子どものケンカ 上手な仲裁の仕方って?
- 保育士お役立ち情報
- 2019/07/08
保育園では、子ども同士のトラブルはつきもの。その中でも上手に仲裁したいのがケンカです。子どもの成長にもプラスになるような、仲裁の仕方について紹介します。
幼児期のケンカには意味がある
年中・年長の担任をしていた私は、ケンカが始まると「ああ、またか。いやだな」と思いながら、仲裁をしていました。
ただ、実は、児童心理の研究などでは、幼児期にケンカをすることには、ちゃんとした意味があるといわれています。
まず、幼児期に多いケンカとはどういうものでしょうか。
子どもの発達段階により、ケンカの内容は変わっていくのが普通です。
3歳児の初期までは、ちょっかいを出したりでケンカが始まることが多く、年齢が上がると、「規則の違反への注意」だったり「モノの取り合い」が増えていくようです。
いずれにしても、年長児になるとケンカ自体が少なくなっていき、調整役の子どもが登場していくなどします。自分たちでケンカを解決しはじめるのが一般的です。
子どもたちは、ケンカによって自分の主張をぶつけ合い、更に折り合いをつけるなどして、対人関係について経験的に学びます。
それが、社会性、自分を抑える力、または、精神的な回復力などを養うことにつながるのです。
つまり、ケンカは子どもにとっても貴重な体験なのです。成長にプラスになるとさえいっていいかもしれません。
なので、保育士は「ケンカはないほうがいい」と思いがちですが、実際に起きた時は、成長につながる機会が来たと前向きに考えてみましょう。
ケンカの上手な仲裁 3つのコツ
成長とともに幼児は「ケンカをしない関係ではなく、ケンカを終えられる関係になる」そうです。
なので、保育士は出来るだけ、子ども自身でケンカを収められるように働きかけるのが理想です。
子どもの成長につながるような、ケンカの仲裁のコツを参考に紹介します。
@子ども同士で解決できるように見守るのが基本
保育士がケンカを解決するのではなく、子ども同士で解決できるようサポートします。
子どもたちの力を信じて、手を出したいのは我慢しながら、まずは様子を見守りましょう。
ただしケガの確認だけは忘れずに。
Aどちらが悪いか裁定せず、お互いの話をよく聴く
保育士は裁判官ではありません。
一方を裁くのでなく、双方が落ち着いたところで、とにかく話をよく聴きます。
「…その時、〇〇はとても嫌だったんだね」など、子どもの気持ちに共感する姿勢が重要です。
注意したいのは二人の気持ちをバランスよく聴くことです。お互いの気持ちを代弁してあげましょう。
B解決を後押しする
子ども同士の様子を見守りながらも、解決が難しくなってきたら、上手に助け船を出してあげましょう。
お互いの気持ちを出し合い、自然に「ごめんね」が言えるような仲裁をするのが基本です。
双方を謝らせてすぐに幕引きをしようとすると、しこりが残ることがあります。
子どもたちの気持ちがすむまで、とことん付き合ってあげることが大事です。
注意!こんなケンカはすぐに止めさせよう
子どもたち同士で解決させるのが理想ですが、保育士がすぐにでもやめさせなければいけないケンカもあります。
・激しくつかみ合うなどして、ケガにつながりそうな時
・一人対複数になってしまっている時
・暴言を吐いている時
上記のような状態になっていたら、保育士が介入してください。
ケガや暴言は、子どもたちの成長につながるとは言えません。このあたりはよく見極めることが必要です。
また、ケンカについては、保護者への報告はできるだけした方がよいでしょう。子どもの口から聞くよりも、言葉をきちんと選んで保育士から保護者に伝えたほうが正確に伝わります。
子ども同士のケンカは、保育士にとって頭を悩ませることの一つです。
ただ、思ったほど、子どもたちは引きずることがありません。ケンカによって、自分の気持ちを発散させている部分もあり、また、ケンカの後は子どもたちの結びつきが強まることもあります。
ケンカは子どもの関係づくりにもつながると考えて、保育士もナーバスにならずに、前向きに関わっていきたいですね。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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