意外と知らない!おなじみ「モンテッソーリ教育」ってどんなもの?
- 保育士お役立ち情報
- 2019/03/28
幼児教育のメソッドは色々ありますが、もっとも有名なものの一つは「モンテッソーリ教育」ではないでしょうか。保育士であれば知っておきたい、モンテッソーリきょういくについての基礎知識などを紹介します。
そもそも、モンテッソーリ教育とは?
モンテッソーリ教育の歴史は古く、日本の幼児教育に取り入れられたのは60年以上も前です。親の世代、祖父母の世代になじみがあるのはそのためです。
モンテッソーリ教育のメソッドは、20世紀初頭、女性医師マリア・モンテッソーリによってイタリアで考案されました。モンテッソーリは医師として精神病院で働いていましたが、知的障害児に独自の感覚教育法を施し、知的水準を上げるという効果を見せました。その後、健常児に応用していったことが始まりです。
モンテッソーリ教育の基本的な考え方は、子どもは生まれながらに「自己教育力」(自分で育とうとする力)を持っているということです。このあたり、現代の保育士である私たちの保育観にも近いですね。
教師ができることは「さまざまな経験が可能なように子どもを取り巻く『環境』を整え、成長・発達できるように『自由』を保障することで、『すでに始まっている成長という仕事を助ける』ことだけである」とモンテッソーリは述べています。
モンテッソーリ教育の基本理念は、そうした「自己教育力」を発揮できるような環境を用意すること。そして、集中力や自立心が育まれるよう、援助することなのです。
モンテッソーリ教育の主な特徴
モンテッソーリ教育の特徴は色々ありますが、以下の3つが主なものです。
集団活動ではなく、個人活動が主になっています。子どもは自分で自分の活動を選び、自分のリズムで納得いくまで繰り返し活動します。
これは、モンテッソーリ独特の「敏感期」という考え方に因っています。「敏感期」とは、幼児期に、何かに強いこだわりを見せる時期があり、その時期にぐんぐん吸収し心身ともに大きく成長することをいいます。その時機を逃さないようにするという考え方です。
「縦割りの異年齢混合クラス」
年少の子が年長の子にあこがれてまねをしたり、年長の子は年少の子に教え、お世話をする。そうした関係の中でお互い学び合い、社会性や協調性を身につけていきます。
「お仕事の時間」
独特の「教具」を使った活動は、お仕事」と呼ばれ「遊び」と区別されます。毎日、一定時間、教具に自由に取り組む「お仕事の時間」があります。
モンテッソーリ教育の特徴だったものは、現在では、様々な保育園で形を変えて取り入れられていることも多いですね。特に「異年齢児混合保育」の実践は多くの園で見られます。私のいた園でも「きょうだい保育」という名称で取り入れていました。
モンテッソーリ教育のメリットとは?
それでは、モンテッソーリ教育を受けることで、子どもにはどのような良さがあるのでしょうか。そのメリットを考えるのに、実際にモンテッソーリ教育を導入している保育園・幼稚園に通う保護者の評判を集めてみました。
・目標を持って根気よく頑張る力を伸ばせた。
・自分のことは自分でできるようになった。
・特に「お仕事の時間」には集中力・注意力・記憶力が育った。
保護者の声を見ていくと、モンテッソーリ教育が素晴らしい効果を生むには、二つの要素があると望ましいようです。
まず熱心にモンテッソーリを学んできた先生によって実施されること、さらにモンテッソーリ教育に合う子が取り組むことで、著しくその子の能力を伸ばせることがあるようです。
最近では、将棋界の藤井聡太さんが幼児期にモンテッソーリ教育を受けていたことも話題になっていましたね。モンテッソーリ教育がぴったりはまる子にとって、その出会いは「一生もの」になる可能性があるのかもしれません。
ただ、どんなメソッドでもそうですが、嫌いな子には苦痛以外の何物でもないという意見もありました。
モンテッソーリ教育には、他のメソッドにはない独自の魅力があります。日本の保育園にもその要素が取り入れられていることはありますが、形だけになってしまっていることも多いです。モンテッソーリ教育に興味のある方は、更に本を読んだり、研修を受けたりしてみてもいいですね。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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