条件について
産休は労働基準法第65条に定められている制度です。そのため、妊娠している女性であれば誰でも取得することができます。一方、育休は育児・介護休業法で定められた制度で、1歳未満の子どもを養育するために取得できます。
ただし、契約社員やアルバイト・パートといった「有期雇用の労働者」が育休を取得する場合には、次の2つの条件を満たす必要があります。
@雇用されている期間が1年以上であること
A子どもが1歳6か月になるまで、その労働契約が続くこと
上記の要件を満たしている保育士からの育休の申請であれば、事業主はそれを拒むことはできません。また、育休を理由に解雇することは、育児・介護休業法で禁じられています。
産休・育休取得中の給料について
産休・育休中は休業となるため、無給となります。ただし、保育士は通常、健康保険・雇用保険に加入しているので、以下のような手当てを受けられます。それによって、産休・育休中の給料分に充当するのが一般的です。
@ 出産手当金
産休中、収入がない時に支給される手当のことで、健康保険から支払われます。ただし、休業中も会社から給料が支払われていて、出産手当金よりも多い場合、支給されません。
【給付対象】
妊娠4カ月以上で出産し、産休中の給料が支給されない方
【給付内容】
賃金の3分の2相当額が支給されます。
詳しく言うと、月給を30日で割った金額の「3分の2」が日額となります。それに産休日数を乗じた金額が支給されます。
A 育児休業給付金
育休中は、一般的に無給となりますが、雇用保険から給付金が支給されます。原則、事業主が申請をしますので、本人は申請不要です。
【給付対象】
育休中で、雇用保険に加入している方。
【給付内容】
原則として休業開始後6カ月間は賃金の67%、休業開始から6カ月経過後は50%が支給。
B 出産育児一時金
出産にかかる経済的な負担を軽減するために、一定金額が支給される制度です。
【給付対象】
「健康保険の加入者」または「夫が加入する健康保険の被扶養者」で、妊娠4カ月以上で出産をした方。
【給付内容】
子ども1人につき42万円支給されることになっています。双子の場合は2人分支給されます。
また、上記以外では、産休・育休中は、厚生年金や健康保険料が免除されます。
まとめ
保育士は、産休・育休が取りづらい職業だと言われています。産休・育休は働く者の権利なので、本来は取得可能なのですが、長年の風土として「妊娠したらやめる」という風潮がありました。ただし、保育士の処遇改善が進む今、保育業界の意識も変わってきています。
重要なのは、職場全体で産休・育休を取りやすいような雰囲気をつくっていくことです。
長く働いていくためにも、産休・育休を上手に活用していきたいですね。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
\このページをシェアする/