子どものお絵かきの力を伸ばすには?発達段階・声掛けのポイントを紹介!
- 保育士お役立ち情報
- 2020/10/13
保育園のお絵かきの時間、つい上手かどうかの価値観で子どもの作品を見ていませんか。子どものお絵かきには発達段階があり、各段階に合った声掛けが大切なポイントです。楽しくお絵かきができるような、声がけの工夫ポイントなどを紹介します。
子どものお絵かきには発達段階がある!?
個人差はあるが、年齢にあった発達段階があり!
保育園でのお絵かきの時間は、習熟を目的としていないことがほとんどです。ただ、保育士としては子どものお絵かきについての知識を持っておきたいですね。
子どもの絵には、年齢にあった発達段階があります。例えば「まだ丸しか描けないけど、大丈夫かしら」など、他の子と比べて心配になっている保護者がいたら、きちんと答えられるようにしましょう。子どもの絵の表現の発達については、個人差はありますがほぼすべて全ての子が同じような過程で育まれていきます。
子どものお絵かきに関する発達段階
【1〜2歳】擦画期
クレヨンなどをグーの手でしっかり握れるようになる時期です。グルグルとなぐり書きをしたり、画用紙にクレヨンを叩くようにして点々を描いたりします。
【1歳6カ月〜3歳】錯画期
意思を持った強い線や曲線などが描けるようになります。ただ、まだ見たものを描く段階ではありません。この時期にたくさんの絵を描いた子どもは、絵を描くことが好きになることが多いようです。
【3〜4歳】象徴期
子どもの絵に三角形や四角形などの記号が象徴的に現れるため、こう呼ばれています。描いたものを指差して「ママ」などと言うようになります。ただし、これは描く前に考えているのでなく、描いた後に連想して意味付けをしています。
【3〜5歳】カタログ期
自分の知っていることなどを絵で表現しようとします。この時期は、描かれたものに脈絡がなかったり、大小や順序などに関係性のないことが多いため、カタログ期と呼ばれています。
【5〜6歳】図式前期
画面の中に意味をもたせた描き方ができるようになります。大小のバランスなど、しっかり素描ができるようになってくる時期です。 ベースラインと呼ばれる地面の線を引いて、人物や花などをその線上に並べて描くようになります。
お絵かきの力を伸ばす声がけのポイントは?
自然な発達を受け入れるような声がけが基本!
子どもの絵の発達について理解していても、お絵描きの最中に保育士はどのような声がけをすればよいでしょう。つい言ってしまいがちな「上手だね」という声がけは、実はおすすめではありません。
「上手=本物そっくりに描く」という固定概念を与えることにつながり、その子のありのままの素直な表現を制限してしまう可能性があるのです。
なので、保育士としては、その子なりの自然な発達を受け入れるような声がけをしていくことが基本です。幼児期に重要なのは上手下手ではなく、絵を描くことが楽しいと思えることです。
以下に、つい言ってしまいがちな「注意したい声がけ」について紹介しますので、参考にしてみてください。
注意したい声がけの例を紹介!
「何を描いてるの?」
絵を描く際、大人は「○○を描こう」と思って描き始めます。しかし、多くの幼児はそうではありません。例えば、2歳で錯画期を迎えている子は、クレヨンで思い切りなぐり描きをしている時、何かを描こうとはしていません。その動作を楽しんでいるのです。
保育士が「何を描いてるの?」と聞いても反応しないことがほとんどです。なので、保育士は子どもがのびのびと描く様子を喜んで受け入れて、邪魔をせずに環境づくりをしてあげましょう。
「丁寧に塗ろうね」
ある美術教育の専門家は「幼児期のぬりえは害悪」という表現を使っています。害悪というほどではないかと思いますが、決められた枠の中をできるだけ丁寧に塗るという行為は、幼児期の絵の表現の発達に特に必要なものではありません。
美術教育の見地からは、幼児期は丁寧に塗るよりも自分の好きなように喜びをもって絵を描くことが推奨されています。もし塗ることに対して子どもに声掛けをするなら、「丁寧に」ではなく、例えば「しっぽだからふわふわに塗ってみたら」など、感性に訴えかける声掛けの方が効果的です。
「○○くんより上手」
幼児期の美術の目標は「表現する過程を子ども自身が味わい、もっとやってみたくなること」であると、ある美術教育の研究者が言っています。 幼児期は上手になるために絵を描いていることは稀で、楽しみとしてお絵描きをしています。なので、子ども同士で優劣をつけたり競わせたりすることには意味がありません。
まとめ
よく「正解がないのがアート」という言い方がされますが、これは子どものお絵かきにも当てはまります。保育士は上手下手に縛られずに、子どもが自由にのびのびと絵を描けるよう声がけをして環境づくりをしていきたいですね。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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