保育士の給与はアップしている?補助金の使い道を自治体が調査
- 保育ニュース
- 2016/07/28
保育士確保のため、政府や自治体から待遇改善のための手当や補助金が出されています。しかしこれらの補助金は、直接保育士に渡されるのではなく、基本的に施設に支給された後分配されるため、実際に保育士の給与アップにつながっているのか?という問題がありました。そこで今、補助金が保育士給与の引き上げに使われているのか調査する自治体が増えてきています。
補助金が支給されても、保育士の給与が上がるとは限らない!?
補助金を保育士給与に利用するかどうかは、園次第
保育士の待遇改善を図るため、政府が主導している処遇改善加算や、自治体独自の補助金など、いくつかの補助制度が用意されています。これらの補助金は、額が少ないということがクローズアップされがちですが、一方で「そもそも、補助金が保育士に十分還元されていない」という問題も存在しています。補助金をどのように使うかは、園を運営する法人の裁量に任されているのです。
保育士から漏れる不満の声
実際に、「本当に改善されているの?」「支給方法に納得がいかない」という不満の声が保育士から出ています。
6月末まで正規職員として働いていた法人保育園に…
保育士の一時金(補助金)についての質問です。
保育士をしています。 以前、補助金の説明を…
もちろん待遇改善がなされている法人も
上記のように、保育士の処遇改善に積極的に取り組んでいない園もありますが、もちろん一方できちんと給与アップを行っている法人もあります。株式会社ドゥプランニングが、関東を中心に保育園を運営する法人10社を対象に、「就業した保育士の2013年・2015年平均月収&初年度賞与」を比較したところ、平均月収が約2万円アップ、初年度賞与が約3倍に上がったという結果が出ました。(⇒保育士給与の実態調査。補助金や手当による変化はあった?)
都内自治体が、補助金の使い道の精査へ
こうした問題を受け、補助金が保育士の給与アップにつながるよう、使い道を調査しようという動きが広まっています。
足立区…保育士が実際に受け取った給与額を調査
2016年度から、保育士の給与引き上げを目的に前年度支給した補助金が適正に使われたかどうかの追跡チェックを始めました。公設民営の認可保育所を対象に、保育士が実際に受け取った給料の金額を調査。改善していない事業者には前年度支給した補助金の返還や減額などを求めます。
千代田区…保育士の賃金台帳の提出を求める
2016年度から、保育所の運営業者が前年度の事業報告書を提出する際、これまで義務付けていなかった保育士の賃金台帳を提出するよう求めます。同区は保育士の給料を月2万円上乗せするための補助金を出しており、補助金を目的外に使っていることが発覚した場合は、返還を求めるとしています。
世田谷区…保育士の待遇に関する規定を追加
2015年度に、保育所への補助金の交付要綱を改定する際、保育士の待遇に関する規定を追加。開設して2年目以降の保育所が補助金を受けるには「前年度の経常収入に対する人件費の比率が50%以上であること」を条件にしました。※保育の質をみるには人件費が一つの目安となるため
≪参考URL≫
・都内自治体、保育所向けの補助金を精査 保育士の賃上げ推進で(日本経済新聞)
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