保育園の運動会は残業ネタの宝庫
- 保育士お役立ち情報
- 2018/09/20
9月に入り、「スポーツの秋」と言われる季節が到来しましたね。9月から10月にかけて、運動会を開催する保育園が多いのではないでしょうか。
保育園によって準備のスタート時期は異なりますが、一般的にお盆を過ぎたあたりから保育園で働く保育士たちは本格的な運動会の準備に日々追われるようになりますので、多くの保育士が今ちょうど一生懸命に運動会に向けて準備していることと思います。
それぞれがアイディアを持ち寄って、子どもたちも保護者の方々も飽きないようなプログラムや競技内容を練ることから始まり、各クラスの練習、飾り製作など、実際にその運動会にむけて準備していくプロセスは本当に大変なのです。
年間で一番残業が多い時期は、運動会の準備期間という保育園も珍しくありません。
最近では世間一般的に働き方改革が打ち出され、保育士も例外ではなく、行事に対しての残業を減らす動きになっていますが、どうして運動会=残業というイメージが付くほど、保育士が夜遅くまで残業しないといけない行事になっているのでしょうか。私なりに過去の経験も踏まえて考えてみました。
残業率No.1の制作物
運動会といえば幼児クラスは徒競走競技やダンスなど、保護者の前で練習の成果を発表する一世一代の晴れ舞台でもあります。子どもたちも運動会前になると少しソワソワして一生懸命に練習をする姿もみられるようになります。
そして担任保育士たちも衣装や小物作りが始まります。手作りするのは衣装や小物だけではありません。入退場門に万国旗、会場案内図まですべて保育士が作ります。
これらは子どもが少なくなって保育士が抜けて作ることもありますが、ほとんどは業務を終えた後、残って作っているのが実情です。一度同じものを作り、毎年使い続けてみるという提案もしたことはありましたが、保護者から「去年と同じ」ということがクレームに繋がるという危惧もあり、保育士たちは頑張って練習する子どもたちを思い浮かべながら毎年手作りしていたのです。
昨今の運動会事情
保育士の働き方を改善するため、まず見直されているのが行事です。行事がすべて悪いと思っているわけではありません。
行事を行うことによって子どもたちは日本の季節を感じることができ、普段の保育では味わえない様々な経験をすることができます。そのような経験を通じて子どもたちは感性を高めていくのです。
中でも運動会はとりわけ子どもたちが味わう達成感や協調性が培われ、成長発達にはとっても必要なものだと考えています。
しかし、そうは言っても保育士が連日遅くまで運動会での作り物や準備のために残業して良いわけではありません。近年では夏の異常気象の為に、保育園によっては競技内容をしぼって運動会自体の時間を短くしたり、乳児部の運動会は無くして幼児部だけにするなど、昔の運動会と比べると少しずつ変わってきているように感じます。
プログラムについても、作り物が多いダンスなどが減り、その代わりに保護者が一緒になって参加できる競技を増やすなど、工夫している保育園も増えました。
自園での残業対策
私が園長を努める園では保育士の残業を減らすため、そして保護者に運動会について参加意識を持ってもらうために、衣装や小物の制作を思い切って保護者にお願いしてみました。
布と画用紙の裁断を園で行い、あとは作り方の説明書と完成イメージの写真を保護者に渡して、家庭で自由に作って頂きました。最初は保護者から「忙しいのに作り物なんて!」とクレームが入ると思いました。ところが、保護者からは「久しぶりに製作して楽しかった」「先生たちの苦労がわかりました」「子どもがこれを着て頑張っている姿を見るのが楽しみです」などと意外にも大好評でした。
保護者に協力して頂いたおかげで、結果的に保育士の残業は減りました。また、保護者も子どもたちと同じように運動会を楽しみにして下さり、大成功でした。
終わりに
保育園それぞれで様々な方針があると思いますが、運動会を実施する上でねらいと目的を明確にしないと、業務が膨らみ保育士の長時間労働や残業に繋がってしまうなど、子どもたちの期待を裏切ることになりかねません。
せっかく運動会に向けて準備をしていくなら、子どもたちも保育士も保護者も楽しく思い出に残る運動会にしたいですよね。
そのためには職員同士が気持ちよく運動会の準備に取り掛かれるように心がけることもとても大切です。周囲の先生たちと運動会準備の近況やスケジュールの詳細を共有し合って、積極的にコミュニケーションを取りましょう。運動会までのあと数か月、頑張って下さいね。
ライタープロフィール
白川佳代さん
保育士歴10年以上。自身の子育て経験を生かし、新卒保育士や子育てに悩む保護者の相談業務にも多く携わる。現在は認可保育園の園長。また、当サイトにコラムを多数執筆中。
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