面接対策の心理学2 長所と短所の伝え方
- 保育士の就職・転職
- 2021/08/23
前回は、第一印象の大切さと、何が印象に影響を与えるかについてお伝えしました。
(前回の記事はコチラ⇒面接対策の心理学1 第一印象の好感度を上げるには?)
今回は、長所と短所の伝え方について考えていきます。
長所と短所の伝え方
あなたは面接のとき、長所と短所、どちらを先に伝えていますか?
1.長所を先に伝えると良い印象が残りやすい
もしも、自分で順番を決められるなら、是非、長所を先に伝えてください。なぜなら、伝える順番で印象が変わるからです。印象に関わる心理学の実験を1つ紹介しましょう。
心理学者ソロモン・アッシュの印象の実験
ソロモン・アッシュは、被験者のグループをAとBの2つに分け、架空の人物の特徴について、
Aグループ:「知的・勤勉・衝動的・批判力がある・強情・嫉妬深い」と読みあげる
Bグループ:「嫉妬深い・強情・批判力がある・衝動的・勤勉・知的」と読みあげる(Aと逆の順番)
という実験を行い、それぞれ、どのような印象を持ったか調べました。
すると、
Aグループの被験者は、「欠点は多少あるけれど、能力には恵まれている」という印象を持ったのに対し、
Bグループの被験者は、「能力はありそうだけれど、欠点が目立つせいで、本来の能力が発揮できていなさそう」という印象を持ったのです。
このように、伝えた内容は全く同じでも、順番が違うと印象が変わるという結果が得られました。
この、先に伝えた内容の印象に強い影響を与える効果は、初頭効果と言われています。
これを、保育士の場合に置き換えた自己紹介の例で見てみましょう。
<パターンA>
「私の長所は、運動が得意なことで、子ども達とダンスをしたり、走ったり、活発な遊びを一緒にすることが好きです。短所は、楽器の経験が保育士を目指してからなので少なく、ピアノが苦手なことです。」
<パターンB>
「私の短所は、楽器の経験が保育士を目指してからなので少なく、ピアノが苦手なことです。長所は、運動が得意なことで、子ども達とダンスをしたり、走ったり、活発な遊びを一緒にすることが好きです。」
さて、どう感じましたか?
この場合、パターンAの方が、元気でたくさん子どもたちと遊んでくれそうな、ポジティブなイメージを持たれやすいです。ピアノが苦手なことは、あまり気にならないでしょう。
パターンBは、後でポジティブなことを伝えても、「ピアノが苦手な人」という、ネガティブなイメージが残ってしまう可能性があります。長所は、先に伝えるように気を付けましょう。
2.短所は捉えなおして長所に
「私には長所なんて…」と、自信が持ちづらい方は、自分の性格を捉えなおしてみましょう。人の性格には本来、良い悪いはなく、捉え方を見直すことでポジティブに受け止めることができます。
あなたは、内向的(消極的、おとなしい など)か、外向的(積極的、活発 など)かで言えば、どちらだと思いますか?
どちらかというと内向的な人は…
例えば、内向的な性格・行動は、次のように捉えなおすことができます。
内向的な人は、自己評価が低くなりがちです。この捉えなおしアイディアは面接場面だけでなく、日常的に自分の性格の捉えなおしの材料として、参考にしてみてください。
どちらかというと外向的な人は…
外向的な性格・行動は、基本的には、好感を持たれやすいです。ただし、いき過ぎになっていないか、注意が必要です。攻撃的に感じられ、協調性が欠如している印象を与えてしまうことがあり、採用してもらうことが難しくなるでしょう。
ですから、外向的なタイプの人は、更に一歩進んで、行き過ぎを予防する行動についても、学んでおきましょう。
長所と思っている部分も行き過ぎていないか、振り返ってみることが大切です。
コーディネーターにも、客観的な意見をもらってみましょう。面接では、少し控えめな態度にしてみると、丁度よいかもしれませんよ。
3.短所を全く言わないのはNG
短所は長所になり得ることはご理解いただけたかと思います。ですが、だからと言って短所も聞かれているのに、長所しか言わないのは評価を下げます。発言の信ぴょう性が薄れたり、「気が強そう」「自分を見直すことをしていなさそう」などと思われるなど、ネガティブに受け取られてしまうことがあるからです。聞かれていない場合にはあえて伝える必要はありませんが、聞かれている場合は、必ず、短所もいくつか伝えましょう。
ただし、短所を伝える時には、言葉の重み・インパクトに気を付けてみてください。「真面目な性格です」と伝えるのと、「生真面目な性格です」と伝えるのでは、印象が違いますよね。「生真面目」は、少し付き合いづらそうな悪いイメージで、言葉に重みがあります。
また、保育士をするうえで、致命的であったり、適性がないと思われたりするような短所を伝えると評価が大きく下がるので避けましょう。仕事をするうえでは、特に問題にならなさそうなことを伝えると良いでしょう。
4.最後に短所を改善しようとしていることを伝えましょう
短所を伝えたら、そのあとに、今現在、苦手としていることに対して、放置しているのではなく、自分なりの改善策を実行していることを添えてみましょう。
例えば、ただ単に、「私の短所は、つい集中しすぎて時間を忘れてしまうことです」と伝えるよりも、
「私の短所は、つい集中しすぎて時間を忘れてしまうことなので、タイマーを付けて仕事をしたり、作業の区切りをつけるようにしたり、こまめに時計を確認するようにしています」と伝えたほうが、印象は良くなりますよね。
先ほどの初頭効果の逆で、最後に言ったことの印象が残りやすいという傾向もあります。
この、最後に伝えた内容が印象に強い影響を与える効果は、親近(終末)効果と言われています。ですから、改善策を最後に添えることが大切なのです。
これらを踏まえると、真ん中あたりに言ったことは、記憶に残りにくいことが分かります。
まず、長所を多めに、短所を少なめに、最後に改善案を伝えるということができれば、あなたの人柄を、好感度を上げつつ十分に伝えることができるでしょう。
下の図は、順番と効果、ポイントをまとめた図です。
是非、自己紹介や長所・短所を伝える際に、順番を意識して練習をしてみてくださいね。
こちらもチェック!
ほいくるんTV 【就活お役立ち情報】保育士さんの面接対策まとめ
https://www.youtube.com/watch?v=f1BnzA4zkRU
今回は、長所と短所の伝え方について考えていきました。
次回は、色彩心理学から見たおすすめの服装の色の組み合わせと、面接者の話を聞く時の態度についてお伝えします。
≪心理カウンセラープロフィール≫
松本 いずみ
公認心理師。明治学院大学大学院心理学専攻修士課程修了。ストレスチェック実施者研修修了。スクールカウンセラーとして都内中高で12年間従事するかたわら、メンタルヘルスサイトにて一般向けに心理学コラムの執筆とメールカウンセリングを担当。プライベートでは0歳と7歳の2児の母。最近は「あつまれどうぶつの森」を家族で楽しんでいます。
参考
シグニカル編集 第一印象をガラッと変える心理学
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