今年はこんな運動会をやってみよう!今注目の子ども主体の運動会とは?
- 保育士お役立ち情報
- 2020/05/14
運動会は、保育園行事の中でも最も大きなものです。今年はどんな競技をやろうか、頭を悩ます保育士の方も多いのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが、今一度運動会のねらいに立ち還って企画を練ることです。参考になる考え方、アイディアを紹介します。
保育園の運動会のねらいとは?運動会は誰のためにやる?
運動会の企画を考えるのは楽しみもありますが、保護者、職員の間の期待も大きいので、プレッシャーに感じている保育士もいると思います。まずすべきこととして、おすすめしたいのが、運動会の「ねらい」を明確にすること。そこから発想していくことです。どんな競技がよいかを考える前に「運動会とは、子どもにどんな経験をさせたい行事なのか」と、根本的なところから考えましょう。
運動会のねらいとは、例えば「親子の触れ合いをたくさん経験する」「楽しく身体表現する」などです。ねらいがしっかりしていれば、ぶれることはありませんし、競技の方向性が自然に見えてきます。
ここでヒントにしたいのが、ある保育関連研究者の以下の発言です。「最近は、見せる運動会、親たちに成果を見せつけるような運動会が増え、子どもの実態にそぐわない運動会が多く行われるようになった」、つまりは「子ども」にどんな経験をさせたいかでなく、「保護者」へどうアピールするかに力点が置かれてしまっている運動会も多いということです。このあたりは私も思い当たることがあります。
ただ、本来、保護者への成果伝達だけが運動会のねらいではないはずです。子どもの発達に寄り添った運動会が理想です。
今までの話にピンときた方は、今年の運動会では「子ども主体」をねらいとして考えてみてはいかがでしょう。具体的な内容について紹介します。
子ども主体の運動会をやってみよう!
私の経験した運動会の話ですが、ある保育士が年長の種目を子ども主体で実施したことがあります。ダンスの振り付けを子どもたち自身が相談して決めていき、保育士は支援するだけでした。
運動会当日、種目が終わった時の「やり切った」という子どもたちの表情が私には印象的でした。
そのように、保育士の掲げた目標に向かって練習させるのではなく、自分が決めた目標に向かって子どもが主体的に練習していくように働きかける、それが子ども主体の運動会のあり方だと思います。
子ども主体の運動会を実施している園が、大事にしているのは以下のような考え方です。
保育園が大事にしている点
・運動会を、行き過ぎた期待や負担をかけずに、子どもと保育者、保護者にとって楽しい一日になるようにする。
・子どもたちが無理をするのではなく、一人ひとりの今の姿、自然な姿を感じられる場にする。
・練習も子ども主体で行うように工夫していく。練習させられているのではなく、自ら進んで練習していくのだという気持ちで取り組めるよう働きかける。
・子どもたちが園生活の中で培ってきた力を、見た人が感じられるようなプログラム内容にする。
子ども主体の運動会は、運動会だからといって日々の保育とかけ離れるのでなく、その延長で子どもたちの成長・発達が感じられる機会にしていく取り組みです。その際に、「やらされている」のでなく、子どもの内発的な力が重視されていくことも特徴です。
そのように子どもに任せることで、どうすればいいのかを自ら決めていく経験を積むようにしているのです。
子ども主体の運動会 競技アイディア
実際の競技・種目としては以下のようなものが考えられます。参考にしてみてください。ただ0・1・2歳児に関しては子ども主体という方向性はありつつも、年齢的に考えると親子競技を充実していく方向が考えられます。
3歳児
親子競技「親子でお買い物」
自分たちで作ったくだもの袋。それを使って、親子で買い物をする競技です。父母と一緒にどんなくだものを買いたいのか、それぞれが楽しくイメージを膨らませながら練習し、当日を迎えます。
4歳児
遊戯
園内で日頃から楽しんでいるリズムあそびやなりきりあそびなどを、講師のピアノに合わせて披露します。特別な練習はせずに、日々の保育実践が感じられるような内容にすることがポイントです。
5歳児
パラバルーン
最近一般的になってきた遊戯です。音楽に合わせて、円形の大きな布(パラバルーン)を音楽に乗って、みんなでタイミングよく上下に動かしたり、回転させたりして遊びます。曲の選定から、布の動かし方等、子どもに任せて実施してもいいでしょう。
クラス対抗リレー
ただ練習をするのでなく、どうやったら勝てるか、子どもたちと相談していきます。ただ自分だけががんばるのではなく、一緒に走るお友達のことも考えて作戦を練るように保育士が働きかけていきます。
まとめ
子ども主体の運動会について紹介をしていきましたが、もちろんそれが正解というわけではありません。重要なのは、職員で考えて園でねらいをきちんと定めることです。 運動会のねらいについて、一人ひとりの保育士が考え園としての考えも明確にして、保護者と共有する、それが運動会成功の秘訣といってもいいでしょう。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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