保育士にとっての働き方改革って?
- 保育士のホンネ
- 2019/01/31
最近では、国を挙げて「働き方改革」の必要性が叫ばれています。
保育園でも、「働き方改革」を掲げて、職場環境の見直しをしているところもあります。この機会に、保育士の職場環境は変わっていくのでしょうか、保育園の「働き方改革」を巡る現状をまとめました。
そもそも「働き方改革」って何?
なぜ今、「働き方改革」が必要になってきているのでしょうか。
「働き方改革」の大きな目的は、実は、日本の労働力減少対策です。
少子高齢化で、今後、労働人口は増えていきません。なので、女性の活用や高齢者の活用、柔軟な働き方など、時代に合わせた働き方のできる社会を目指していかなくてはならないのです。
「働き方改革」には、大きく三つの柱があります。
(1)残業時間規制
(2)同一労働同一賃金の実現
(3)高度プロフェッショナル制度の導入
この中で保育士として注目すべきは、「(2)同一労働同一賃金の実現」ではないかと思います。
これは正規雇用(正社員)と非正規雇用(パート・派遣など)との待遇の差の解消を目指すものです。
法案によると、「基本給や昇給、ボーナス、各種手当といった賃金にとどまらず、教育訓練や福利厚生」の格差もなくしていくというのが、その考え方の骨子です。
それが実現したら、パートや派遣などで働く方の環境は今までと大きく変わっていきますね。
保育士が自分たちで起こす「働き方改革」
自分たちの働く環境をもう一度見直してみること・・・それが「働き方改革」のねらいの一つです。
私たちが、「どうせ変わらないから」と思って声を上げずにいるようなことって、ありませんか?
・昼休みが取れない
・会議が夜間に行われるため残業になる
・サービス残業の常態化
・有給休暇がなかなか取れない
どれも「保育士特有の職場環境だから、しかたない」と思われていますが、改善の余地はいろいろとあるはずです。
最近では、「働き方改革」が一般的になることで、現場から職場環境を変えようという動きが全国で生まれてきています。
例えば、保育士が自分たちの働きやすい職場環境を考える「働き方向上プロジェクト」を開始した園もあります。
「働き方向上プロジェクト」では、2か月に1回、勤務時間内(時間外でなく!)に会合を開催します。参加者は、現場の課題や取り組み状況を共有しながら、改善策を出し合い、それを仕組みにしていきます。
同じように、もし、あなたが働く園に不満があったら、「どうせ変わらないし…」と思わずに、自分たちから、小さなアクションを起こしていくことができるかもしれないのです。
未来の保育園はこう変わっていく
保育士の「働き方改革」が進んでいくと、どのような未来が切り拓かれていくのでしょう。
現在、「働き方改革」の一環として、様々な取り組みがそれぞれの園で行われています。その中から、私がこれはというものを二つ選んでみました。
いずれも保育園の将来像を描く、可能性の芽のようなものです。
ある大手保育園では、一日最短2時間という「超時短勤務のアルバイト」が登場しています。
夜間・早朝の業務が主なので、フルタイム保育士のサポートにとても助かっているようです。
また、ある園では「時短正社員」制度を導入しました。時短でも将来的に園長にもなれるというのがポイントです。
A「残業ゼロ・持ち帰りゼロ」の職場環境
ある保育園ではICT化を徹底して進めています。データ化・情報の共有化によって、時間を確保したら、次に意識改革を進めていったようです。
そのおかげで、「残業ゼロ・持ち帰りゼロ」の職場が実現。ただし、残業なしでも保育の質には全く支障はないといいます。
「働き方改革」といっても、大きな話ばかりではありません。
日頃、職場に改善しなくてはいけないことがあっても、スルーしがちではないでしょうか。
ちょっとした勇気をもって、自分から働きかけていくことで、小さな「働き方改革」につながっていくかもしれませんね。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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