保育園の運営主体の違いは?社会福祉法人、株式会社、NPO法人で働いてみてわかったこと!
- 保育士の就職・転職
- 2021/01/12
保育園は運営する主体によって、園内の雰囲気など大きく違うことがあります。社会福祉法人、株式会社、NPO法人それぞれの運営保育園で働く場合の利点・注意点を紹介します。就職・転職の参考にしてください。
保育園には様々な運営主体がある!?
社会福祉法人、株式会社、学校法人、NPOなど!
昨今では、保育園の運営は市町村、社会福祉法人、株式会社、学校法人、NPOなど様々な組織によって行われています。ただ、これは「保育所設置に係る主体制限」が2000年に撤廃された結果だということをご存知でしょうか。
かつては、市町村と社会福祉法人しか保育園を設置することはできませんでした。そのことを若い保育士は知らない場合も多いようです。
以前では考えられなかった株式会社など多様な運営主体が参入し、日本の保育環境は大きく変化し、公立保育園も民営化されていきました。
現在では、保育園の運営主体の割合は、社会福祉法人86.9%、営利法人(株式会社)4.9%、学校法人2.8%、その他5.4%となっています。
(「保育所等の運営実態に関する調査結果」内閣府/平成31年1月)
社会福祉法人運営の保育園について紹介!
保育園の中で最も数の多い!
保育園の中で最も数の多いのが、社会福祉法人が運営する保育園です。社会福祉法人とは、社会福祉事業を行う目的で設立された公益法人のことです。管轄は厚生労働省になります。
社会福祉法人は社会福祉事業を行っていますが、保育園の他に児童養護施設、障がい者支援施設、老人ホームなどを運営しています。かつては、私立の保育園といえば社会福祉法人のものしかありませんでした。しかし、現在は保育園の運営主体も多様化しています。
それでも社会福祉法人のシェアは、今でも圧倒的に多いのが現状です。
社会福祉法人運営の保育園で働いた場合の利点、注意点は?
実際に、保育士として働くうえで、社会福祉法人運営の園では、どんな利点、または注意点があるでしょうか。
※以下は一般的な傾向ですので、すべての社会福祉法人運営の園に当てはまるわけではありません。
利点
・長く経営されてきたので、経営基盤が安定している。
・ノウハウの蓄積があり、保育方針がしっかりしている。
・経験豊富なベテラン職員が多い傾向にある。
・待遇や福利厚生が充実している場合が多い。
・歴史があるので、地域の保育園として長年親しまれている。
注意点
・家族経営も多く、園長やその親族の影響力が強い場合がある。 ・保育士が高齢化している園も多い。 ・慣習やルールが多く、新しいことにチャレンジするのが難しいこともある。 ・昔ながらの行事が多く、改善されることがない。 ・社会福祉法人であっても経営が順調でない場合もある。
株式会社運営の保育園で働いた場合の利点、注意点は?
株式会社は社会福祉法人とは異なり、営利事業を行う法人です。なので、保育園運営においても経済的な利益を求めることが目的になります。
全ての企業が2000年以降に参入していますが、現在では上場していたり、全国に保育園を展開している法人も多くあります。
私も、保育園を全国展開する企業に勤めていましたが、保育需要が高まっていた時期でもあり、毎年いくつもの保育園を新設していました。
資本力もあり、決断の速い株式会社運営の保育園は今後も増加の傾向にあります。
実際に、保育士として働くうえで、株式会社運営の園では、どんな利点、または注意点があるでしょうか。
※以下は一般的な傾向ですので、すべての株式会社運営の園に当てはまるわけではありません。
利点
・複数園を展開していることも多く、転居などに対応しやすい。
・待遇、福利厚生など保育士にとって魅力的な環境づくりをしている。
・業務のICT化など、新たな取り組みに積極的なことが多い。
・新園も多く、オープンに関わることができる。
・比較的、若い保育士が多い傾向がある。
・本部での研修などで、他の園とも情報交換のできる場がある。
注意点
・若いスタッフが多く、ベテランが少ない傾向にある。
・経営的にリスクのある株式会社もある。
・新園の場合、行事などに前例がないことも多い。
・所在地が首都圏、大都市に集中している傾向がある。
・本社に保育園運営のノウハウがなく、意思の疎通がしづらいことがある。
NPO法人運営の保育園で働いた場合の利点、注意点は?
NPO法人とは株式会社と異なり、営利目的ではない法人のことです。特定非営利活動法人とも呼ばれます。
非営利活動とは誤解されやすいのですが、ボランティア活動のことではありません。行政や民間が提供できないような地域社会に貢献するサービスを提供する法人です。
実際に保育士として働くうえで、NPO法人運営の園ではどんな利点、または注意点があるでしょうか。
※以下は一般的な傾向ですので、すべてのNPO法人運営の園に当てはまるわけではありません。
利点
・社会貢献への意識が高い職場であることが多い。
・保育理念がしっかりしている。
・新園も多く、オープンに関わることができる。
・比較的、若い保育士が多い傾向がある。
・慣習が少なく、オープンに話し合う雰囲気がある。
・志を持つ職員が多く、働きがい斐を感じられる。
注意点
・NPO法人運営の園自体が少ない。
・法人の代表者の考え方が中心になっていることが多い。
・保育士の給与が低めの傾向がある。
・特色を持った園が多く、通常の園と異なった業務をする場合もある。
まとめ
多様な主体が参入することにより、現在では様々な個性を持った保育園が存在しています。社会福祉法人、株式会社、NPOなど運営主体が異なると、園もそれぞれ違った傾向を持つことになります。自身の個性、目指す方向にあった職場を探してみてください。
ただ、最終的には現場にいる人たちが環境をつくっています。職場選びの際はきちんと見学することをおすすめします。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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