上司にお願いごとを聞いてもらえる可能性を上げる伝え方

園長先生や主任など、上司に当たる先生には、頼みたいことがあっても、なかなか言いづらい、どんな言い方で伝えれば…と悩むことがありますよね。

そんな時は、こういった方法を試してみてはいかがでしょうか?

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フット・イン・ザ・ドア テクニック

英語でFoot in the door technique と書きます。開けてもらったドアを閉められないよう、足を挟み込む様子を想像してみてください。

これは、 (1)最初に小さなお願いをして、(2)それを相手に受けいれてもらえたら、(3)本当のお願い事を切り出すというテクニックです。「一度OKすると、次の要求を断りにくくなる」という心理をうまく利用した方法です。

例えば、行事の準備を手伝ってほしい場合…

(1)まず、「すみません、そこにある糊を取っていただけますか?」と本当に簡単なお願いをします。
(2)それを受け入れてもらえたら…
(3)次に「今、準備が遅れていまして、もしお手すきでしたら、お手伝いをお願いできないでしょうか?」と、伝えてみましょう。


ドア・イン・ザ・フェイス

英語でDoor in the face technique と書きます。ドアから顔をのぞかせている様子を想像してみてください。

これは、(1)最初にあえて大きなお願い事をして、(2)それを相手に断られたら、(3)すかさず、それよりも小さな本命のお願い事を切り出すというテクニックです。「一度断ると、申し訳ないという罪悪感を覚え、それよりも軽いお願いなら受け入れてもいいかもしれないと思う」という心理をうまく利用した方法です。

例えば、ある土曜日にお休みを取りたい場合…

(1)まず、金曜日と土曜日に連休でお休みをいただけないか上司に聞いてみましょう。
(2)すると、二日間は難しいと断られるかもしれません。
(3)そこで、すかさず、「そうですよね。できれば土曜日だけでもお願いしたいのですが…」と、伝えてみましょう。


DESC法

次に、アサーションの技法の中のひとつ、DESC法を見てみましょう。
アサーションとは、相手も自分も大切にしたコミュニケーションのための、態度とスキルのことで、行動療法という心理療法の中から生まれた技法です。

アサーションについては、以前の記事も参考にしてみてください。
コラム:自分の気持ち、同僚に伝えることができていますか?

DESC法は問題解決のためのアサーションとも呼ばれていて、頼みごとをしたり、言いにくいことを伝えたりする時などに役立つ方法です。

次の順番で話すことで、自分の言い分をアサーティブに伝えることができます。

(1)D(Describe)—描写する
問題となっている状況を客観的に伝える。

(2)E(Express)—説明する
自分の考えや感情を伝える。

(3)S(Specify/Suggest)—提案する
お互いにとって最適な解決方法を提案する。

(4)C(Consequences/Choose)—結論を出す/選択する
望ましい結論を導き出す。そのために、相手が受け入れた場合、断られた場合の両方を想定し、代案を立てておく。

例えば、行事の準備のため残業できないか上司に聞かれたが、定時で帰りたい場合。

(1)D:「今日は外せない予定が入っているため」
(2)E:「申し訳ないですが、定時で上がりたいです」
(3)S:「明日であれば早めに出勤したり、残業したりすることは可能です」
(4)C:「どうしましょうか?」

となります。断られたときのことを想定し、〇時までなら残れるという妥協点を決めておきましょう。そして、実際に再度、「30分までなら残れます」など提案をし、お互いに譲れるところまで調整してみてください。

実際に何と言って伝えるか、事前に練習をしておくことをお勧めします。


頼ることは良くないこと?

色んなテクニックがあるのはわかったけれど、それでも、自分は人に頼れない…という人もいるかもしれませんね。

それは、「人に頼るのは良くないことだ」という思い込みによるものかもしれません。

例えば…

自分が担任するクラスで、園児の一人がずっと泣いています。
こんな時、あなたはどうしますか?


(1)手の空いている先生に他の園児を見てもらい、自分がその園児の対応をする。
(2)自分が他の園児を見て、手の空いている先生にその園児の対応をしてもらう。
(3)他の園児と、その園児の両方を一人で対応する。


(1)や(2)を選んだ人は、適切に人に頼ることができていると言えるでしょう。
しかし、(3)を選んだ人は、自分だけで抱え込んでしまっている状態です。

さて、(3)を選んだ人は、なぜそのような対応をしようと思ったのでしょうか?
もしかして、次のような考えが浮かびませんでしたか?

・申し訳ない
・ほかの先生に迷惑をかけてしまう
・仕事ができないと思われてしまいそう
・一人でできることなのに、甘えだと思われそう
・ほかの先生も忙しいのに悪いな
・こんな仕事をお願いするのは、目上の先生に失礼だと思われそう

このように、人に頼ろうとすると様々な不安を覚えることがあります。
しかし、これは思い込みであることが多いです。


頼ることで、職員同士の信頼関係が深まる

あなたが逆の立場だったらどう感じるか考えてみてください。

例えば…
「すみません。〇〇君が泣いていて、少し見ていてもらえますか?」と聞かれたら?

手が空いていれば、ほとんどの人が気軽に「良いですよ」と答えるでしょう。
その時に嫌な気持ちはしますか?むしろ、自分に任せてくれたことに、少し嬉しいと感じないでしょうか。

仮に手が空いておらず手伝えなかったとしても、別に嫌な気持ちにはなりませんよね。

あなたがそう感じたように、ほとんどの人は、誰かに頼られることや助けることに対してのハードルは低く、嫌な気持ちになるどころか、反対に、ちょっと嬉しい気持ちになるものなのです。

それはなぜなのかというと、「自分を信用してくれている」と感じるから。

園長先生や主任の先生など、上司に当たる先生方も同じです。園児の気持ちを落ち着かせることができるスキルを持っていると見込まれているわけですから。

周囲に頼ることは、悪いことではないばかりか、むしろ、園の先生同士の信頼関係や協力関係を深めていくのです。

ただし、すでに職員の人間関係がとても悪化している場合は、助けてもらえないような職場もあるかもしれません。ベースとして、日ごろの人間関係、コミュニケーションが大切にはなってきます。


しっかり頼ってチームワークを高めましょう

今回は、お願い事のテクニックと、お願い事をするのが苦手な人が助けを求めやすくなるための考え方についてお伝えしました。あなたが周囲を頼る力(受援力)を高めることでチームワークが向上し、それはきっと、園児達にも良い形でかえっていきます。

ご自分だけで抱え込むことなく、協力し合って信頼関係を築いていってくださいね。



≪心理カウンセラープロフィール≫

松本 いずみ

公認心理師。明治学院大学大学院心理学専攻修士課程修了。ストレスチェック実施者研修修了。スクールカウンセラーとして都内中高で12年間従事するかたわら、メンタルヘルスサイトにて一般向けに心理学コラムの執筆とメールカウンセリングを担当。プライベートでは0歳と7歳の2児の母。最近は「あつまれどうぶつの森」を家族で楽しんでいます。

参考

浮谷秀一

「人間関係の心理学」すぐに使える!人づきあい改善のポイント コツがわかる本

カウンセラーライフ「アサーションで、上手に伝える。」

吉田穂波

「つらいのに頼れない」が消える本―受援力を身につける―

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