やっぱり知っておきたい！保育園の防災

保育士お役立ち情報
2019/06/14

いつ起こるかわからない災害。避難訓練を定期的に行っているだけで大丈夫でしょうか？　訓練がただの習慣になってしまわぬよう、一度、園の防災全体の見直しをおすすめします。

防災マニュアル見直しの重要ワードは「想定外」

防災マニュアルが備えられている園も多いと思います。
ただ、マニュアルがあっても、災害が起きた時、その通りに動けるかは別問題です。
なぜなら、災害では常に「想定外」のことが起こるからです。

「想定外から子どもを守る保育施設のための防災ハンドブック」（経済産業省）によると、実際に被災した園では、マニュアルが役に立たなかった「想定外」の例が多いそうです。
例えば、「指定された避難場所にすぐ逃げる」とマニュアルにあったが、園舎の方がずっと安全だった、マニュアル記載の防災グッズが役に立たなかった、などです。
皆さんの園でも実際に考えられそうなことですよね。

そのような「想定外」にどう備えるかが、防災の重要な要素なのは間違いありません。
防災マニュアルも、一度「想定外」の視点から見直してみるのもいいですね。
ちなみに、「保育施設のための防災ハンドブック」は、東日本大震災時、死亡・行方不明となった園児たち111名が残してくれた「常識やマニュアルが、津波のとき当てはまらない」という大事な教訓をもとにしています。
防災について思いを新たにするためにも、一度目を通されることをおすすめします。

避難訓練見直しのアイディア

保育園では避難訓練を毎月1回以上行うことを義務づけられています。
そのようにして常に意識付けすることは重要ですが、反面、保育士も園児も慣れていき、習慣的になってはいませんか。
例えば、いつもの避難訓練、以下のようにちょっと変えてみるのはいかがでしょう。
避難訓練の見直しにつながります。

① 近隣の学校や地域住民とコラボする

災害時には保育園だけでは完結しません。地域との関わりが重要になってきます。
地域内の学校や地域の防災訓練に参加したり、逆に園の避難訓練に参加をお願いしたりすることで協力関係を築きましょう。
園の防災に新たな気付きがあることも多いと思います。

② 職員ミーティングで訓練内容の見直し

避難訓練の後は、できるだけすぐに職員でミーティングをしましょう。
想定していた動線がどうだったか、職員・子どもたちの動きはどうだったかなどを記憶の新しいうちに話し合いましょう。
半年に一度は、深く討議することをおすすめします。

③ 保護者参観日に実施

保護者参観日に行うことで、保護者にも参加してもらいます。その後、意見を聴くなどしてお互いの認識を高めましょう。

「いつもの避難訓練」に変化をつけることは、刺激を生み、防災意識の高まりに繋げていくことができるのでおすすめです。

避難訓練だけじゃないこんな防災教育もあり！

避難訓練では、園児は常に受け身になりますが、園児が主体となって、防災の意識付けができる教材も現れています。
そうした視点から、園の防災について見直してみるのも新鮮でいいですね。

例えば、日本赤十字社では、幼稚園・保育所向けの防災教材「ぼうさいまちがいさがしきけんはっけん！」を開発しています。
日本赤十字社によれば「今まで園児は“先生から守られる”存在でしたが、この教材では、自ら判断し、『自分の命は自分で守る』ことが出来るようになることが期待されます」とのことです。
教材では、地震や津波、風水害等、６つのテーマで、モノと行動の両面から、子どもたち自身が身の周りにある危険を発見するようになっています。
教材の随所に園児が積極的に参加できるような仕掛けが考えられています。
こうした教材も利用しながら、いつもと違う防災の時間にしていくと、マンネリ化を防ぐことができます。
教材は下記の参考URLからダウンロード可能です。

まとめ

保育園の防災は重要なテーマですが、日々の忙しさでついつい後回しになりがちです。
ただ、日ごろの備えがいざというときに試されます。
いつもの防災を少し見直して、園ぐるみで、防災力を少しずつ高めていきましょう。

ライタープロフィール

玉田　洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。

《参考URL》
「想定外から子どもを守る保育施設のための防災ハンドブック」（経済産業省）
https://bosaijapan.jp/wp/wp-content/uploads/2018/12/METI.pdf
「幼稚園・保育所向け　新防災教材『ぼうさいまちがいさがしきけんはっけん！』が遂に完成」（日本赤十字社）
http://www.jrc.or.jp/activity/youth/news/180830_005408.html