保育士の残業なし、希望休は可能なのか?保育士が働きやすい園をつくるために
- 保育インタビュー
- 2015/08/20
保育士と長時間労働、この2つは切っても切れない関係のように思われています。しかし、2015年4月開園にも関わらず、現在残業0、希望休取得も可能という恵まれた環境の園があるんです。
これを可能にしたのは「保育士だってプライベートの充実が大事!」という園長先生の思いでした。
今回は残業なしを実現した「グローバルキッズ新子安園」の森園長に、労働環境改善に関する考えや、今後の目標などについてお聞きしました。
森さゆり園長
学校卒業後、幼稚園教諭として働き、結婚を機に退職。家事育児のかたわら、子育てサークルの立ち上げや子どもの預りサービスなど子どもに関わる活動を続ける。
その後、パートから保育士に復帰し、事業所内保育園や認可園の園長を経験。
しかし「本部が現場よりも偉い」という会社の意識に反発し、50歳にして株式会社グローバルキッズに転職。2015年4月より、オープニング園であるグローバルキッズ新子安園の園長に就任し、現在に至る。
プライベートが充実しなければ、仕事のモチベーションも上がらない
ー保育士は長時間労働が問題になっています。その中で残業ゼロというのは珍しいですね。
私ね、残業が嫌いなんですよ。だから、園長や先輩が残っているとか関係なく、
定時であがってもらえる環境が一番いいと思う。
今の園は、私以外の先生の平均年齢は30歳。若いでしょ。
でもみんなすごくしっかりやってくれてます。
チームワークもすごく良く取れていますしね。
そんな風にできているのはね、先生たちのモチベーションが高いからだと思うんです。
モチベーションを高く保つためには、「プライベートの充実」が絶対、必要。
そのためには、先生たちが好きな時に休める環境、定時であがれる環境を整えてあげないと。
実際に、うちは基本的に残業はなし。希望休もできる限りとれる体制にしていて、
9月まで予定がでている状態です。
子どもが好き、保育が好き、っていうのは当然なんですよ。
でもその気持ちだけで働き続けるのは難しいでですよね。
彼氏がいれば一緒に遊びに行きたいだろうし、好きなイベントにも行きたいでしょう。
思いっきり遊んでリフレッシュすれば、保育園に戻ってきてモチベーション高く頑張れる。
そんな良い循環ができますよね。
環境を整備することが保育士の定着につながる
ー環境が良くなれば、保育士も増えて待機児童解消にもつながりますよね。
保育士が辞めていく理由で大きいのは、過酷な労働環境でしょう。
それが解消できれば、保育士の離職率は下がるし、復帰したいと思う人も増えますよね。
この間も採用支援メディア主催の説明会で、学生さんに残業があるかどうか聞かれましたよ。
「うちの園ではありません」って言っちゃいましたけど(笑)。
以前は「残業してなんぼ」って考え方が主流だったけど、今の若い人はそうじゃないじゃない?
定時であがって、好きなことをやって、っていう生活スタイルだから。
以前働いていた園では、変形労働制のためにどうしてもサービス残業が発生してしまうので、先生からは不満が多く出ていました。
それだとね、やっぱり離職率は高くなるのよ。
うちの園もね、お給料は並です。でも環境がすごくいいから、今年中に辞めたい、なんていう人はいないです。
労働環境の良しあし、全ては園長次第
ー残業ゼロの秘訣を教えてください。
効率的に作業する工夫は色々行っています。
例えば、うちでは業務連絡を共有する「昼礼ノート」を活用しています。
アレルギーの有無や、来客の予定、明日から水遊びが始まります、など園全体で共有する必要があることは、
全てこのノートに記載し、連絡や確認の手間を省いています。
報連相は外せない大事なことなので、正確かつ余計な時間をかけないようにしています。
各クラスの活動記録も記載するので、ノウハウの蓄積もでき、効率的なやり方を周知させることにもつながってますね。
でもね、環境改善のために大事なのは、結局園長なんですよ。
いくら一般の保育士が努力してもね、残業なしや有給休暇がとりやすい風土が無ければ、
空いた時間だって他の仕事をしなきゃいけないじゃない。
そうなると、仕事を効率化させたいというモチベーションが続かないでしょう。
だからまず園長が、「労働環境を改善するよ」って指揮をとらないと。
でもその方針が決まっていればね、園のメンバーはみんな協力して働き方を改善していけると思いますよ。
働きやすい環境を自分の園から広げていきたい
ー新子安園のような園がもっと増えて欲しいですね。そのために今後取り組みたいことはありますか。
うーん…最終的にはね、保育業界全体の体質改善が必要ですよね。
でもまず私ができることといったら、今の園でできることをきちんとやっていくことなのかな。
いくら偉そうなこと言ってもね、「実は残業させていました」なんてことになったら説得力が無いでしょう。
だからこれからも先生たちが働きやすい環境を守っていきたい。
あとはね、新子安園で働いている先生からね、園長先生をどんどん出したいんです。
ここで育った園長先生なら、環境の整備が保育士にとってどれだけ大事か分かっているから、
先生にとって働きやすい園が増えていくと思うんですよね。
園長なんて良い仕事じゃないですよ、はっきり言って(笑)。
自分は偉いって勘違いしている人もいますけど、何かあった時に責任をとるのが園長の仕事なわけですから。
でもね、先生たちが気持ちよく働けて、子どもや保護者がこの園で良かったって思ってもらう園をつくるためには、やっぱり園長の力が大きい。
そこをちゃんと理解して、先生のために頑張れる、そんな園長を増やしていきたいですね。
取材協力
株式会社グローバルキッズ(採用サイト)
「子どもたちの未来のために」という企業理念のもと、認可園・認証園などを首都圏で82箇所運営(2015年8月現在)
グローバルキッズでは、子ども達に夢を持たせ、感謝の心を養い、学ぶ姿勢といった社会における「生きる力」をはぐくむことを大事にしています。
学び続ける方、人として成長しようとする方、ぜひ一緒に働きませんか?
※施設数等の情報は、2015年8月現在のものとなります。
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