都会だからこそ取り入れたい!「森のようちえん」に学ぶ、自然保育3つのポイント
- 保育ニュース
- 2019/02/21
園庭がなかったり、ビルの中の園も増えています。人工的な環境に囲まれて、子どもが自然と触れ合う機会が少ないこともありますね。 自然保育である「森のようちえん」をヒントに、身近な自然を保育に取り入れるコツについて、ご紹介します。
育ってほしい「自然にワクワクする心」
私の働いていた園は東京の下町にあり、園庭がありませんでした。それだけに、毎日のように散歩に出かけては、子どもたちが身近な自然にふれられるようにしていました。同じように「自然に触れさせたい」と考えている都市部の保育園は多いようですね。
そもそも、子どもたちにとって、自然体験にはどんな意味があるのでしょう。例えば、国立青少年教育振興機構の調査では、幼少期の自然体験が多い高校生ほど、思いやり、やる気、人間関係能力等の資質・能力が高いという結果が出ています。
さらに、私が保育の中で感じるのは、「センス・オブ・ワンダー」という言葉に表されるような感性のことです。五感を使って自然を感じて、その美しさや不思議さに気づく…自然にワクワクする心は幼少期にしか育たないのではないかと感じます。
保育士が「森のようちえん」から学ぶこと
それでも、専門知識のない保育士が、自然環境をどう活かしたらいいか、わからないこともあると思います。そんな時には、「森のようちえん」の取り組みがヒントになるかもしれません。
「森のようちえん」とは、北欧諸国発祥の、自然の中での幼児教育のことで、現在、日本でも様々な形で実践されています。「森のようちえん」では、一日を森の中で過ごすことも珍しくありませんし、保育士は自然の中で子どもたちとどう関わるべきか知っています。
NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟理事長の内田幸一さんに日々の保育のヒントになるようなお話をお聞きしました。
「森のようちえん」に学ぶ、自然を取り入れた保育の3つのポイント
日常の保育に、自然体験を取り入れていくときに重要なのは、保育士の姿勢のようです。以下にまとめてみました。
内田さんによれば、「指示型」の保育でなく、「対話型」の保育にするのがポイントのようです。
では、「対話型」の保育とはどのようなものでしょう。例えば、子どもが興味を持ったものがあれば、保育者もそれを話題にする、子どもが言葉や身振りで返したら、うなずいたり、さらに言葉を加えたりするなどの姿勢を指します。
その際に、内田さん曰く「子ども自身が考え、自らの行動を主体的に行えるようにし、集団の中で意見交換や自分の考えを伝えられる機会をつくること」が重要だと言います。例えば、子どもがじっとアリの行列を見つめていたら、保育士は対話型で関わり、後でそれをクラスのみんなで話して、次の保育に繋げていくなどするのもいいですね。
2.興味・知識を持つ
「子ども自身が安全に自然の中で過ごせるように、保育者は安全に関するスキルや知識を身につけること」が、保育士には必要になってくると内田さんは言います。
身近な自然でも、公園の植物で手を切ることがあるように、危険はつきもの。保育士も学ぶ姿勢がほしいですね。ただ、勉強と考えずに、楽しんで調べたり、学んだりできる機会になるのが理想です。
3.余計な手出しはしない
自然の中での活動では可能な限り、保育士は指示したり、手出しをしない方が良いようです。時間の余裕がない時などは難しいのですが、子どもたちの探求心に寄り添って活動ができたらいいですね。
そのためには「安全管理が行える体制や人員配置で積極的に自然に出る機会を持つことが大切」だと内田さんは言います。私はよく、今日は本格的に自然で遊ぼうという日などは、子どもたちのお休みが多く、人員にも余裕がある時にしていました。小さな工夫ですが、効果的でした。
自然保育というと大げさに思えますが、「森のようちえん」等をヒントに小さな工夫をして、自身が楽しんで取り組むと、日々の保育がさらに豊かになっていくと思います。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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