子どもの利益につなげるために!保護者支援のポイント

核家族化、少子化が進み、相談する相手がいない保護者が増えている現代では、保護者相談支援の必要性が高まっています。実際に保育現場では、保育士が保護者のサポートを行うことは必要不可欠になっているようです。では、保護者相談支援を子どもの最善の利益に繋げるためにはどのようにすれば良いのでしょうか?今回はそのポイントをご説明します。

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相談支援によって、『保護者自身が問題解決する』ことをサポートしよう

保護者支援で重要なのは、「保護者自身が問題を解決できる」状況へ導けるよう、保護者の話を聞き、問題を共有し、解決策を見つけていくことです。では具体的にどのように業務にあたればいいのか、4つのステップに分けて紹介します。

1:保護者の話を傾聴する

相談に来ている保護者は、あなたに話しをしようとやってきています。そこで、まず大切にしたいのは、相手の話をよく聴くこと=傾聴することです。傾聴とは、相談している保護者の話に耳を傾け、話をよく聴くこと。そして、保護者の心に目を向け耳を傾けるということです。傾聴することで、保護者が相談しやすい環境をつくることができますよ。

2:相談の主訴を見つける

主訴とは、保護者が一番解決を望んでいること。保護者が話していることを傾聴し、保護者の一番ネックになっている悩みを見つけ出しましょう。例えば、「食事の相談」に来た保護者に対して、食事のどんなことに悩んでいるのかを見つけなければ解決方法を探すことができません。座って食べず、落ち着かないことで悩んでいるのか、偏食で困っているのか、それとも箸の持ち方が気になっているのか。主訴が分かれば、ピンポイントで解決策を一緒に考えていくことができますよね。

3:経過を把握する

相談内容について、いつごろから始まって、どのような経過をたどっているのかを聴いてみましょう。その中で、保護者の気持ちも受け止めてあげれると更に良いですね。例えば、先程例に挙げた食事の相談で「偏食」が主訴だった場合、離乳開始時期からずっと食べていないのか、今まで食べていたのに急に食べられなくなってしまったのか、体質的に摂取できないのかなど、経過を詳しく把握するようにしましょう。問題の原因を考え、今後の解決策を見つけていく上で大きな手掛かりになります。また、保育士が丁寧に経過を確認することが、保護者自身の気付きにつながることもあります。

4:解決策を共有する

問題点を抽出し、原因を把握したら、保育士と保護者がどのように連携して問題解決を図れば良いのか一緒に考えましょう。保育士や保育園だけでどうにかしようとするのではなく、保護者が自分の意志でサポートを受けながら問題解決に向かっていけるようにすることが、保護者支援のポイントなのです。

価値観の押し付けは絶対NG!

保護者支援を行う上で、絶対にしてはならないのは「保育士の価値観をおしつけること」です。
保育士は子どもたちに関わる中で、保育士としての価値観というものが生まれてきます。同じ保育士でもオリジナルの価値観を持っているのですから、立場が違う保護者との価値観がイコールであるはずがないですよね。でも、意外にこのことに気づいていない人が多く、「ありえない」「普通はそんなことしない」なんて言ったりするのです。あなたにとっては「ありえない」ことでも、相手にとっては普通のことなのかもしれないのです。あなたの価値観=相手の価値観ではない、ということを知っておきましょう。

では、あなたは保育士としてどのような価値観を持っているのでしょうか?キーワードになるのが「べき」という言葉です。「お迎えは時間通りに来るべき」「朝ご飯を食べて登園させるべき」「集金は遅れずに出すべき」「衣類に名前を書くのを忘れるべきではない」…などなど。こんな「べき」を持っている保育士は、自分の「べき」に反する保護者を見て、イライラするのです。「何でできないの?当たり前のことなのに」と思うのです。もちろん、思うのはあなたの自由だからOKです。でも、プロの保育士として保護者に対応するならば、あなたの価値観を前面に押し出してしまうのはNGです。
「私の価値観とは違うけど、この保護者は、こういう考え方なんだな。」「こういう場合もあるかな」など、『相手の価値観をひとまず受け入れる』努力をしてみましょう。そうすることで、保護者はあなたを味方と認識してくれ、今後の支援がしやすくなること間違いないですよ。

最後に…保護者支援の先にあるのは、子どもの最善の利益

保護者支援は保育士にとって大切な仕事の一つです。保護者は、我が子のことを大切にしているから悩み、心配になるのです。そこに寄り添った関わりができるようになれば、保護者は安心してあなたに相談できるようになるでしょう。保護者支援の真の目的は、子どもの最善の利益を追及すること。保護者の心の安定は、子どもにとってよりよい環境をもたらしてくれます。保育士と保護者が協力し、子どもの健やかな成長を見守っていける社会って素敵ですよね。

筆者プロフィール

野村恵里( colorful comunications代表)
現場経験20年の元公立保育園保育士。保育士研修や教員研修などで、感情コントロール方法(アンガーマネジメント)について積極的に講演を実施。保育士の折れない心創りをサポートし、保育&子育ての現場をHappy&colorfulにするため活動を行っている。
保育士養成校の専任講師として、保護者支援のためのコミュニケーション法について講義も務める。

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