保育園はサービス業?保護者対応を考える
- 保育士のホンネ
- 2018/12/07
以前、あるコミュニティサイトで、「保育園はサービス業じゃない!」というトピックが立てられていました。そこには、行き過ぎたサービスを求める保護者への、現役保育士の不満がつづられていました。それをヒントに、保護者対応のあり方について少し考えてみたいと思います。
保育園はサービス業なのかという疑問
「トイレトレーニングなんて家でやること」「本来親がやるべきことを、保育士に全部やらせないで」「何でもやってくれる保育園がいい園だと勘違いしないで」・・・現役保育士が、あるコミュニティサイトに立てたトピックの主な内容です。
その後、その言葉に反応した保護者の「気持ちはわかるが言い過ぎでは?親だって一生懸命なのに」という言い分と、「確かに最近の保護者は丸投げ過ぎる」という保育士の言い分が続き、その間の溝はなかなか埋まらない感じでした。
もちろんお互いの架け橋になるような建設的な意見もありましたが、「保育園はサービス業じゃない!」というのは、最近の保育士の声を代弁している部分もあるなぁと、私も感じました。
保育士が保護者に不満を感じるとき
「保育園はサービス業じゃない!」と叫びたくなるのはどんな時でしょうか。例えばこんな保護者に出会った時じゃないかなと思います。
・トイレトレーニングなどをお願いしても一切やっている気配がない
・「リトミックや英語もやってほしい」等の要望ばかりを言う
・フォローの必要な保護者をケアしていたら、「うちも同じようにケアして」と言ってくる
皆さんも覚えがありませんか? 保育士に過剰と思えるサービスを要求してきて、保育料を払っているのだから当然という態度が見られたら、保護者支援をしたいという気持ちがなえてくることはありますよね。
では、なぜ、そのような保護者が増えてきているのでしょうか。現在、共働き世帯が6割になり、多種多様な保護者とのやり取りが日常になっています。その中には「お客様」としてサービスを求める保護者もいて、保育士との間でギャップが生まれてきていることも理由の一つにあるのだと思います。
保育士も我慢しない!保護者対応の心得とは?
現実に、過剰なサービスを求める保護者に出会ったら、どのように保護者対応をしていけばいいのでしょうか。ヒントになるかもしれないのが、最近注目されている「アサーティブ」という考え方です。
ビジネスの世界でも使われている「アサーティブ」とは、「自己主張する」ということ。アサーティブジャパンによれば、「自分の気持ちや意見を、相手の気持ちも尊重しながら、誠実に、率直に、そして対等に表現すること」だそうです。
保護者の気持ちは十分に聴く。そして、その後に、保育士の気持ちもきちんと表現するというのが、「アサーティブ」なコミュニケーションです。
例えば、以下のように、保護者から無理な要望があった場合、アサーティブなコミュニケーションでは、どのように回答するのでしょうか。
ステップ@ 共感・賛成できるところを示し、共通のゴールを確認する
保育士「Aさんのおうちがすごく忙しいのはよくわかります。〇ちゃんがお箸をもっと使えるようになると安心ですよね」
ステップA 相手を否定したり、恥をかかせないように懸念を伝える。
保育士「ただ、不安なのは、保育園だけで指導することには限界があります」
ステップB 最後に自分の提案を伝える。
保育士「なので、園で指導もしますが、おうちでも教えられるように、今度の面談の時に指導の仕方をお伝えしたいと思います」
いかがでしょうか。
アサーティブジャパンによると、相手の気持ちを尊重しつつも、「これはダメだ」ということを、相手のモチベーションを下げることなく適切に伝えることが重要だということです。
まとめ
保護者対応ほど難しいものはないと、私も感じています。 サービスをする、受けるという関係でなく、対等な関係での保護者対応ができるようになるのが理想ですね。そうすることで、保育士と保護者との関係も少しずつ変わっていくと思います。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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