消毒する?しない?保育園でのケガ これが新常識!
- 保育士お役立ち情報
- 2019/06/20
毎日元気に走り回る子どもたち。転んで擦りむいたら、手当てはどうしていますか?意外と迷う「傷の処置方法」について紹介します。
「消毒してガーゼ」は逆効果?
「子どもが園庭で転んでひざを擦りむいた!血が出ている!」…保育園でよくある風景ですね。
そんな時、保育士たちの意見は大きく二つに分かれませんか。
@「消毒する + ばんそうこう」派
A「消毒しない + 水で流す」派
最近ではAの「消毒しない」派の意見が優勢ではないでしょうか。
私も、同僚の保育士から「今は、消毒しないのが普通だよ」といわれて、子どものすりむいた傷を水で流してそのままにしたことがあります。
はたしてどちらが正解なのでしょうか。
お医者さんの紹介する最新記事などでは、傷の処置は以下のやり方を推奨しています。
傷を観察する→傷口をしっかりと洗う→止血する→傷を覆って保護する
やはり、消毒する必要はないようです。
「消毒してガーゼを当てるのは、最悪の処置」というお医者さんもいます。
消毒すると、キズを治そうとしている細胞も殺してしまい、かえって治るのが遅くなるそうです。
ガーゼについては、吸い取られた血液や体液が乾燥してガーゼに張り付き、これも傷の治りを遅くする場合があります。
最新のおすすめ処置では、傷口を水できれいに洗い流して異物を取ることです。そうすれば、雑菌はいなくなり、結果として治りが早いのです。
“新常識” ラップを使った「湿潤療法」とは?
最新の傷の処置で、「湿潤療法」というものがあります。
食品用のラップを使った傷の処置をご存知の方も多いのではないでしょうか。
湿潤療法では、「消毒をしない」にプラスして、さらには「傷を乾かさない」ことがポイントになってきます。
自然治癒力を活かした療法なので、しみ出てくる体液をそのまま生かして、傷口を乾かさずに湿った状態に保ちます。なので、かさぶたもできません。
なぜ、傷を乾かさないことが重要なのかというと、傷口から出る浸出液が傷を早く治すように仕向けるためです。そのほうが傷跡が残りにくいのです。
私の子どもの頃などは、傷口は早く乾かしたほうがいいと言われていました。
なので、世代的に違和感があるのですが、このやり方のほうが医学的に理にかなっているようなのです。
欧米では広く認知されている湿潤療法ですが、日本ではまだ広く知られていません。
ただ、医療現場では一般的になってきているようですので、保育園や学校、家庭などでスタンダードになる日は近いかもしれません。
保育園でも導入できる湿潤療法
保育園でも、少しずつ湿潤療法が取り入れられてきているようです。
その場合、市販されている「キズパワーパッド」など湿潤療法用のばんそうこうを使うのが一般的です。
保育園でも導入できるような一般的な処置を紹介します。
@傷口をよく洗う
傷口を水道の水で洗います。しっかりと砂などの異物を洗い流してください。
A止血をする
傷口を清潔な布などで押さえて、水分をふき取り、圧迫止血します。
B傷口を保護する
湿潤療法用のばんそうこう(「キズパワーパッド」など)を傷口に貼ります。
しっかり覆い、滲出液を逃がさないようにします。
食品用のラップで覆うだけでよいという意見もあるようですが、きちんとした絆創膏で処置しましょう。
湿潤療法のデメリットとして、ばんそうこうがしばらく剥がせないということがあります。そのため家庭での協力が必要になります。
ただ、湿潤療法自体、まだまだ広く理解されていません。
感染症のリスクが高い場合(刺し傷やかみ傷など)には向かない等、注意点も多くあります。
保護者の理解をいただくためにも、湿潤療法を本格的に導入していく場合は、医師や看護師など専門医の下で適切な治療法を学ぶことが重要です。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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