保護者クレーム対応に成功するためのヒケツ6ヵ条

保育士の仕事をする方の多くが一度はぶつかる「保護者からのクレーム対応」の壁。保育士200名対象のアンケート調査では、全体の7割以上が保護者からのクレーム対応を経験したことがあり、4割以上が「月に1回は受けている」と回答しました。
保育士はどのようなクレームを受け、どのような対応をしているのでしょうか?アンケート調査結果をレポートします。

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「子ども同士のトラブル」に関するクレームが1位

保育士が受けたことのある保護者クレームの内容で最も多いのは「子ども同士のトラブル」。次いで保育士の対応に関するもの、保護者同士のトラブルに関するものでした。

こじらせると裁判沙汰!?クレーム対応の失敗談

保育の仕事に保護者クレーム対応はつきものとはいえ、対応に失敗すると状況が悪化し、あわや裁判沙汰といった最悪の事態に陥ってしまうことも。保育士さんから寄せられた「クレーム対応の失敗談」から学んでみましょう。

言い訳が火に油を注ぐ結果に
野菜嫌いな子どもに「一口でいいから、食べてみようね」と声をかけたら、親御さんから「無理に野菜を食べさせないで。家では食べなくてもいいと教えている」とのクレーム。とっさに「食わず嫌いはいけないので」と言い訳をしてしまい、さらに怒りが爆発!先輩に謝罪してもらったことがありました。親御さんの思いもきちんと聞くべきだったと反省しています。
適当に聞き流したら、おおごとに!
「あー、また苦情か」と聞き流していたら、父親がでてきて「裁判してもいい」と言われてびっくり。それからはどんなクレームにも真摯に対応するようになりました。
報告しなかったことが不信感に…
遊具で頭を打った園児が「痛くない」と言ったので、上司や保護者に報告せずにいた。翌日「痛い」と訴えがあり、上司と共に謝罪しました。上司から「大したことないと思っても、何でも報告するように」と指導を受けた。
解決したと思って報告しなかった結果…
保護者同士のトラブルの相談。話を聞いているうちに「自分で、もう少し頑張ってみます」という発言があったので、へたに関わっておかしな事になっても困ると考えそのままに。後々、余計にトラブルが大きくなった時に、その保護者から私が放置したせいだと責められました。園長先生に伝達しなかったという私のミスも追い打ちをかけ、謝罪したものの、別の保育園へ転入されてしまいました。

ベテラン保育士はクレーム対応をこう乗り越えている!

同調査結果によると、寄せられた「クレーム対応の失敗談」は、そのほとんどが保育士歴1〜3年未満の新米保育士のときに経験されたもの。 それでは、経験を積んだベテラン保育士は、保護者のクレームをどのように対応して成功しているのでしょうか?

子ども同士のトラブル

傾聴し、園側の対処方法を伝える
子ども同士がぶつかり、片方の子が転んで膝をすりむいてしまいました。双方の家庭に詳しく連絡をしたのですが、「相手の親御さんから謝りの電話もないのは非常識だ」とのクレームが。どこに不満を持っているのかを誠心誠意伺って、「先方に再度、怪我されていることをお伝えします」と伝えたら、態度が軟化してうまくいきました。
子ども同士で解決させ、両者への報告を迅速に!
こども同士のけんかを解決しないまま帰したことに対して電話をいただきました。当人同士の話合いで解決させることを約束し、翌日はこども同士納得いくまで話し合って解決。双方のお宅に伺い直接謝罪と説明し、解決した。

保育士の対応、園の設備など

原因対策で不安を和らげる
マットの上で転んだと苦情。その日すぐにテープで四隅をとめて、足を引っかからないような工夫をしたところ、気づいてご機嫌になった。すぐに対策すると保護者の不安を少し和らげることができる。
必要に応じて専門職員を同席
市販の薬は園では受け付けられないことを説明したら、お父様が怒って帰られた。次のお迎え時に看護師と一緒に説明をし、気分を害されたことを謝ったら言い過ぎたことを逆に謝られた
理不尽なトンデモクレームも、笑顔で受容
若くて子どもいない癖に担任するなと言われた。笑顔で耐えていたらクレーマー母に気に入られた。すべて受容!否定はけしてしないようにしました。

保護者クレーム対応に成功するためのヒケツ6ヵ条

これまで見てきた、保護者クレーム対応の失敗談と成功談を元に、対応に成功するためのポイントをまとめました。

1.まずは相手の話を最後まで聞く
自分の主張をする前に、まずは相手の話に耳を傾けること。一通りお話を終える頃には、相手も感情を吐き出して冷静に。そこから事実関係を整理しながら、丁寧な言葉で説明すると、大きなトラブルになりにくいようです。

2.言い訳や否定、反論をしない
理不尽なことを言われると反論したいこともありますが、かえって相手の感情を逆撫でしてしまいます。まずは受け止めることです。

3.具体的な対応を提示する
言い分をしっかり聞いた上で、要求に対する具体的な解決策を明言。その解決策をすばやく実行することで、案外スムーズに解決します。

4.保護者(子ども)同士のクレームの場合は双方の主張を受け止める。できれば第三者も交えて一緒に話す。
子ども同士、保護者同士などのトラブルの場合、両者の言い分をしっかり聞いて、解決策も両者に報告するのが肝。双方の板挟みになり二次トラブルに発展しないよう、話し合いの場には上司や園長など第三者に同席してもらうのも成功のポイントです。

5.解決策は1人ではなく、職員全体で話し合い、こまめに報告する。
新人は特に問題を大きくしたくないという思いで一人で解決しようとしがちですが、先輩や上司の知恵を借りてチームで解決することで簡単に解決することは意外に多いものです。

6.改善すべき点は対策し、クレームを未然に防ぐ。
クレームの中には、園や保育士が自らを省みるべき意見も少なくありません。 保護者の声は常に真摯に受け止め、改善すべき点は対策し、またその対応をしっかり報告するという誠意ある姿勢が、ゆくゆくは保護者との良好な信頼関係づくりに繋がります。

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