しぐさから知る保護者の本音とその対応2〜色々編〜
- 保育士お役立ち情報
- 2020/11/06
前回はしぐさの心理学の中から、<目>に関するものについて取り上げました。
今回は、他のしぐさの心理についても知っていきましょう。
特に、保護者会などで意見を求めたり、保護者参加行事の役割分担を決めてもらったりする時などに注目してみると、役立ちますよ。
保護者の皆さんが発言しやすい雰囲気になっているか、多少のお願い事は引き受けてもらえそうな雰囲気になっているかを知るヒントにしてみてください。
身振り手振りが多い
自己主張の強い人は、身振りや手ぶりが多くなる傾向があります。周囲の関心を引くのが上手です。
【コミュニケーションのポイント】
保護者会などで意見を求める時に、最初にお願いするとスムーズに話が進むでしょう。ただ、主張が強いので、反対意見や別の意見を出しづらい雰囲気になってしまうこともあります。偏った意見になりそうな時は、フォローを入れましょう。
腕を組む
緊張していたり、警戒していたりする時、腕をギュッと強めに組む傾向があります。自分を守ろうとしている行動でもあります。
【コミュニケーションのポイント】
しばらく、リラックスできそうな話題を続けてみましょう。当たり障りのない天気や季節の話、園児たちのほほえましいエピソードなどをしてみてください。腕の組み方が緩くなっていくようなら、警戒心が解けてきています。お願い事などは、そのタイミングでしてみましょう。受け入れてもらえる可能性が上がります。
頭や髪に頻繁に触れる
緊張や寂しさを紛らわそうとしているとき、頭や髪に触れる傾向があります。自分自身に触れることで、落ち着こうとしています。
【コミュニケーションのポイント】
最初のうちは緊張している様子が見られるかもしれませんが、その場に慣れると落ち着いていきます。明るくゆったりとした雰囲気で対応し、リラックスしてもらえるようにしてみてください。
唇をなめる
強い緊張状態にある時、しきりに唇をなめる傾向があります。緊張すると、のどが渇きやすく、唇も乾燥しやすくなります。そういった時に唇をなめることで潤わせようとしているのです。
【コミュニケーションのポイント】
自己紹介を順番にしていく時や、係を決める時、意見を求められる時などに見られるでしょう。そういった場面では緊張するのが自然なので、そこまで気にしなくても大丈夫です。
あごに頻繁に触れる
相手の発言から自分を守りたい気持ちになっている時や、間違えた発言をしたくないと慎重になって言える時、あごに触れる傾向があります。
【コミュニケーションのポイント】
何かしらの意見はあっても、その場ではなかなかハッキリとしたことは言ってもらえない可能性があります。「何かご意見があれば、後からでもお知らせください」などと伝えておくと、連絡帳などに書いてもらえるかもしれません。また、次回以降、事前に意見を伺いたい内容を告知しておき、後日意見を聞くなど、一度、ゆっくり考えてもらう時間をとってみるのも良いでしょう。
口や鼻に頻繁に触れる
後ろめたい気持ちがある時、口や鼻に触れる傾向があります。特に口を触っている時は、嘘を言っている可能性もあります。口を隠すしぐさも同様です。
【コミュニケーションのポイント】
何か事情があり、本当のことを言うのが難しいようです。例えば、「子育てが充分にできていない」などと、ご自分を責めているということがあるかもしれません。実際、保育者側からすると問題ないことであっても、保護者は罪悪感を持っている可能性があります。まじめなタイプの保護者であれば、「もう少し緩めに考えても大丈夫」ということを、それとなく伝えてみましょう。
―いろんな場面で応用が可能です
いかがでしたか?今までの保護者とのかかわりの中でも、思い当たるしぐさがあったのではないでしょうか。
コロナ禍では、なかなか保護者会などを対面で開くことは難しい状況ですが、しぐさに注目できる機会がありましたら、是非、保護者の方々とのよりよいコミュニケーションのために活用してみてください。
また、しぐさの心理学は、保護者とだけでなく、上司や同僚、後輩とのコミュニケーション、ミーティングなどでも相手の気持ちの理解に応用できます。
気になるしぐさが見られたら、緊張しやすい人や、本音をなかなか言えない人の本心を引き出せるように、リラックスしてもらえるような工夫をしてみてくださいね。
≪心理カウンセラープロフィール≫
松本 いずみ
公認心理師。明治学院大学大学院心理学専攻修士課程修了。ストレスチェック実施者研修修了。スクールカウンセラーとして都内中高で12年間従事するかたわら、メンタルヘルスサイトにて一般向けに心理学コラムの執筆とメールカウンセリングを担当。プライベートでは0歳と7歳の2児の母。最近は「あつまれどうぶつの森」を家族で楽しんでいます。
参考
渋谷昌三
2014 面白いほどよくわかる!見た目・口癖の心理学
ゆうきゆう
2014 「なるほど!」とわかる マンガはじめての心理学
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