アフターコロナの働き方は?保育士在宅勤務を考える!
- 保育士お役立ち情報
- 2020/07/20
新型コロナウィルスの影響で保育園でも保育士が在宅勤務になり、多くの職員が今回初めて在宅勤務を体験しました。保育士が子どもたちと接することなく勤務するという未曽有の事態です。そうした在宅勤務の実態はどうだったのか、今後、保育士の新しい働き方として可能性があるのか、在宅勤務をめぐる状況について紹介します。
保育士の在宅勤務の実態はどうだった?
新型コロナウィルス感染拡大で緊急事態宣言が出され、登園が自粛される地域も出るなど、保育業界は前代未聞の状況に直面しました。 園によって休園、もしくは原則開園と、状況はそれぞれでしたが、命の危険も迫るような状況をなんとか乗り切ったというのが現実だったと思います。
それに伴い、職員の動きにも大きな影響がありました。職員が有給を消化したり、シフト調整して交代で自宅待機などした園が多かったようです。自宅待機となった保育士の多くが、在宅勤務を経験することになりました。
多くの保育士が初めて経験する在宅勤務。その実態はどうだったのでしょうか。
ある調査によると、保育士の在宅勤務は以下のような内容が一般的でした。
保育士の在宅勤務で行った仕事内容例!
@教材準備・製作
・教材(パネルシアター等)
・手作りおもちゃ(紐通し、布おもちゃ等)
・行事の製作物
・壁面の製作
・縫い物(おんぶ紐、エプロン、カーテン等)
A書類作成
・保育計画(月案、週案、日案)
・行事の企画書
・食育年間計画
・保育記録
・おたより関連
B研修・レポート
・Zoomなどによるオンライン研修
・課題となる本、参考書を読んでレポート作成
・課題についてレポート作成(保護者支援、食育、地域支援、事故防止、アレルギー対応等)
・自分が考える、園の「保育目標」「保育方針」の作成
C練習・学習
・ピアノの練習
・わらべうた、手あそびの練習
・折り紙のレパートリーを増やす学習
D子ども・保護者対応
・お知らせや手紙などを園児宅に送付
・ぬりえなどの教材を園児宅に送付
・担任から園児宅に電話連絡
Eオンラインで子ども・保護者対応
・Zoom配信による保育
・YouTubeチャンネルをつくり、動画配信(手遊び、歌、読み聞かせ、クイズ、工作の作り方、運動遊びの仕方、おやつの作り方等)
・園のHP上に、折り紙の折り方、室内遊びなど掲載
上記のように、在宅勤務の主な内容は、「個人情報を含まない書類作成」「製作物関連」「行事準備」、「研修・レポート作成」「在宅で可能な子ども・保護者とのやり取り」などが主となっていました。
保育士在宅勤務の問題点は?
それぞれの園で工夫しながら進められた保育士の在宅勤務ですが、現場からの声では、以下の問題点があったようです。
@書類に個人情報が多く、自宅作業が出来なかった。
保育事務は個人情報を扱うことが多いので、自宅に持ち帰っての作業は基本的にできません。なので、保育士の在宅勤務では「個人情報を含まない書類作成」が主となりました。一方で、書類を持ち出すのでなく、リモートで自宅パソコンから職場のパソコンを動かした園もあったようです。それであれば、個人情報の持ち出しをせずに済みます。
実際にリモートで書類作成した保育士からは「園で行うよりも、他のいろいろなことに惑わされずに集中できた」という声もありました。そうした動きは、リモートワークが一般的になっていく中、今後も加速されていくはずです。アフターコロナの保育士の働き方の一つとして、参考になりますね。
A前例がほとんどなく、園独自で考えて実施しなくてはいけなかった。
今回の出来事は突然の事態だったこともあり、それぞれの園が独自に工夫しながら試行錯誤をして在宅勤務を進めていきました。そのため、保育士の中には「他の園ではどうしているか知りたい」という切実な声もありました。 状況が落ち着いてきた今、各園で蓄積した経験をお互いがシェアできるようになることが望まれます。
保育士の在宅勤務、今後の可能性は?
保育士の働き方にも間違いなく影響あり!
今回のコロナ禍対策で、ご存知の通り、多くの企業が在宅勤務に踏み切りました。緊急事態宣言解除後の現在も、在宅勤務を続けている企業も数多くあります。ある意味では、コロナ禍によって、今まで進まなかった働き方の変革が一気に進行したとも言えます。
同じように、保育士の世界でも、多くの園で初めて在宅勤務が行われました。今までの常識では、子どもと接することが保育の根本なので、自宅勤務は考えられないものとされていました。ただ、今回、やむなく実施した在宅勤務が一定の成果を上げているという現場の声もあります。
「普段なかなかじっくりと向き合えない教材づくりに集中できて、保育の質の向上につながった」「オンラインで、クラス会議、研修を実施でき、普段できないようなコミュニケーションが図れた」などです。今後、在宅勤務が主流になることはないとしても、アフターコロナの働き方として、保育士の働き方に影響を与えていくのは間違いありません。
また、保護者にも大きな変化がありました。保護者の間で在宅勤務が選択肢になっていくと、通常通り「保育園に預けて仕事」というスタイルにも変化があらわれてくると考えられます。家庭保育とオンライン保育を合わせるなど、新しい保育が誕生していくかもしれません。
まとめ
実際に在宅勤務になった保育士の皆さんは、様々な感想を持ったことと思います。保育士の業務を見直す機会になったと感じた方も多いようです。コロナ以降の働き方が議論されていますが、保育士もその流れと無縁ではありません。
「子どもとの関わり」が中心となる保育士業務では、もちろん在宅勤務がメインになることはないでしょう。ただ、さまざまな働き方、保育のあり方が今後検討されていくことになるのではないでしょうか。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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