保育園が担う重要な役割「保護者支援」
- 保育インタビュー
- 2015/09/24
保育に関する仕事の中で最も重要なものの1つが保護者支援と言われています。今回は、「長い経験の中で、保護者支援に関する出来事が一番印象に残っている」とおっしゃる保育士経験40年以上の大ベテラン、吉田シズ子園長に保護者支援の重要性について伺いました。
吉田シズ子園長
ライクアカデミーにじいろ保育園新桜台園長。公立保育園で一般保育士を19年、主任、副園長を各5年、園長を10年務める。公立園長を退職後、保育ルームの立ち上げに関わり、4年間一般保育士として就業。その後株式会社サクセスアカデミーに園長職として入社し、現在に至る。
保護者支援に注力することになったきっかけ
私が本格的に保護者支援に取り組み始めたのは主任になってからでした。
主任は担任が持てなくなるため、一般保育士の頃と比べると仕事内容は変わってきます。そんな中、主任として自分ができることは何かと考えたとき、それは「保護者に寄り添う」ことではないかと思い至りました。
しかし、それまで保育の勉強はずっとやってきたんですが、保護者支援についてはきちんと学んでこなかったので、役立てられるようにカウンセリングの勉強をはじめることにしたんです。
今はもう無くなってしまった、中央カウンセリング研究所に10年間通いました。週1回、仕事が終わった後です。
ここで学んだことで、保護者との関わりはだいぶ楽になりました。例えば何か批判のようなことを言われるとついつい向かっていきたくなりますよね。でもそうではなく「言ってくれてありがとう」という気持ちになることができたんです。
精神に疾患がある保護者や、理不尽なクレームを言う保護者と向かい合う際にも、この時に身に付けたカウンセリングの考え方が役に立っています。
保護者支援をする上で心がけていること
まずはじっくり保護者の思いを聞きます。何があったんですか、どうしたんですか、って。
その後、「私はこうしたらいいと思います」と対処方法をいくつか提示して、その中から選んでもらうんです。
これは支援に限らず、保護者と接する際に共通して使える方法だと思います。
例えば、保護者から保育士に対して何かクレームが発生した場合にも、私は解決方法を複数出すようにしています。
そうすると、園長先生に任すので職員会議で改善してくれればいいです、っていう方もいれば、
やっぱり直接話し合いたいです、っていう方、名前は出さないで注意してほしいっていう方など色々いるんですよ。
なるべく多くの選択肢を出すことで、できるだけ保護者の気持ちに沿った対応ができるようにしていますね。
保護者支援を行う上で大変だったこと
以前園長をしていた公立園での出来事なんですが、保護者との関わりの中で問題が発生したことがありました。
保護者が怒ってしまい、職員を辞めさせてくれというところまで発展してしまったんです。
その際私は、自分が責任をとって辞めようと思いました。職員が保護者の顔色をみてびくびく保育をするような環境にはしたくなかったので。
でも辞めるのはいつでもできるから、出来る限りのことをもうちょっとやってみないかと引き止められ、結局園長を続けることにしたんです。
後になって、「あの時園長がああ言ってくれたからこの年まで勤められた」って保育士が結構いたことが分かったんですよ。
その時は夢中でとった行動でしたが、園長は職員を守らなければいけないと改めて感じましたね。その時は大変でしたが、振り返ってみてとても勉強になる出来事でした。
保護者支援の重要性と園長の役割
長年保育に携わっていると、本当に色々な保護者との関わりがあります。その時に園長としてやってあげられたことの数々はすごく印象に残っていますね。
例えば、お母さんが夜に仕事をしているため、子どもが放置状態となっているおうちがありました。母子家庭だったので、上のお兄ちゃんが面倒をみてはいたんですが、家庭訪問にいったらごはんに牛乳かけて食べている、といった状況でした。
子どもがいるから昼間は働けない、ということだったんで、なんとか調整して私が園長をしていた園で預かることにしたんです。しかしそのお母さんは外国人で子どもが小さい頃から預ける習慣がないため、後で後悔してしまったようで、なんでこんなところに預けなければならないの、って泣かれてしまったんです。
でも保育園で預かることでお母さんも昼間にちゃんと働けるようになって、夜は子どもと過ごせるようになったので、最終的には理解してくれましたけどね。
保育園がもつ役割は色々ありますが、その中でも特に重要なのは子どもの保育と保護者支援だと思うんです。
子どもはね、保育士が良い保育していけばすくすく成長していきます。
しかし保護者を支援するには、豊かな経験と日々の勉強が求められると思うんです。知識も経験も浅い一般保育士にはなかなか難しいですが、経験を積んでいく中で、どうすれば保護者の気持ちに寄り添った支援ができるのか、学んでいくことが大切ではないでしょうか。
そういった意味では、キャリアを重ねた園長が保護者支援において果たす役割は非常に大きいものがあります。これからも保護者の気持ちに寄り添い、相手を尊重して理解する、そんな支援を続けていきたですね。
取材協力
株式会社ライクアカデミー(保育士求人サイト)
家庭的な空間の中で、子どもたちの生きていく力をはぐくみ、保護者・地域の皆さまと子育ての楽しさを共に分かち合い、生き生きと輝いていける「にじいろ保育園」を首都圏で52園運営。
にじいろ保育園は、子どもの成長を支えるために自身が成長を続けよう、という意欲をもった保育士さんを求めています。
挑戦する気持ちを持つ方には会社も全力で支えますので、お気軽にお問い合わせください。
※施設数等の情報は、2015年8月現在のものとなります。
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