体にも、脳にもいい!?はだし保育の秘密
- 保育士お役立ち情報
- 2019/12/05
裸足での保育を取り入れている園は数多くあります。さまざまな効果があるといわれている「はだし保育」について紹介します。
はだし保育とは?
私の勤務していた園では、園児は、室内では裸足でした。
冬でも裸足で走り回る子どもたちは元気そのもので、保護者からも好評でした。
裸足での保育は「はだし保育」と呼ばれていて、現在、さまざまな保育園で実践されています。はだし保育を一つのウリにしている保育園も多くあります。
では、そもそもなぜ裸足での保育が盛んになっていったのでしょうか。
それには、1980年代以降、主に小学生向けに、「はだし教育」が推奨されてきたという過去があります。80年代は、子どもの体力低下が指摘され始めた時期でした。裸足での活動が子どもたちの体力づくりに役立つとされてきたのです。
その流れの中に、現在の保育園でのはだし保育はあります。子どもの健康、身体づくりに、はだし保育の効果が期待されています。
はだし保育のメリットは?
「はだし保育」には、主に以下のようなメリットがあると考えられています。
@ 足の裏に、土踏まずができる
最近では、いわゆる偏平足の子どもが増えているといわれています。これは足の裏に土踏まずが形成されていない状態です。
土踏まずは裸足で歩くことによって形成が促進されます。足の構造は5・6歳で完成するので、幼児期に土踏まずをつくっていくことが重要です。
土踏まずがないとどうなるかというと、バランス感覚が悪くなります。歩行の際に転びやすくなったり、足の疲労が蓄積しがちになります。
A 感覚器官や脳の発達にプラスになる
ご存知かもしれませんが、足裏にはたくさんのツボがあります。
中でも、身体を支えてくれる、いわゆるバランスセンサーが数多くあるといわれています。
裸足で歩き、時に走ることで、足裏感覚が刺激されていき、このバランスセンサーが活性化します。それが、バランス能力と運動能力を高めることにつながります。
また、足裏からの刺激が大脳を刺激して五感の発達にも影響するといわれています。
B リラックス効果がある
例えば、砂浜を裸足で歩いていて、気持ちがいいと感じることはよくあります。
裸足で歩くと、足裏から刺激を受けて、副交感神経が優位になるためです。
それが、リラックス&ストレス解消の効果につながっていきます。子どもの情緒安定にも関係するといわれています。
はだし保育のデメリットは?
「はだし保育」のデメリットと考えられる点は以下になります。
@ ケガをしやすくなる
はだし保育の一番の心配はケガの問題です。活発に動き回る子どもたちは室内、もしくは園庭などで、何かを踏んでしまい、知らずにケガをする可能性があります。
裸足でいることにより、足裏の傷などは化膿しやすいといえます。
A 衛生的な問題がある
園内にもトイレなど、衛生的に気を付けなくてはいけない場所があります。そうした場所を子どもたちが裸足で歩くことは、衛生的に見て懸案材料になります。
また、園内環境によっては、感染症のリスクが高まるという研究結果もあります。
はだし保育に科学的根拠はあるの?
はだし保育は、その効果がさまざまに言われています。その科学的な根拠はどうなのでしょうか。
ある研究によると、はだし保育によって、安全意識の高まりがあった、風邪をひきにくくなった、土踏まずが形成されたなどの報告がされています。
また、身体能力の高まり(跳力、背筋力、姿勢保持機能など)について報告している研究もあります。
一方で、否定的な研究もあります。例えば、「思ったほど足の発育に効果はない」という見解もあるなどです。
このように、はだし保育については、研究者の間でも、いまだにさまざまな議論があるようです。このあたりは保育士として知っておいたほうがいいと思います。
ただ、はだし保育が、「子どもの発達面にマイナスに働いた」という研究結果はないようです。なので、はだし保育自体を否定する必要はないと考えていいでしょう。
まとめ
はだし保育は、精神的にも身体発達の点からも、いろいろな効果が期待されている取り組みです。
わたしが個人的に、はだし保育の特徴として感じるのが、気持ちの切り替えに有効というところです。
子どもは登園してきて、靴下を脱ぎ、裸足になると、すぐ「保育園モード」になります。逆に、退園時は靴下を履くと、「おうちモード」に切り替わります。
そんなメリハリ効果もあるのが、はだし保育だと思います。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
\このページをシェアする/