気づいておきたい様々なストレス反応
- 保育士お役立ち情報
- 2021/05/28
職場に行こうとすると、頭やお腹が痛くなる、動悸がする、涙が出てくる…
それは、もしかしたら、ストレスによる反応かもしれません。
強いストレスがかかると、こころと身体の両方に反応が現れます。次のようなことがないか、ご自分を振り返ってみましょう。
▼前回の記事はこちら
あなたに合ったストレスケアの方法は?
こころのストレス反応
・憂鬱な気分が続く
・イライラしやすくなった
・不安や緊張感がある
・突然、涙がこぼれる
・仕事に行きたくない
・仕事を休んだ
・「仕事を辞めたい」と考える
・「いなくなりたい」と考える など
身体のストレス反応
・頭痛
・腹痛、下痢、便秘
・動悸、息切れ
・吐き気
・めまい
・食欲不振、あるいは過食
・不眠、あるいは過眠
・月経不順 など
身体の中でも、自律神経や、胃腸に影響が表れやすいです。また、ホルモンにも影響が出るため、月経が遅れたり、止まってしまったりということも起こります。
こころの反応は分かりやすいですが、身体の反応は最初のうち、ストレスの影響とは気づきにくいかもしれません。もしも、身体の症状で病院にかかっても良くならない、原因がわからない、長期化しているという場合は、こころのケアも同時にしていきましょう。
ストレス反応が出るのは自分が弱いから?
ストレスに対して心身の反応が見られると、「自分って弱いのかな…」と、考えてしまいがちです。しかし、ストレス反応が起こること自体は、ごく自然なことで、安全に生きていくために必要なことです。
なぜなら、もしも、ストレス反応が起こらなかったとしたら、同じ失敗を繰り返したり、倒れるまで無理してしまったり、もっと大変なことになってしまうからです。ストレス反応は、そういった深刻な状態にならないための、防御反応。心身の不調が出てきたときは、「自分は無理しているのかもしれない」と、素直にSOS信号を受けとめ、いつもより多めに休息を取りましょう。
ただ、場合によっては、そこまで心配しなくても大丈夫な状況なのに、過剰に反応をしてしまうことがあります。過去の傷つきが深いと、そういったことが起こるのです。そういった時は、カウンセリングを受けたり、「大丈夫、安全だ」ということを確かめながら、少しずつ問題と向き合ったりすることも大切です。
ソーシャルサポートでストレスを軽減
以前のコラムでもストレス発散やケアについてお話ししましたが、他にもストレス軽減をする方法はあります。今回は、社会的支援(ソーシャルサポート)について触れておきましょう。
というのも、保育士さんのストレス状態は、ソーシャルサポートがあるかないかで大きく影響を受けるという研究結果が得られているからです。
ソーシャルサポートには、情緒的支援、情報的支援、道具的支援、評価的支援の4つの線があります。
・情緒的支援
気持ちを聴いてもらい、理解してもらったり、慰めてもらったり、励ましてもらったりすること。
善し悪しの判断をせずに、ただ耳を傾けてくれるような相手を選びましょう。相談できなくても、ただそばにいてくれる人や、パートナーがいる人はぎゅっと抱きしめてもらうだけでも心の支えになります。
・情報的支援
問題解決に必要な知識や、解決方法について、アドバイスしてもらうこと。
人間関係の取り方のコツや、業務上の課題の乗り越え方などを先輩や同業者、専門家、友人、家族などに教えてもらったりしましょう。対処法がわかり、解決のめどが立つと、心が落ち着いていきます。このコラムも情報的支援の1つとして活用していただければと思います。
・道具的支援
問題に直接介入してもらい、ストレスの原因を取り除くサポートをしてもらうこと。
特定の先輩とのトラブルなど、理由がはっきりしている場合に効果的です。例えば、園長や主任に間に入ってもらったり、担当業務を変更してもらうなど、調整してもらいましょう。
・評価的支援
自分の行動に対して、評価やフィードバックをしてもらうこと。
例えば、どの点が上手くいっていて、どの点は改善が必要なのかを教えてもらいましょう。否定的な評価を聞くのは勇気がいることですが、漠然とした不安は解消され、どうすれば良いのか解決のヒントが見えてきて、成長していくことができます。
もしもあなたが先輩の立場であれば、このようなソーシャルサポートをする側に回れると良いですね。
周囲は安易に「気の持ちようだ」と言わないこと
周囲の人にストレス反応が見られた時、「気の持ちようだから、大丈夫」とアドバイスした経験はないでしょうか?実は、 これは、ストレス反応に苦しんでいる人にとっては、更に追い詰められてしまう一言になりかねません。
本人としては、「どのように気持ちを持っていけばいいのか分からない状態」なので反応が出ていますし、まるで、身体の症状を思い込みかのように認めてもらえていない、否定されているというような気持ちにさえなるからです。
身体にも症状が出ているときは、必ず身体の治療やケアも同時に行うことが大切です。同僚であれば、業務上の配慮を行い、負担が緩和できるようサポートしましょう。
職場のストレスチェック
職場のストレス状態をチェックしたい人は、こちらの診断チェックもお勧めです。
こころの耳「5分でできる職場のストレスセルフチェック」(厚生労働省)
https://kokoro.mhlw.go.jp/check/
いかがでしたか?今のあなたはストレスを抱えていたでしょうか。
こころの反応も身体の反応も、気づけたら早めにケアをしていってくださいね。
自分で対処するのが難しい時は、周囲に助けを求めてください。また、心療内科や精神科、メンタルクリニックも利用してみてくださいね。
ストレスケアについては、こちらのコラムもおすすめです。是非ご覧ください。
「あなたに合ったストレスケアの方法は?」
https://www.e-hoikushi.net/column/436/
≪心理カウンセラープロフィール≫
松本 いずみ
公認心理師。明治学院大学大学院心理学専攻修士課程修了。ストレスチェック実施者研修修了。スクールカウンセラーとして都内中高で12年間従事するかたわら、メンタルヘルスサイトにて一般向けに心理学コラムの執筆とメールカウンセリングを担当。プライベートでは0歳と7歳の2児の母。最近は「あつまれどうぶつの森」を家族で楽しんでいます。
参考
こころの耳(厚生労働省)
https://kokoro.mhlw.go.jp/
石上友梨
こころと身体をつなぐマインドフルネスヨガ:ストレス軽減してメンタル強化する BANAPANA BOOKS
カウンセラーライフ
ストレスマネジメント〜学童期の子どものストレスへの対応
(https://co-life.jp/%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%ac%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%8d%e3%82%b8%e3%83%a1%e3%83%b3%e3%83%88%ef%bd%9e%e5%ad%a6%e7%ab%a5%e6%9c%9f%e3%81%ae%e5%ad%90%e3%81%a9%e3%82%82%e3%81%ae%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%ac/2/)
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