保護者に届く!連絡帳記入のコツ
- 保育士のホンネ
- 2022/03/18
保育園と保護者をつなぐ連絡帳。大切なものですが、毎日書くことを負担だと感じている保育士も多いようです。連絡帳の書き方などで迷うことは、意外と多いですね。ここでは、そもそもの連絡帳の役割、記入する際のコツや注意点などを紹介します。
そもそも連絡帳とは何のためにあるの?
連絡帳を毎日書くことが、負担だという保育士は多いようです。言葉を選ぶのにも神経を使うので、ある調査では、保育士が負担と感じる業務の上位に入っていました。
私は保育士として連絡帳を毎日書いていましたが、自分の子を保育園に預けていたので、保護者の立場でも連絡帳を見ていました。毎日、子どもの連絡帳をもらうとすぐに開いて、我が子の様子を確認するのが日課でした。読みながらほっとしたり、子どものトホホな様子にがっかりしたり、保育士の言葉に励まされたりと、いろいろと心を動かされていました。
そのように、保護者は連絡帳を楽しみに、また頼りにしているものだという実感があります。
そもそも連絡帳とはどのような意味・役割があるのでしょうか。
連絡帳は、一言でいえば園と家庭を結ぶ「懸け橋」のようなものです。なので、保育士が一方的に園での子どもの様子を伝えるのではなく、保護者からも家庭での様子を伝えてもらうような、いわば双方向のツールだと認識しましょう。
園と家庭が情報を共有し、コミュニケーションしていくことが子どものより良い保育には欠かせません。そのためには連絡帳をきちんと使いこなすことが必要です。
連絡帳記入のコツと注意点
保護者との信頼づくりに大切な連絡帳ですが、その書き方を先輩保育士や園長から教わることはあまりないようです。私もそうでしたが、皆自己流で記入していて、同僚がどんな内容を書いているのかもわからなかったりするのが普通です。ただし、連絡帳は保護者の気持ちに届かなくては意味がありません。
以下のようなポイントに気を付けて記入すると、保護者の心に残る内容になります。
@エピソードを具体的に書く
保護者は、子どもが園でどう過ごしているのか、とても知りたがっています。なので、保護者が読んだ時に子どもの様子が目に浮かぶように書くことが理想です。
よく見かけますが、活動の時系列的な羅列はやめましょう。例えば、「今日は午前中、××公園に散歩、昼食、午後は午睡明けに粘土」など書かれていても、我が子の姿はよくわかりません。子どもの様子がわかるエピソードを伝えることを心がけてください。その際、いろいろ書かずに印象的な一つのエピソードを目立たせましょう。
文章力は必要ありません。目撃した様子をそのまま文章にすればよいのです。
例えば、「××公園に散歩に行った際、〇ちゃんは小さな川の橋の上でじっと水の流れを見つめていました。『前は凍っていたよ』と保育士に教えてくれました。最近は自然に興味津々でいろいろなことを発見しています」など、子どものその時の発言を入れながら情景を描き出すと、保護者の心に届くのでおすすめです。
Aとにかくポジティブに書く
保護者は、進級しても、また卒園しても連絡帳を捨てることはありません。つまり、連絡帳は一生残る可能性がある子育ての記録です。そういう意味からも、その子の課題を記入することはあっても、必要以上にマイナスのイメージのある言葉は使わないことです。
例えば、連絡帳に「ずっと泣いていました」と書かれていると、保護者はとても不安に感じられます。“なぜ泣いているのだろう、その間に保育士は何もしてくれなかったのか、わたしを探していたのかも…”と、保護者の気持ちは行き場もなくぐるぐるとして、園への猜疑心や自責の念に苦しめられることもあります。
なので、泣いていたことは事実だとしても、ポジティブに伝える工夫をしてください。例えば、「泣いていた」→「きちんと感情を表現できていました」と前向きに表現するなどです。
更に、「泣いてしまうこともありましたが、保育士に抱っこされて安心していました」など、保育士の対応にふれるなど、安心するような書き方を心がけましょう。
B保護者のコメントには必ず返し、こちらからも投げかける。
保護者からの質問やコメントには、必ず何らかの返答をしましょう。それがないと、保護者は「スルーされた」と感じます。また、保護者が返信しやすい投げかけをすることも必要です。
「今日は、週末に家族で〇〇に行った話をしてくれました。お父さん、お母さんとよく出かけるのですね」など、答えやすい質問をして、家族の様子を把握するのにも役立てましょう。
まとめ
「保育士の言葉に傷ついた」「そっけない冷たい先生」など、連絡帳の記入によって保護者にマイナスのイメージを与えることは、実は多いものです。なので、記入後には必ず見直すなど、気を付ける必要があります。
ただし、その逆で、連絡帳の保育士の言葉に勇気づけられることもよくあります。連絡帳を上手に使って、信頼関係づくりに役立ててください。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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