公設民営化 保護者と子どもにとってメリットはあるの?
- 保育インタビュー
- 2015/09/17
自分の子どもが通う保育園が公設民営化になったら・・・あなたはどう感じますか?民営化への偏見や反対意見もまだまだ根強い中、「公設民営化が保護者や子どもにもたらすメリット」について考えます。
首都圏に4つの公設民営保育園を運営する、株式会社ライクアカデミーの松井さんにお話を伺う最終回です。
Q.保護者にとって、民間運営の保育園を利用するメリットは何でしょうか?
民間企業の組織としての柔軟性によって、子どもと保護者のニーズに対応してサービスを拡充できることだと思います。
サービス時間が増える=利用できる人が増える
サービスの拡充で最もわかりやすい変化は、“サービス時間が長くなることで、利用できる人が増える”ことです。
民間運営であれば、保護者ニーズに応じて早朝、夕方・夜間を含めた延長保育に対応できるので、公立の時は利用できなかった家庭でも、民間運営になることで利用できるようになります。
良質な保育を提供するため、各分野の専門家と共に保育を行う
保育士にとってのメリットでもお話ししましたが、
当社は体操や造形の指導員、臨床心理士、調理師など、現場の保育士が保育士以外の専門職と一緒に保育をしています。
これは子どもの個々の能力や感性を伸ばすため、あるいは食育の充実、発達障害など専門的なサポートを要する子どもにより適切な保育環境を提供するのが目的です。こういった保育の質を上げるための取り組みも、積極的に行っています。
“小さな手間”をサポートして保護者の負担を軽減
サービス拡充は時間に関することだけではありません。 当社が運営するにじいろ保育園では、布団レンタル、おむつ処理といった、保護者の負担を軽くするサービスを安価もしくは無償で実施しています。
ほとんどの保育園では、布団を持参しなければなりません。些細なことではありますが、保護者にとっては小さな手間の積み重ねが大きな負担になっていきます。 保護者の目線に立って、一つひとつの要望にフレキシブルに対応していけるのは株式会社の良さなのではないでしょうか。
保護者と園の距離を近づける仕組みづくり
保護者が抱える一つひとつの要望をしっかりキャッチするための取り組みも随時行っています。 現場の保育士に直接声をかけやすい雰囲気づくりはもちろん、各園の施設内に意見を匿名で投稿するスマイルボックスを設置して、直接は言いにくい事項もお伝えいただけるようにしています。
また、「地域の子育て支援」にも力を入れており、園長先生や臨床心理士が未就園児世帯の子育て相談にのるという新たな取り組みも行っています。 育児の悩みがあっても、いきなり自治体の役所の窓口に相談に行くのは足が重たいというときに、「まずは近所の保育園で相談にのりますよ」と気軽に相談しにいける役割を目指しています。
未就園児世帯を含めた「保護者の声を伝えられる場」を多く設けることで、保護者の方にもより距離を近く感じていただけたらと思っています。
保護者は、進む公設民営化をどうとらえるべき?
Q.保護者や子どもにとって株式会社運営の保育園を利用するメリットが沢山あることがわかってきました。 将来的に、公立園はなくなると思われますか?
公立の保育園がなくなる、ということはないと思います。保育は福祉事業。国の政策ですから、“何があってもサービス提供を持続できる設置者”として公立園は必要ですし、それである程度のニーズを満たしていくと思います。
それに、全国の保育園が100%民間になる必要があるかというと、正直なところ私自身も疑問です。いくら民間がサービスの質向上と拡充を追究できる組織であっても、そこまでの水準を保育サービスに求めていない利用者もいるかもしれません。
利用者ニーズの多様化がこれだけ進む中で、「多様な事業者がいる」という状態が適切かなと、個人的には思いますね。 事業者ごとの違いが利用者にわかるよう、情報がきちんと伝わるようにしていかなければと思います。
Q.事業者ごとの違いというと、“私立よりも公立”“株式会社より社会福祉法人”という偏見は未だに根強いようですが。
“公なら安心”というなんとなくのプラスイメージと、株式会社は営利目的で、都合が悪くなったら簡単に撤退してしまう、という刷り込みのようなマイナスイメージによるものですよね。 実際は運営主体に関わらず保育サービスの利用料は同じですし、強いて言うなら「撤退」ってそんなに簡単にできるものではないのです。
Q.イメージと実際は違うということですね。今後、保育サービスを利用される方にメッセージをお願いします。
そう言っていただけるとありがたいですね。当社以外の株式会社園もそうだと思いますけど、保育サービスの拡充と質の向上のために、株式会社だからこそ実現できることを模索しながら、日々改善を繰り返しています。
利用者の方にご理解いただきたいのは、色々な事業者があるということです。株式会社だから良い、悪いということではなくて、株式会社の中にも色んな事業者があるし、それは社会福祉法人でも同じです。 経営者次第で「園ごとに異なるメリットとデメリットがある」または「方針が合う、合わないがある」ということをまずは知っていただけると嬉しいです。
松井 基明 様
株式会社ライクアカデミー 人材開発部 マネジャー
米国CCE Inc.認定 GCDF-Japanキャリアカウンセラー
株式会社ライクアカデミー(保育士求人サイト)
家庭的な空間の中で、子どもたちの生きていく力をはぐくみ、保護者・地域の皆さまと子育ての楽しさを共に分かち合い、生き生きと輝いていける「にじいろ保育園」を首都圏で53園運営。
にじいろ保育園は、子どもの成長を支えるために自身が成長を続けよう、という意欲をもった保育士さんを求めています。
挑戦する気持ちを持つ方には会社も全力で支えますので、お気軽にお問い合わせください。
※施設数等の情報は、2015年8月現在のものとなります。
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