こんな時どうすれば?保護者お悩み相談編

子育てに悩みはつきもの。保育園や幼稚園に通うようになると、今までとは違った心配事や不安も数多く出てきます。そんな保護者の悩みについて、保育士はどう応えていけばよいのでしょうか?実際に良くあるケースをもとに、対応方法を考えていきましょう。

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CASE1.子どもが家で園の事を何も話してくれない

「園のことを何も話さないのですが、ちゃんとしてますか?」「どうしたら、話してくれるようになりますか?」といった相談があります。
家に帰って来た子どもに、親は聞きたいことが沢山あります。自分と離れている間の過ごし方は、特に気になるものです。そして、帰ってくるなり、「今日何したの?」「楽しかった?」「お友達と仲良くできた?」「給食全部食べた?」と質問攻めに。。。なんてことも少なくないようです。
にも関わらず、「忘れた」「知らない」「何もしてない」と答えが返ってくると、親はつい「何もしてないことないでしょ!」「忘れたってなに?」「園でちゃんと出来てるの?!」と、詰め寄ってしまったり、不安になってどうしたら話してくれるのかと、悩むのです。

まず保護者の方に分かってもらいたいのは、「何も話さない」イコール「楽しめていない、何もしていない」ではない!ということです。 子どもにも様々な性格があり、お喋りな子もいれば、そうでない子もいます。口下手な子の場合、楽しいことがあってもうまく伝えられていないだけかもしれません。
本当に今日何をしたか忘れてしまったり、うまく言葉に出来ない場合もあります。 そんな時に、どんなことをしたかあまり問いただすと、話すこと自体が嫌になってしまいます。
また、どうしても嫌なことがあれば、態度や言葉に出てくるものです。何も話さないのは、特に嫌なことがないからだと受け止めることもできるのではないでしょうか。

大人でも、特に何も思わないことについて、あれこれ聞かれるのは面倒です。子どもが話してきたときにしっかり聞く。想いに共感する。この2つが何よりも大切なのです。
そして保育士は、こういった不安のある保護者に対して特に意識して声を掛け、子どもの園での様子を具体的に伝えるようにしましょう。

CASE2.いつも一人で遊んでいるので、友達がいないのでは?と不安

子どもが友達と関わりながら遊ぶ姿に成長を感じる。といった気持ちを持つ保護者の方は沢山います。友達関係の中で様々なことを経験し、学べるからです。誰かと一緒は安心。そういった考えもあると思います。反対に「いつも一人で遊んでいる」と子どもが言っていたら。。。不憫に思ってしまうのが親心なのかもしれません。
「いつも一人というのですが、友達がいないのでしょうか?」「友達を作るにはどうしたらいいですか?」と相談されることがあります。目を向けたいのは、その子の居場所です。遊びたいけど上手く遊びに入れないのか、一人で遊んでいるのか。というところが大きなポイントです。

年齢的な問題もありますが、年齢が低い時期は友達との関わりより、まず先生との関わりが大半を占め、重要です。心落ち着く人のそばで、自分の好きな遊びに黙々と取り組む。そうできるのは大変素晴らしいのです。ひとり遊びなしには、次の段階には進めません。個々の成長過程において不可欠なものだということを保護者の方に伝え、安心してもらいましょう。

遊びたいけど上手く遊びに入れない子どもに対しては、色んなチャンスを保育士がつくっていきます。遊んでいる子ども達に「○○ちゃんも一緒に遊びたいって」と、仲間に入れて欲しいことを代弁する方法もありますが、保育士が「○○ちゃんとこんな遊びするけど、一緒にする人!」と呼び掛ける方がスムーズです。また、子どもの得意なことやいいところをみんなに知らせ、○○ちゃんって、こんなとこがあるんだ!と、気付かせていくことも、友達作りに繋がります。そうすることで、子どもは自分に自信をもち、進んで周囲に関わろうとする力が身についていきます。保護者には、それぞれのペースがあるので、焦らずじっくり、一緒に見守っていく旨を伝えましょう。

CASE3.園に行きたがらないので困っている

「行くの嫌だ!」泣き叫んで登園を拒否する。そんな光景をよく見かけます。 毎日、毎日、朝になると「今日も嫌がるかなぁ」と親も憂鬱になり、どうしたらいいのかと悩みますよね。

入園当初こんな相談を受けたら、 「泣くのは親子関係がしっかりできている、お家が居心地のいい証拠です」とお答えしてみてください。永遠に泣き続ける子はいないし、子どもの環境の変化に順応する力を信じるように、保護者の方にも励ましの言葉を掛けましょう。
また、「園にある滑り台、楽しそうだね〜ママも滑ってみたいなぁ。滑ったら教えてね」「園に咲いてるお花って何色のお花があるんだろう、明日行ったら見てきて教えてほしいな」など、保護者自身も園に行きたい!行ったら楽しい!という気持ちを子どもに投げかけてもらうのも、ひとつの手です。

年齢が上がれば登園を渋る理由も変わってきます。給食が嫌、行事前の練習が嫌、でも嫌だと思うものをさせない訳にもいかない。そんな時保育士はどう対処すればよいのでしょうか?
個々のペースで乗り越えられるようサポートする!これ しかありません。無理やりではなく、それぞれの段階を踏んだ指導を、根気強く続けることです。
例えば頑張り表を使う。給食が嫌な子どもには、食べれるものや量を少しずつ増やし、一つ出来たらご褒美シールを貼るなど、楽しみを持ちながら、できたことを必ず認めていきます。頑張りが目に見える形になれば、意欲や自信に繋がります。そういった取り組みをしていることを保護者にも伝え、子どもを励まし認めるよう、協力してもらいましょう。登園を渋っていた子どもが、たくましく成長する姿がきっと見られると思います。



筆者プロフィール

木村 恵
保育園や幼稚園で保育士、幼稚園教諭を務め、現在は自宅でキッズルームを開業中。
子育て支援員認定講座修了、チャイルドマインダー資格保持。

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