「保育士等キャリアアップ研修」は、スキル・給料アップにつながる!?
- 保育士お役立ち情報
- 2021/09/03
保育士は、どのようにキャリアアップしていけばいいのでしょう。
そのヒントとして、2017年に導入された「保育士等キャリアアップ研修」についてご紹介します。
「保育士等キャリアアップ研修」とは?
保育士として働きだすと、「数年後、どうなっていたいか」など、未来の姿を考え始めると思います。
例えば、勤め先が企業などであれば、年とともにキャリアアップしていくイメージを持つことができます。ただ、保育士はそうした未来へのイメージが持ちにくい職種です。
保育士の一般的なキャリアは、クラス担任を経て、主任保育士、その先はもう園長です。
そのため保育士はキャリアパスが描きにくく、モチベーションを持つのが難しいと言われ続けていました。
そうした課題にも関連して、2017年、厚生労働省によって「保育士等キャリアアップ研修制度」が制定されました。通常「キャリアアップ研修」と呼ばれています。
「キャリアアップ研修」は、キャリアアップの機会が多くない保育士、その処遇改善のために制定された制度です。
これによって、保育士が新たにキャリアパスを描けるように、研修体制が整備されました。
キャリアアップ研修で追加された3つの役職
この制度では、一般保育士や主任保育士の間に、以下のような3つの役職が追加されています。
この役職になるためには、定められた用件に合わせた研修を受講する必要があります。
例えば、副主任保育士になるには、約7年以上の経験年数を有し、4分野以上のキャリアアップ研修を修了することが必要になります。
@ 副主任保育士
主任保育士の補佐業務を行う管理職
経験年数:概ね7年以上 ※職務分野別リーダーを経験
必要用件:4分野以上のキャリアアップ研修の受講が必要
(1講座はマネジメント分野を受講)
加算金額:月額4万円
A 専門リーダー
専門分野に精通したリーダー保育士
経験年数:概ね7年以上 ※職務分野別リーダーを経験
必要用件:4分野以上のキャリアアップ研修の受講
加算金額:月額4万円
B 職務分野別リーダー
特定分野のリーダー保育士
経験年数:概ね3年以上
必要用件:1分野以上のキャリアアップ研修の受講
加算金額:月額5,000円
「保育士等キャリアアップ研修制度」の研修制度について
それでは、キャリアップ研修にはどんな内容が含まれているのでしょうか。
キャリアアップ研修で受講する研修内容は、8つの分野に分かれています。
それらを分類すると、「専門分野別研修」「マネジメント研修」「保育実践研修」の3つになります。
専門分野別研修
@乳児保育 主に0歳から3歳未満児向けの保育内容
A幼児教育 主に3歳以上児向けの保育内容
B障害児保育 障害への理解、保育環境について学ぶ
C食育・アレルギー対応 食育、アレルギーについての理解を深める
D保健衛生・安全対策 保健計画作成や保健衛生・安全対策について学ぶ
E保護者支援・子育て支援 保護者支援、子育て支援について理解を深める
※職務分野別リーダーは、以上6つの講座から自分の担当する分野を受講します。
マネジメント研修
Fマネジメント マネジメント・リーダーシップの能力を身に付ける。
※副主任保育士は、このマネジメント研修の受講が必須です。
保育実践研修
G保育実践 保育の展開を行うために必要な能力を身に付ける。
※保育現場における実習経験の少ない者(保育士試験合格者等)や潜在保育士が主な対象とされています。
上記1分野15時間以上の研修時間が義務となっています。
研修の受講後には、知識及び技能の習得をはかるためのレポート提出などが必要です。
研修を修了すると、修了証が交付されます。
キャリアアップ研修のメリットは?
キャリアアップ研修を受講して、役職につくことで得られるメリットについて紹介します。
@ スキルアップする。
キャリアアップ研修は、網羅的でなく、分野ごとに深く学んでいく機会になります。
なので、専門性を高めることができ、保育士としてのスキルアップを図ることができます。
また、研修では講義、演習、グループ討議などが組み合わされていて、保育士の日々の業務では得られないような気付きを得ることが可能です。
A 給料がアップする。
職務分野別リーダーの役職に就くと月額5,000円、専門リーダーか副主任保育士に就くと月額4万円の処遇改善がなされます。
B 転職・復職時にも有効。
受講後は、修了証が発行され、名簿への登録が行われます。それは特定の要件を満たした証明になり、役職のある求人に応募する際など有利です。同様に、復職の際にも証明として効力を発揮します。
修了書は受講した都道府県だけではなく、全国で有効です。
まとめ
保育士はつい日々の保育に没頭してしまいがちです。
そうした中、キャリアアップ研修では、日々の保育から離れて、大きな視点で保育を見つめる機会となります。
なので、自分の得意の研修分野から受講して、視野を広げて、キャリアアップを目指すのがいいですね。
ただし、注意点としては、施設ごとに定員が決まっていることです。主任、園長と相談しながら受講することになります。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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