子どもも保護者も安心!慣らし保育のコツと注意点を紹介します。
- 保育士お役立ち情報
- 2022/03/16
「慣らし保育」は、子どもと保護者が新しい環境に慣れるための大事な期間です。トラブルなくスムーズに進めるようにしたいですね。ここでは、慣らし保育の必要性や慣らし保育のコツ、注意点について紹介します。
「慣らし保育」はなぜ必要?
「慣らし保育」とは、入園してきた子が園生活に慣れるために、段階的に保育時間を伸ばしていく短時間保育のことです。園によっては「慣れ保育」という言葉を使います。
そもそも慣らし保育は、なぜ必要なのでしょうか。慣らし保育は、子ども、保護者双方にねらいがあります。
以下より『慣らし保育』を行う目的例を紹介します。
環境変化による『子どもの不安を軽減』するため!
入園したての子どもにとって、保育園は今までとは異質の集団生活になります。そうした環境変化は、幼い子どもにはとても大きなものです。そのストレスを慣らし保育によって軽減し、徐々になじめるようにして通常の保育に移行していきます。
保護者が安心して子どもを預けられるようにするため!
保護者も『園生活への不安、もしくは子どもと離れる寂しさや罪悪感』を抱えている場合があります。保護者が安心して子どもを預けられるように、慣らし保育中に保育士との信頼関係を築いていくのです。
慣らし保育は、通常どのぐらいの期間行うの?
短くて数日、長くて2週間程度が一般的!
慣らし保育の期間は、園の方針、子どもの年齢・様子、保護者の就労状況等によって違います。一般的には、短くて数日、長くて2週間程度で行われています。尚、慣らし保育の対応は自治体の方針によっても大きく異なります。
ある自治体では保護者が希望すれば慣らし保育を実施しますが、職場復帰支援のためであれば、慣らし保育なしで夕方まで預かり可能というところもあるようです。
コロナの影響で慣らし保育のやり直しも!
新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの自治体で緊急事態宣言が出され、保育園にも大きな影響がありました。東京都を例にあげると、緊急事態宣言が令和2年5月25日に解除されましたが、4月入園の園児についてはきちんと慣らし保育ができずやり直しを実施するケースが多いようです。
慣らし保育のコツと注意点は?
慣らし保育は、子ども、保護者の不安・ストレスに配慮しながら対応する期間になります。以下のポイントに注意しながら、個別に、丁寧に接していきましょう。
預け初めに多い『突然死』に気を付ける!
乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生するケースが、預け始めの時期に集中しているというデータがあります。ある医療機関の調べでは、預けて1ヶ月以内に起きた突然死は全体の半数に上っていたそうです。これは慣らし保育の期間にあたります。
理由としては、保護者から離れて1人で保育園に入ることが3歳未満などの幼い子にとって想像以上に大きなストレスになっているためだと考えられています。そのため、午睡対応などは慣らし保育中の子の場合はいつも以上にしっかりと行っていく必要があります。
子どもが給食を食べなくてもあせらない!
慣らし保育の間は慣れない環境にいるので、子どもは食が進まないことも多いようです。保育士はつい子どもに食べさせたくなりますが、無理強いはしないようにしましょう。食べる時間を楽しめるように、少しでも食べられたら褒めてあげるぐらいの姿勢で臨むとよいでしょう。
保護者ヒアリングは重要!
保護者からは、事前によくヒアリングをしておきましょう。アレルギーの有無等は必須ですが、他にも子どもの好きな遊びや生活リズム、家庭での様子などを聞いておくと受け入れ準備がスムーズにできます。そうしたヒアリングは単に情報を得るだけでなく、保護者の不安を軽減したり悩みに気づく機会でもあります。保護者支援の視点からもヒアリングには大きな意味があるのです。
保護者の不安にはポジティブな言葉がけを!
ネットで「慣らし保育」を検索すると、慣らし保育中に保護者が保育士に言われて傷ついた言葉が並んでいます。慣らし保育がうまくいかずに悩む保護者は『自分の子どもだけ、馴染めていないのではないか』『保育士に迷惑をかけているのではないか』と不安になりがちです。そうした保護者への言葉がけには、ネガティブな表現は厳禁です。常にポジティブな言葉がけを心掛けましょう。
例えば、泣き止まない子に悩む保護者には『今は泣いているけどそのうち慣れるから大丈夫よ〜』と明るく伝えると、ホッとする場合が多いようです。
まとめ
早く仕事に集中したい保護者には、慣らし保育が面倒なものに感じられる場合もあります。ただし、じっくりと慣らし保育を行い子どもを慣れさせてあげる方が、長い目でみると子どもも保護者もストレスが少ないことがわかってきています。保育士は慣らし保育のねらいをきちんと理解して、保護者を巻き込みながら丁寧に進めていきましょう。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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