リフレーミング〜物事のとらえ方の枠組みを見直してみよう〜
- 保育士お役立ち情報
- 2021/03/16
想像してみてください。
ここに、1杯のとても美味しい飲み物があります。あなたは、半分まで飲みました。
残った飲み物を見て、あなたは、(1)「悲しい」(2)「嬉しい」…どちらに近い気持ちになりましたか?
これは、どちらも起こりうる気持ちです。飲み物の量は全く同じなのに、なぜでしょう?
それは、
(1)は、もう、この美味しい飲み物をあと少ししか楽しめないことに、悲しいと感じていて、
(2)は、まだ半分もこの美味しい飲み物が楽しめることを、嬉しいと感じているからです。
ほとんどの出来事には、その出来事自体には良い悪いはありません。
その出来事をどの様にとらえるかによって、良いことと感じるか、悪いことと感じるかが分かれていくのです。
リフレーミングとは、この、とらえ方の枠組みを見直すことです。
今回は、保育現場における日々の出来事をリフレーミングしていくことで、ポジティブに考えていくための練習をしていきましょう。
シチュエーション1:園児がケンカをした
例えば、園児同士がケンカした時、あなたはどのように感じますか?
ケンカは、絶対にいけないことだと思っていれば、「早く止めなければ!」「ケガをしたらどうしよう!」「叱らなくては!」と考えるかもしれません。
では、リフレーミングの例を見てみましょう。
いかがですか?
確かに、ケガはしないに越したことはありませんが、とらえ方を変えてみると、
ケンカができるようになるのも、自己主張をすることができるようになってきた、その子達の成長ですよね。
そして、この時期に、相手との主張のぶつかり合いを経験することは、人間関係を学ぶ上でとても大切ですよね。
「〇〇は、してはいけない」と思っていることに対し、「本当に、絶対いけないことなのか?」ということを問い直してみると、別のとらえ方もできるようになっていくでしょう。
シチュエーション2:先輩に注意された
例えば、「ちょっと、何やってるの?ここは、こうするのよ!」などと、上司や先輩に注意されたり、叱られたりした時、あなたはどのように感じますか?
「注意を受けることは、いけないことだ」と思ったり、「嫌われているから叱られた」と思ったりするかもしれませんね。また、注意された雰囲気だけで、拒絶反応を起こしてしまうこともあるかもしれません。
では、リフレーミングの例を見てみましょう。
いかがですか?
きつい言葉で注意されると傷ついてしまうのも無理はありませんが、注意された内容が理不尽なものでなければ、それは、あなたのためや、大きなミスが起こらないように言ってくれた可能性が高いです。
注意された内容に目を向けてみると、別のとらえ方がしやすくなるでしょう。
シチュエーション3:保護者からご意見が寄せられた
例えば、「うちの子は〇〇君とは遊ばせないでください」「〇〇遊びは、危ないと思うので、やめさせてください」などと、様々なご意見が寄せられることがあるでしょう。このような時、あなたはどのように感じますか?
「クレームだ」「怖い」「自分勝手な親だ」など、様々な考えが起こってくるかもしれませんね。
では、リフレーミングの例を見てみましょう。
そもそも、なぜご意見を伝えてくるのかというと、多くは心配していること、困っていることに対して、「わかってほしい」という気持ち(承認欲求)があるからです。そう考えると、理不尽なことで責められたと感じ、辛い思いをすることを避けることができます。
まずは、保護者がどんなことを不安に思っているのかについて、耳を傾けてみましょう。
例えば、先ほどの例なら、「いじめられないか心配」「けがをしないか心配」という不安が考えられます。これは、近隣からのご意見も同様です。
まずは、その不安に寄り添ってみましょう。どのように困っているのか、耳を傾ける姿勢が伝わると、相手も態度が和らいでいきます。
リフレーミングのコツ
3つほど、例を見てきましたが、ご自身でもリフレーミングができそうでしょうか?
まだ、自分では難しそうという方は、実際にあなたに起こった出来事を題材にして、リフレーミングの仕組みの図を使いながら次の手順で書き出しながら振り返ってみてください。
〜手順〜
1. 出来事を、感情を含まずに、客観的な事実だけ書き出す
「〇〇君と〇〇君が、好きなおもちゃを取り合っていた」
「先輩に、『そのやり方は良くない』と言われた」など、具体的であるほど良いです。
2. 自分のとらえ方と、実際に起こった感情を、分けて書く
先に感情を書いてから、そう感じたのはどの様なとらえ方によるものなのか振り返ってみると、整理しやすいかもしれません。
3. 他のとらえ方はないか書き出す
思いつかない場合は、周囲から客観的な意見をもらったり、もしも、とてもポジティブな人だったらどの様にとらえそうか想像してみたりしましょう。
4. ほかのとらえ方をした場合の感情について考える
自分のとらえ方とは違うとらえかたをした場合、どのように感じるか考えてみましょう。気持ちが楽になったり、問題解決につながる行動が見いだせたりしてきますよね。
おわりに
さて、今回は物事のとらえ方の枠組みを見直す、リフレーミングについて考えてきました。
リフレーミングは、どんな出来事にも使えますが、苦手な人が相手の時に、特におすすめです。
苦手な人が相手だと、普通の対応や他の人にされたら嬉しい対応でも、否定的にとらえやすくなってしまうからです。
リフレーミングすることで、相手の行動を客観的にとらえることができ、好意を素直に受け止められるようになります。そうして、苦手意識が緩和されていけば、人間関係も改善されていきます。
嫌な気持ちが起こってきた時、苦手な相手とのやり取りで傷ついた時は、是非、リフレーミングしてみてくださいね。
≪心理カウンセラープロフィール≫
松本 いずみ
公認心理師。明治学院大学大学院心理学専攻修士課程修了。ストレスチェック実施者研修修了。スクールカウンセラーとして都内中高で12年間従事するかたわら、メンタルヘルスサイトにて一般向けに心理学コラムの執筆とメールカウンセリングを担当。プライベートでは0歳と7歳の2児の母。最近は「あつまれどうぶつの森」を家族で楽しんでいます。
参考
ビジネス心理学
リフレーミングとは|一覧や辞典に頼らないやり方と10コの具体例を紹介
https://biz-shinri.com/reframing-7723
友部 貴幸 令和のリーダー7つの条件:他人を導く前に自分を導け
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