よくある保育士の悩み・解決法を紹介！【労働環境編】

保育士のホンネ
2021/03/19

保育士特有の悩みについて【労働環境編】での具体例を紹介しながら、その解決策についても紹介します。

【労働環境】でよくある悩みを事例で紹介！

「ペアの先生と意見が合わず、うまくいかない。」

20代女性・保育士経験3年目の方

「今年度組むペアの先生が決まり、新年度の準備を進めていますが、話し合いの段階から上手くいっていません。ペアの先生はベテランの方です。すごいなと思う点もあるのですが、自分の意思を曲げるようなことは絶対にしません。

私とは保育観が合わず、やりたい保育が違いすぎて、話し合いが前に進みません。
例えば、製作では、私のやってみたいものは全て却下されます。1年間、どのように関わっていけばいいのか、困っています。」

対処法

ある調査では、97％の保育士が「複数担任でストレスを感じたことがある」と回答しています。つまり、ほとんどの保育士がペアの先生に対して何らかのストレスを感じているようです。ペアの先生への不満は保育士の典型的な悩みの一つと言えます。

この悩みでは、ペアの先生はベテランのようなので、後輩である相談者を引っ張っていこうという思いがあるのだと考えられます。ただし、複数担任の良さは、本来先輩後輩に関わりなく意見やアイディアを出し合って保育をよりよくしていけることです。
それでいうと、ペアの先生はまだ相談者との距離の取り方がわからずに、複数担任の良さを生かし切れていないようです。

いずれ上司に相談するのがいいかと思いますが、もう少し様子を見てみるのもいいでしょう。例えば、こんな例もあります。
ある保育士がペアの先生に不満で「自分がやりたいと思っている保育ができない」と園長に相談したところ、「自分がやりたい、ではなく、子どもが何をしたいかを考えるのが保育だ」と諭されて、自分の保育を見つめなおす機会になったという話です。

柔軟な姿勢で保育に取り組んでいくと、やがてペアの先生の保育の良さにも気づいていけるようになるものです。まずはペアの先生と対立するのでなく、自分の成長の機会ととらえて前向きに取り組んでみてはいかがでしょうか。

ポイント

ペアの先生との関係を築いていければ、ペアの先生も相談者の保育を認めて、更に良い保育環境に繋がっていくのではと思います。どうしても改善しないようであれば、主任や園長に相談をしてみるといいでしょう。

おすすめの相談相手：主任、園長などの上司

「休憩時間がないのですが、普通でしょうか」

30代女性・保育士経験10年目の方

「私の勤務する園では、休憩時間が全くありません。休憩なしで8時間勤務すると、正直、毎日クタクタになります。保育業界は、休憩時間がないのは当たり前なのでしょうか。働き方改革なんて、どこの世界の話だという感じです。

他の園もこんな感じなんでしょうか？」

対処法

「休憩時間が満足に取れない」という悩みは多くの保育士が感じています。休憩時間については、本来労働基準法で義務付けられています。
労働基準法では「労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならない」とあります。

保育業界では、これが守られていないことが多いようです。
ちなみに保育園では珍しくないのですが、以下の休憩の仕方は労働基準法の休憩時間には該当しません。

休憩時間に該当しない休憩
・午睡時の見守りをしながら休憩する
・連絡帳記入などの事務作業をしながら休憩する

・職員室で制作などの作り物や、書類作業などの作業をしながら休憩する
・時間中に職員会議を行う
・休憩時間中は外出禁止

労働基準法では「休憩時間中に労働があった場合、または一定の場所に拘束されている場合、休憩時間に含まれない」とされているからです。また、脳科学的にも、短い休憩を一定時間ごとに取ることで作業効率が良くなることが分かってきています。逆に、休まずに働き続けることで集中力が低下し、子どもたちに細やかな配慮ができなくなることも十分あり得ます。

ポイント

相談者の勤務する園では休憩時間を確保できないとのことですが、休憩時間の必要性について職員同士で声をあげて、上司に相談してみることで変わってくるかと思います。その際、休憩時間は労働基準法でも義務付けられていて、保育の質を下げないためにも絶対に必要なものだとお話しするのがいいでしょう。

おすすめの相談相手：主任、園長などの上司

まとめ

保育士の労働環境は独特なことも多く、他業種から転職してきた場合には驚くこともあります。例えば、今回の悩みにあるような休憩時間のありかたは、他業種ではあまり見られないものです。悩みを解消するためには「園の風土だから」「保育園は特殊だから」とあきらめず、場合によっては声を上げていくことが必要になってきます。

ライタープロフィール

玉田　洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。