うつ病の同僚保育士への接し方はどうすれば良いの?
- 保育士お役立ち情報
- 2020/12/14
近年増加している保育士のうつ病。もし同僚がうつ病になったら、どのように対処したらよいのでしょう。その接し方や関わり方のポイントについてご紹介します。
うつ病の同僚保育士への接し方・関わり方は?
まずは「うつ病について理解すること」が大切!
なんとなくは知っていても、うつ病の正確な知識を持っている人は少ないかもしれませんね。もし同僚がうつ病になったら、なんらかの知識を持っていないと、迷うことも多くなるかもしれません。なので、まずはうつ病の基礎知識を持っておきましょう。
うつ病とは?
気分障害の一種!
うつ病とは「気分が強く落ち込む、憂うつになる、やる気が出ない、不安になる」などの精神的な症状が特徴の病気で、一種の気分障害です。また、身体的な面では「眠れない、疲れやすい、頭痛がする」などの症状が現れることがあります。
うつ病は、精神科などの専門医でも診断が難しい病気です。 さらに、正しく治療することが難しい病気でもあると一般的に言われています。
なぜうつ病は起こるの?
「3つの原因が重なって起こる」と考えられている!
さまざまな研究の結果から、現在わかっている原因として以下の3つが重なってうつ病が起こると考えられています。
・心理的ストレス
・脳内の変化
・性格傾向
心理的ストレスとは、例えば大切な人との離別、人間関係のトラブル、職場や家庭での役割の変化(昇格、妊娠など)によるものです。そうした心理的なストレスがきっかけとなり、脳の働きのバランスが変化してうつ病が発症すると、最新の医学では考えられています。
さらに医学的には、うつ病は心の病というよりも脳内の神経細胞の情報伝達にトラブルが生じているという考え方が一般的です。うつ病になりやすい性格もあります。それは、義務感が強く、仕事熱心、完璧主義などの性格を指します。
保育士にはうつ病が多いは本当?
「保育士のうつ病発症率が高い」というデータは存在していない!
ネットで検索してみると、「保育士はうつ病になる人が多い」という記事が多く出てきます。しかし、そうした記事には根拠となるデータが示されておらず、憶測で書かれていることも多いことがほとんどです。そのため、注意が必要です。
確かに、保育士は責任が重く心理的ストレスが多い職場環境です。さらに、性格が真面目で責任感が強い人が多いなど、うつ病の発症しやすい条件が集まりがちではあります。
ただし、保育士のうつ病発症率が他の職業に比べて高いというデータは、存在していないことは知っておいたほうがよいでしょう。
うつ病の保育士への接し方を5つのポイントで紹介!
実際に同僚保育士がうつ病になった場合の接し方、そのポイントを5つ紹介します。
1.特別扱いしない!
まず大事なのは、うつ病だからと特別に気を使って接する必要はないということです。普段通りに接する方が、うつ病の人にとっては気持ちが楽なのだということを知っておきましょう。
一般的にうつ病の人は周囲の人の言動に敏感なので、腫れものにさわるような接し方は逆効果となることが多いです。
2.励まさない!
うつ病の人は、元気がないことや仕事が手についていないことを気にしています。どうしたらいいか迷い、悩んでいることが多いものです。そうした同僚に対して「元気を出して」などと励ますことは、逆に追い詰めることにつながりがちです。
ただし、同僚が悩みを聞いてほしいと考えている場合もあります。そんな時は、励ましたりせずにただ相手の話を聞いてあげるとよいでしょう。
3.心配していることを伝える!
仕事が手につかない様子が見られるなど、うつ病が疑われる同僚に話しかける場合には、まず最初に心配していることを伝えましょう。例えば「最近、前に比べて仕事があまり手についてないみたいだけど、大丈夫?心配しているんだよ」など、相手を責める言い方はせずに意思を伝えましょう。
うつ病体験者の保育士からは、同僚から「仕事が遅い、できていない」と責められるのが一番つらかったという声がとても多いようです。
4.職場全体で共有する!
同僚の保育士にうつ病が疑われる場合、以下のことに注意・避けた方が良いと専門家は言っています。
気付いた場合、自分だけで抱え込まない!
同僚の保育士にうつ病が疑われる場合、もしそれに気付いたのであれば自分だけで抱え込むのは止めた方がよいと専門家は言っています。なので、まずは園長や主任に相談して職場全体で共有するようにしましょう。
安易な言葉かけをしない!
さらに、うつ病が疑われる同僚に相談された際は「自分が何とかしてあげる」という類の言葉をかけることはやめたほうがいいと専門家は言います。なぜなら、うつ病は安易な言葉かけで治るものではなく結果として相手の期待を裏切り、余計に傷付けてしまうことも多いためです。
同僚保育士の仕事負担分まで頑張ろうとしない!
うつ病の同僚保育士と一緒に仕事をしていくと、同僚が仕事できない分の負担が自分にのしかかってくることがあります。うつ病の保育士の分まで頑張り、追い込まれていることがあります。このような場合も園長や主任に相談し、問題を職場全体で共有することが大切です。
5.休職中の連絡は控える!
うつ病で休職中の保育士は、ストレスがかかりやすい職場から離れて休養することが大切です。頻繁に職場から連絡があると受け答えしなければならず、さらに職場自体がうつ病の発症の原因であった場合は思い出させてしまうことになります。
うつ病で休職中の保育士との連絡は、最小限に控えることが基本です。
まとめ
うつ病は、年々発症数が増加しています。同僚の保育士がうつ病を発症することは、十分あり得ることなのです。また、うつ病は一般的なものになってきています。
うつ病の人への対応は難しいものだと思われがちですが、必要以上に恐れずきちんとした基礎知識を持って対処していきたいですね。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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