子どもの風邪予防!保育士は、子どもに薄着をさせるべき?
- 保育士お役立ち情報
- 2020/02/06
寒い日、散歩に行く際に、厚着か薄着か迷う時がありますね。子どもにとってどちらが最適なのか?考え方をご紹介します。
厚着は“しすぎない”のがポイント
冬は風邪をひかないようにと、保護者も保育士も、子どもを厚着にしがちです。
ただ昔から「子どもは風の子」ともいうし、薄着のほうが身体にいいのでは…と迷うところです。
まず、子どもを厚着にしたいと考える心理には、“冷えて風邪をひかせたくない”という思いがありますね。
確かに、子どもは体温調節がうまくできず、風邪をひきやすいのは事実です。
さらに、暖房の発達していない時代には、寒い日はとにかく子どもを厚着にさせていることが多かったようです。その名残が今の子育てにも残っているといえます。
今でも、中国や韓国などでは、子どもをできるだけ厚着にさせる習慣がありますね。
ただ時代が変わって、暖房器具も当たり前になり、小児医療も手厚くなったので、それほどの厚着の必要は、実際なくなっています。
例えば、厚着のデメリットとしては、以下のようなものがあります。
・身体を動かしにくい
・汗をかいて、かえって体を冷やす可能性がある
・体の体温調節機能を養いにくい
これら3つのうち、特に体温調節機能について注目してみてください。
後ほど紹介しますが、子どもの厚着は、体温調節機能を育てるせっかくの機会を奪う可能性があるのです。
もちろん、「厚着=悪」というわけではありません。
ただ、度を越した厚着は控えたほうがいいといえます。
薄着=免疫を高めるは本当?
一方で「薄着」についてです。
一般に「薄着で過ごす」=免疫力が上がるといわれていますが、実は医学的な根拠はあまりないようです。
もちろん「薄着で体を鍛える」「乾布摩擦は免疫力を高める」という考え方は古くからあります。
ただ、そうした考え方について、例えば、服の枚数と免疫の関係を調べた研究などは存在していません。なので、どちらかといえば、精神論的な意味合いのものと考えたほうがいいでしょう。
ここで考えたいのが、薄着によって「子どもの体温調節機能を育てる」という視点です。
薄着のメリットは、実はここにあると考えられます。
もともと人間は外気温に対応できる力を持っています。
幼いころから寒さや暑さに触れて慣れていくことで、その対応力が高まっていきます。
それが体温調節機能です。
できるだけ薄着でいると、外気温に触れる機会が増えて、体温調節機能が養われていきます。
厚着をしてしまうと、この体温調節機能が育ちにくくなる可能性があるのです。
体温の調節が上手にできないと、どうなるのでしょう。
免疫力が下がったり、熱がこもりすぎるといったことが起こります。
体温調節は健康維持に欠かせない機能なので、幼い時から養っていく必要があります。
子どもは「こまめに脱ぎ着する」のが正解
では、子どもの防寒では厚着か薄着、どちらが正解といえるのでしょうか。
これは、実は「絶対的な答えはない」というのが答えになります。
医学的な見地からも、厚着、薄着にこだわって、子どもたちに無理をさせることは得策ではないと考えられます。
状況、または個人差に合わせて、こまめに脱ぎ着することが最も現実的です。
さらに子どもは自分では衣服の調節が難しいので、まずは保育士が手伝って、調節してあげることも必要になってきます。
厚着、薄着のメリットを十分理解したうえで、保育士は工夫しながら上手に両方を取り入れていくといいでしょう。
例えば、厚着をする場合であれば、厚手の衣類を1枚だけ着るのではなく、薄手の衣類の重ね着するほうが、保温効果があります。
暑くなってきたら1枚脱ぐ、寒くなったら着ることができて、調節しやすいというメリットがあります。
薄着については、体温調節機能を養うという意味からもメリットはありますが、いきなり薄着にするのでなく、暖かい服装から段階的に薄着にしていくほうがよいでしょう。
また、薄着の場合の衣服の枚数ですが、子どもは大人より体温がやや高く、変動しやすいです。そのため、「大人より1枚少ない」を目安にするとよいといわれています。
まとめ
厚着にするか薄着にするかは、保育士の間でも意見が分かれることが多いですね。
ただ、医学的に見ても、どちらが善で、どちらが悪ということはありません。
なので、保育士は、子どもの発達や個人差を見ながら、こまめに衣服の調節をしていってあげてください。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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